70代まで働く時代の到来...人生後半のキャリアを分ける“リスキリング”とは?
2022年12月28日 公開 2024年12月16日 更新
ビジネス書を中心に1冊10分で読める本の要約をお届けしているサービス「flier(フライヤー)」(https://www.flierinc.com/)。
こちらで紹介している本の中から、特にワンランク上のビジネスパーソンを目指す方に読んでほしい一冊を、CEOの大賀康史がチョイスします。
今回、紹介するのは『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』(後藤 宗明 著、日本能率協会マネジメントセンター)。この本がビジネスパーソンにとってどう重要なのか。何を学ぶべきなのか。詳細に解説する。
リスキリングは誰のためか
変化の激しい時代に対応する方策として語られることが多い、リスキリング。本書にはその定義として「全く異なる業務を行うために必要な新しいスキルを獲得するプロセスのこと」と記載されています。
部署により求められるスキルが違っている企業は多く、滞留している人材の有効活用策になることは間違いなさそうです。
ただ、会社側の理由だけで自分の時間をスキル習得に使える人は多くないかもしれません。本来、リスキリングはその人のキャリアのため、さらに言えば、その人自身の得になるものです。
今の部署からの異動や転職をする際に自信を持って一歩を踏み出すために、これからはリスキリングをしようという人が増えていくと言われています。
国家の年金財政を考慮すると、人の寿命が延びるにつれて80歳近くまで働かないと、十分な年金が得られなくなる可能性があります。働かなければならない期間は長くなり、一方で変化の激しい環境下では企業の寿命は短くなっていきます。
今の会社あるいは部署が長く繁栄することを祈り、それに固執するキャリアとなるのか、自分の意思で自由にキャリアをデザインできるようになるのか。その重要な分かれ目が「リスキリング」の道を選ぶかどうかと言えます。
冷静な現状把握と未来志向が重要
リスキリングという言葉が浸透したのは、デジタル化の進展により求められるスキルが変化していることや、RPA等の業務効率化により今までのビジネスを継続するために必要な人員が減ることから、終身雇用制度の弊害が見られるためと言えます。
その背景から、プログラミングスキルやUI/UXデザインのスキルのようなものをリスキリングのテーマとしておくケースが多いことも確かです。ただ、それは一面を表しているにすぎません。
リスキリングにはハードスキルとソフトスキルの両面がある、と本書では述べられています。上述した具体的なデジタルスキルはそのハードスキルに位置付けられます。
その他にソフトスキルとしてコミュニケーション能力、リーダーシップ、課題解決能力等の、日常の仕事を遂行するスキル群があります。
新しい仕事を行うにあたり、ハードスキルだけで対応できることはまれで、むしろソフトスキルの変化の方が重要なことも多くあります。リスキリングはそれらを包括的にマスターして、一段優れたビジネスパーソンになっていこうという行為だとも考えられます。
そのように重要な取り組みを進めるにあたり、捨てなければならないものもあります。現状のスキルや仕事の仕方に固執してしまう「執着」、営業成績がトップだったというような過去の栄光による「過剰なプライド」、昔は〇〇部の部長で部下が50人いたといった「ノスタルジー」です。
未来をつかむために必要なのは過去の実績ではなく、冷静な現状把握と将来の姿を描く未来志向の考え方になります。