そして、にぎやかな闘病生活が始まった
母は僕のつくってきたイベントにほぼ参加していた(呼ばなかったらふてくされるため)。だから全国に僕を通じた知り合いが多いこともあって、いろんな方面からサプリや情報、お見舞いやお花があふれ、なんともにぎやかな病院生活になった。
たまたまだが、初抗がん剤の前日。僕は東京で一本の会食の予定があった。
その会食相手はテレビに何度も出演している超有名なお医者さんで、僕の本を読んで会いたいと言ってくれたので、知り合いがセッティングしてくれた。
その場で、翌日母が抗がん剤を投与するということを伝えると
「実は僕は明日福岡なんだよ。迷惑じゃなければお母さんに会いに行っていいかな?」
ということになった。
いきなりその有名な先生が私服でやってきて
「永松たつみさんの病室を教えてください」
となったため、病院がちょっとした騒ぎになったらしい。
九大病院は福岡にあり、しかも僕たちは偶然にも福岡。当時僕と弟は大名陽なた家の隣にマンションを借りていたので、そこで父と家族たちが福岡に大移動し、合宿生活がはじまった。
お金はかかるが個室にしたのは、我が家が裕福とかそんな問題ではなく
「おそらくたくさんの人たちが会いに来るから」
というまわりの患者さんたちへの配慮が第一の目的だった。そしてその配慮は見事に当たった。
こうして母のにぎやかな闘病生活がはじまった。