辛酸をなめた小説家の人生を支えた「大作家の言葉」
2021年05月19日 公開 2022年10月06日 更新
立身出世の魅力は時代を超える
――現在、「三河雑兵心得シリーズ」は5巻で、13万部を超え、ヒットの兆しを見せています。筆名を変えたことは、確かにひとつのきっかけかもしれませんが、「三河雑兵心得シリーズ」という物語にも力があったのだと思います。
本シリーズでは、「陪臣の足軽」→「徳川の直臣足軽」→「足軽小頭」→「騎乗の身分」→「物頭」と、主人公の茂兵衛が、徐々に出世していきます。合戦のたびに一喜一憂し、人間的にも成長していく姿に共感いただいているのだろうと思います。
今時、会社に入って「出世」「出世」喚いてると、女性からは滑稽に見えるでしょうが、男子たるもの「人の上に立ちたい」と思うのは人情ではないのでしょうか。所詮、男は「雄」ですからね。
古くは「太閤記」や「のらくろ」、「キングダム」「島耕作」と出世物語は常に夢見る健全男子のバイブルであり続けました。サクセスストーリーは、どんな時代にあっても一定の需要があるはずです。組織人としての承認欲求に御奉仕する「三河雑兵心得シリーズ」に今後ともご期待下さい。