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病院を転々とするのは愛猫に負担が...獣医を悩ませる「困った飼い主たち」

宮下ひろこ(獣医師)

2023年03月28日 公開

病院を転々とするのは愛猫に負担が...獣医を悩ませる「困った飼い主たち」


イラスト・たまゑ

猫と暮らす人たちにとって、愛猫の健康を守り、痛みや苦しみなく過ごすために動物病院は欠かせません。信頼できる獣医さんと出会い、良好な関係を築くことは、動物と暮らすうえでとても重要なことです。

そんななか、「こんなことを聞いたら失礼?」「どう切り出せばいい?」等、獣医さんに根掘り葉掘り聞くのは勇気がいるという人も大勢いるようです。

本稿では、著書『獣医さん、聞きづらい「猫」のこと ぜんぶ教えてください!』を上梓した獣医師兼カウンセラーの宮下ひろこ先生に、獣医さんの本音を伺いました。

※本稿は、宮下ひろこ著『獣医さん、聞きづらい「猫」のこと ぜんぶ教えてください!』(日東書院本社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

嚙まれるのは獣医師の至らなさ

自分の猫でも飼い主さんの猫でも外猫でも、思いきり嚙まれた場合、私がいちばん初めに感じるのは「怖がらせることをして、ごめんね」ということ。同時に、嚙まれる自分のスキル不足を恥ずかしいと感じます。

猫が緊張していたり、恐怖を感じているサインを見落としてうっかり手を出した自分が悪い、そう思います。

ふだんから嚙み癖があるという子の場合でも、事前にきちんとヒアリングしていれば相応の対応をするのがプロ。猫の特性や性格に合わせて、処置や検査、治療などは、負担を少なく素早く行いたいところです。

保定が適切ではなかったり、怖がらせて興奮させてしまうような接し方をしていたり、猫が嚙む理由はいくつも考えられます。そういった予想ができず、嚙ませてしまうことのほうが問題だと捉える先生のほうが多いのではないでしょうか。

どんな状況であれ、嚙まれたりひっかかれたりしてしまうのは自分たち、つまり獣医師の反省点と考えます。なかには「たまたま運が悪かった」とあえて自分のせいにしない先生はいるかもしれませんが(笑)。

考えてみると、今までに猫に嚙まれたりひっかかれたりして怒った先生には出会ったことがありません。冗談っぽく「思いきりやられてしまいましたー(笑)」というスタッフもいますが、どちらかというと自分の至らなさに悔しがったり、嚙まれた事実を周りに隠したりする人のほうが多いです。

ましてや、その子を嫌いになるなどあり得ない...言い切っちゃってよいと思います。

 

一瞬の反応など気にしないで大丈夫

もちろん獣医師にも神経は通っているので、強く嚙まれたりひっかかれたりしたら痛みを感じます。その瞬間、険しい顔になったり声が出たりしてしまうこともあるでしょう。それらは生理的な反応で、感情ではないのでご安心を。

ご自分の猫が先生を傷つけたら、飼い主さんはとても恐縮します。その気持ちはありがたいですが、獣医師は自分の怪我は覚悟して治療にあたっているので、謝罪などは不要です。代わりに猫さんが回復したときに喜んでいただければ十分なのです。

もし先生の手や腕に嚙まれたような傷があったら「先生、ファイト!」と心の中でエールを送ってあげてください。

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