引きずるイヤな感情を「脳の仕組み」を利用して忘れる方法
2022年07月15日 公開 2024年12月16日 更新
いつまでも落ち込んでいるのは過去の自分のせい?
人は誰でもマイナス感情を持つことがあります。ただし、マイナス感情を抱える時間的な長さには個人差があります。
たとえば、上司にこっぴどく叱られたとき。一瞬落ち込むものの、「くよくよしていても仕方がない」と割り切る人がいる一方で、いつまでも落ち込んだ気持ちを引きずり、なかなかもとに戻らない人がいます。
精神科医の森田正馬は、人間の感情は放っておけば弓なりの曲線を描くように低減していき、やがて消えるという感情の法則を唱えました。要するに、怒りの感情も悲しみの感情も時間が経てば収まるということです。
ところが、マイナス感情を引きずる人は、何かにつけて過去の出来事を思い出します。ふとした瞬間に小言を言う上司のことを思い出し、また落ち込むといった具合です。
長期間にわたってマイナス感情を引きずると、免疫機能も低下しますし、うつ病になったり体調を崩したりすることにもなりかねません。
やはり、感情を引きずらずに上手に整理する力は、ごきげんに生きていくために必須なのです。
悩んでいても過去は変えられない
では、過去の出来事を引きずらないためには、どうすればよいのでしょうか? まず重要なのは「過去は変えられない」と理解することです。
前述の森田正馬による森田療法では、患者さんの過去を問題にはしませんでした。「幼児期の心の傷を回復させましょう」などというアプローチを取らなかったのです。
変えようがない過去について悩んでも、悩みから解放されることはありません。過去を引きずってもよいことはないのです。
「仕事でミスをして上司に怒られた。やっぱり自分はダメな人間だ」などと悲観的に受け止めている限り、ますます過去にとらわれてしまいます。
過去は変えられませんが、過去に対する対応は変えることができます。「今回は失敗したけど、次はミスをしないように気をつければいい」などと、反省を生かしていけばいいのです。