話がかみ合わない...職場で「意見の対立」が起こる本質的な原因
2023年08月18日 公開 2024年12月16日 更新
通じない話、かみ合わない議論...多くの人はその理由を「相手のせい」にしがちだ。しかし、実際にはこちらがコミュニケーションの大前提を間違えているため、話が通じないことが大半である。そこでぜひ意識してもらいたい「コミュニケーションの概念図」とは? 内田和成氏が解説する。
※本稿は内田和成著『アウトプット思考 1の情報から10の答えを導き出すプロの技術』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
「自分の面白いものの押しつけ」では伝わらない
情報収集の目的の1つとして、「コミュニケーションの手段としての情報」がある。
いくら斬新なアイデアがあっても、その価値が相手に伝わらなくてはなんの意味もない。いくら果断な意思決定をしたとしても、周りの人が指示どおりに動いてくれなくては、成果は出ない。仕事でアウトプットを出すということは、そこまでを含めての行為を指す。
ここで多くの人がやりがちなのが、あくまで自分軸で考えてしまうことだ。自分が面白いと思った情報を、他の人がそのまま面白がってくれるとは限らない。
なのに、「自分がどれだけこの情報を面白いと思ったか」を延々と語っても、相手の心は動かない。むしろ、反感を持たれてしまうことすらある。
では、どういう情報を使えば、利害関係者との間で合意を取れるのか。何を話せば、反対意見を持つ人を説得できるのか。ここで必要となるのが、いわばコミュニケーションの共通言語としての情報なのだ。
情報格差は「ベン図」では表し切れない
ある二人が対話をするにあたって、お互いに持っている情報が全く同じ、ということはないはずだ。二人が共通して持っている情報もあれば、Aさんしか持っていない情報も、Bさんしか持っていない情報もある。
こうした関係性はしばしば、「ベン図」という形で描かれる。
上の図を見ていただきたい。左の円がAさんの持っている情報を表し、右の円がBさんの持っている情報を表す。そして、円の重なっている部分が共通の知識・認識ということになる。
ただ、現実にはこのようにきれいに図式化できるものではないだろう。ある分野の情報に関しては特に大きな差があったり、逆にある分野に関してはお互いに情報が不足していたりと、より複雑な形状を取るはずだ。
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「相手と情報が重ならない部分」をどう埋めていくか