コロナ禍の試練
「僕にとって一番夢だったのが東京オリンピックに合わせてインフィオラータの世界大会を東京で実現することでした。インフィオラータの世界大会を東京に誘致することも決まっていました。また、高輪ゲートウェイ駅のオープニングとタイアップし、世界30ヵ国から160人程の花絵師が来日する予定でした。それが新型コロナウイルスの感染拡大で一か月前に中止になってしまいました」
夢の実現が目前というタイミングでの中止に藤川氏はただ呆然とした。
「僕のチームにしかできないすごいことをやろうと企画も予算も準備万端にしていたのに「コロナ」っていうだけで全てが消えてしまって。これまでに味わったことがない喪失感でした」
2020年のインフィオラータ、関連イベントのほとんどが中止となった。
座右の銘は『夢に恋して』
「2020年にすべてのイベントが中止となり、収入は激減どころかマイナスになっていく。一度は、全て投げ出したいという気持ちにもなりましたが、それまで一緒に頑張ってきた社員も守らなければいけない。冷静になり、できることをすべきだと気持ちを切り替え、補助金なども利用できるものは利用し、なんとか乗り越えることができました」
長引くコロナ禍に2021年も多くのイベントを開催することはできなかったが、第5波の収束のタイミングで文化庁の支援も受け、「花絵師 藤川靖彦×インフィオラータ 20年の軌跡展」を開催することができた。
「僕の座右の銘は『夢に恋して』です。コロナ禍で夢がなくなったと思った瞬間もありましたが、20周年を迎え、これまでを振り返って、気持ちも新たになり、次の夢が見つかりました」
「日本の新しい観光文化を花で作っていきたい。誰も見たことないようなものをやりたいと考えています。世界に誇れる東京の観光文化を作りたい。世界中からマスコミや観光客が集まってくる。そんな夢に恋しています」
藤川氏の夢『花が作る新たな日本の観光文化』の誕生が楽しみである。
【吉澤恵理(よしざわ・えり/薬剤師、医療ジャーナリスト】
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業(現、東北医科薬科大学)。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。