営業という仕事は正解がないから難しい、100人いれば100通りのやり方がある、結果さえ出ればやり方はどうでもいい――そう思われがちですが、コンサルタントの山田和裕さんいわく、約1000人のトップセールスの考え方とやり方を分析する中で「営業の正解」が見えてきたそう。できる営業マンとできない営業マンの違いがどこにあるのか、解説します。
※本稿は、山田和裕著『1000人のトップセールスをデータ分析してわかった 営業の正解』(かんき出版)より抜粋・編集のうえ一部加筆したものです。
できる営業は科学的な思考法を持っている
「科学的な営業思考」は、できる営業の成功特性を明らかにする上で根幹を成す部分です。営業行動をデータなども使って見える化し、営業を科学的・論理的にとらえるのが最近の傾向です。科学的な思考法を身につけることは、これからの時代で「できる営業」に求められる大切な資質の一つです。
1000人のトップセールスとのヒアリングを通して見えてきたのは、「できる営業」は、結果を効率的に出すことを追求する中で、自然と科学的な思考になるということです。
組織が教えてくれなくても、自分なりに試行錯誤し、その中でうまくいったやり方=営業の正解を見つけて行動の基本としています。
逆に、「できない営業」は、非科学的なやり方=プロセスを考えずに結果だけを追い求める"結果主義"的なやり方に疑問を持っていません。ものごとを深く考えずに、うまくいかなくても同じやり方を繰り返します。思考停止状態です。
「性格がいい」だけではダメ
「科学的な営業思考」は、結果を出すためにプロセスを重視する"プロセス主義"的な考え方です。従来の精神論や人格的なものを求めがちな「情緒的な思考」とは異なります。違和感を覚える人もいるかもしれませんが、これまでの精神論・根性論寄りの営業論では指摘されない事実なのです。
日本的な考え方では人当たりのよさなどの性格的な面で判断しがちですが、性格だけでは「本当のできる営業」かどうかはわかりません。営業は性格コンテストではありません。人柄は必要条件の一つですが、結果を保証する十分条件にはなりえません。
「できる営業」は性格がよい人を演じているケースが多いようです。「結果を出している営業」が必ずしも社内では人格者ではないということは、自分の組織で考えてみるとうなずけるのではないでしょうか。