西岡徳馬が74歳になるまで断り続けた「オファー」とは? 本人が語る”その本心”
2020年11月25日 公開 2024年12月16日 更新
人生は山登り
「子供の結婚や孫の誕生など次々に起こるから、まだまだ頑張らなきゃいけない。結婚してもまだ若いからか娘夫婦が大変だとなれば親として支援もしてやらなきゃいけなし...天から与えられた使命だと思ってます」
親として懐が深い言葉に驚いたが、世間には成人、結婚すれば当然自立してほしいと思う親もいると思うが...
「俺は、親が生んだ責任があるから、親として出来ることはやるべきだと思っています。今世では、親と子がひっくり返ることはない、だけどいろいろあって輪廻転生して生まれたわけだから、前世では反対だったかもしれないし、俺が迷惑をかけたのかもしれない...そう考えるんです」
独自のフィソロフィーを持つことも西岡さんの魅力の一つと感じる。子供や家族に対してだけでなく全てにおいて通じるようだ。
「起きること全てには理由があるんですよ。理由があることしか起きないし、全ては自分が招いていること。いいことも悪いことも誰のせいでもなく、自分のせい。そう思うから常に自分が頑張る...というシンプルなことです」
50年、第一線で活躍し続ける大物俳優でありながら実におごりがないが、天狗になったことはなかったのだろうか。
「なったらおしまいですよね。それに天狗になんてなりようがない。まだまだ上があるってことをいつでも忘れてはいけないと思っています。例えば、山登りしていて『よしっ!もうすぐ頂上だ!』と思っても雲が晴れたらまだまだ頂上が先だったことがあるでしょ。『まだ先が、上があるんだ』と思うことが頑張れる要因だと思います」
「せっかく与えられた命。この肉体を持った人生は今回限り、残念ながら肉体には限界があるけれど、まだまだ行けるところまで行こうと思います」
コロナ禍の今、苦境に立たされる人もいるだろう。しかし、命は与えられたもの...西岡さんの言葉が多くの人の心に響くのではないだろうか。
【吉澤恵理(よしざわ・えり/薬剤師、医療ジャーナリスト】
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業(現、東北医科薬科大学)。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。