「勉強嫌いだった」たかまつななさんが中学の頃に気づいた“社会を変える面白さ”
2023年06月20日 公開
「子どもたちからの請願、陳情、意見書」。スケートボード場の新設要請や、公園等でのボール遊びの解禁の要望など、ニュースで目にしたことはありませんか? 「世の中を変えたい!」 と思うことは大人のみならず、子どもにもきっとあるはずです。
「主権者教育」とは、そんな子どもたちに意見表明を促す教育です。
主権者教育の専門家であり、時事YouTuberとして若者に社会問題を分かりやすく伝える株式会社笑下村塾 代表取締役・たかまつななさんらが、千葉大学で行われたイベントにて、「主権者教育」にかける思いを熱く語りました。その一部を紹介します。
※本稿は、千葉大学教育学部の研究室を母体とした千葉大発ベンチャーNPO・NPO法人企業教育研究会20周年記念イベント「日本の教育をアップデートする!! #2主権者教育」の公開セッションより一部内容を抜粋・紹介するものです。
「笑下村塾」代表取締役&時事YouTuber たかまつななさん
たかまつななさんは、お嬢様芸人としてデビューしつつ、時事YouTuberとして政治や教育現場を中心に取材し、若者に社会問題を分かりやすく伝える主権者教育の専門家としての顔も持ちます。18歳選挙権をきっかけに株式会社笑下村塾を設立し、現在代表取締役を務めながら、「子どもにツケを回さない」をコンセプトに活動中です。
たかまつさんが社会問題を笑いで伝えたいと思った転機は、「慶応に入らないと人ではない」というような超学歴主義の家庭で育ち、落ちこぼれだったという学生時代に遡るそう。
当時のたかまつさんは、英語は赤点で学年ビリをとるほど成績が悪く正直勉強が大嫌い。しかし、中学校3年生の時、皆が爆睡するという英語のスピーチコンテストにて、お笑いネタをやったところ、大爆笑をさらったといいます。
「あれ、学年でビリの私にみんなが食いついてる。これってお笑いってすごい可能性があるんじゃないか...」という手応えがあったと、たかまつさんは回想します。
小学生当時、登山家の野口健さんの環境学校に参加し、社会問題と政治の問題に目覚めたというたかまつさん。この経験から、距離を置いてしまいがちな話題、社会問題であってもお笑いを通せば身近に伝えられのではと?と、「お笑い芸人」を目指し、現在は笑下村塾代表取締役、時事YouTuberとして活躍中です。
社会を変える楽しさを、子どもたちにも知って欲しい
「社会を変えられる、そういう子どもたちを増やすのが私の夢」と話す、たかまつななさん。
しかし現状、たかまつさんの元には「生徒会は、先生の意向を忖度することになる」、「ブラック校則を変えようと思ったけど変えられなかった」など、子どもたちのたくさんの声が届くといいます。
どうせ社会は変えられないと思い悩む子どもたちに向けて、「日本の子どもは変える場がないだけ。社会は変えられるという楽しさをぜひ味わってほしい」とたかまつさんは意気込みます。
子どもに社会を変える方法を教え、場を作る
「社会を変えられると信じる子どもを増やす」には、いったい何を伝えていけばよいのでしょうか。そのカギとなるのが「主権者教育」です。
千葉大学博士課程にて主権者教育について研究する郡司日奈乃さんは、「主権者教育」について以下のように説明します。
「(主権者教育とは)困った時には、みんなでルールや枠組みを見直そう。そのためには、ルールを見直す方法も教えていかないといけない。子どもたちが困った時に、学校の先生だけではなく、議員さんに話をしてみるなど選択肢を増やすことです」
つまり主権者教育とは、「みんなのことをみんなで考えること」なのです。
たかまつななさんが代表取締役を務める株式会社笑下村塾では、既に1000もの学校、7万人以上の子どもたちに、主権者教育を実施しています。活動内容は、笑える政治教育ショー、『社会の変え方を伝える』出張授業や、『若者議会、社会を変える場』などだといいます。
「社会を変える方法はたくさんあり、まずは知識としてその方法を伝え、社会を変えたいという子どもたちの気持ちを後押ししています」
たかまつさんの授業を受けた子どもたちからは、
・普段友達と政治の話をしないけどゲーム感覚で楽しくできた
・社会を変えられるかもしれないと希望を持てたので投票をしたい
・社会を変える手段として政治家がやりたい
といった、意見が出たといいます。