1. PHPオンライン
  2. 生き方
  3. 他の“高学歴お笑いコンビ” とどこが違う? ロザンが20代から活躍し続ける秘訣

生き方

他の“高学歴お笑いコンビ” とどこが違う? ロザンが20代から活躍し続ける秘訣

ロザン(お笑いコンビ)

2023年10月11日 公開

他の“高学歴お笑いコンビ” とどこが違う? ロザンが20代から活躍し続ける秘訣

漫才、クイズ番組、ニュースのコメンテーター、YouTube――。多方面で活躍するお笑いコンビ「ロザン」の"司令塔"である菅広文氏が、著書『京大芸人』シリーズの最新著『京大中年』を刊行した。

"高学歴コンビ"として活動してきた「ロザン」はいかにして芸人の世界を生き抜いてきたのか。『京大芸人』シリーズのモデルである相方・宇治原史規氏とともに、菅氏が語る。

聞き手:Voice編集部(中西史也)

※本稿は、『Voice』2023年10月号より抜粋・編集したものです。

 

「いまの楽しい」を続けたい

――宇治原さんの京都大学合格に至る軌跡を菅さんがユーモラスに描いたベストセラー『京大芸人』から15年が経ち、今回刊行したのは『京大中年』です。本書は菅さんが、「20歳の宇治原さんへ」というように、過去の宇治原さんや自分に対して手紙を出す形式をとっています。なぜこのような書き方をされたのでしょうか。

【菅】最後まで書き切れるやり方を模索したときに、いまの形に落ち着きましたね。気持ち的にも、手紙のように書いたほうが、思いを伝えやすかったんです。40代という中年になったいまだからこそ、振り返るべき過去に向き合ってみました。

――本書では、芸人として多忙を極めた20代、宇治原さんがクイズ番組でブレイクした30代、そして現在の40代に至るまで、当時の菅さんの率直な思いが綴られています。各年代の戦略はどの程度計画的に練られていたのでしょうか。

【菅】この年代はこの仕事をやったほうがいいやろなっていう部分は意識していましたね。ありがたいことに20代のときから、ニュースのコメンテーターのオファーが来ることがありました。

でもこの仕事って、30代、40代のほうが言葉に説得力が出てくると思うんですよ。だから20代のときは、早く30代、40代になりたいなぁと考えていました。でも、そんな先のことを考えてる芸人、おもろいですか?(笑)

――(笑)。

【宇治原】そのときそのときに考えていることもいっぱいあるから、すべて先々を見越してというわけでもないですけどね。

【菅】そうそう。よく「ロザンのお二人って戦略家ですね」と言われるんですけど、二人とも楽観的で、どちらかと言えば将来というよりも「いま楽しめればいいやん」というタイプです。

【宇治原】あとは「いま楽しいのができるだけ続けばいいな」という思いはありますね。

――本書にも書かれていたように、「二人でずっと喋りたい」という思いが最も強いのでしょうか。

【菅】そうですね。あとは仕事がそれなりにできるようになると、いまの活動をもっとできるんちゃうかっていう「もったいない精神」が出てくるんですよ。だから若いときは、目の前の仕事に必死になっていたと思います。

 

かつてはネタの精度が高くないと生き残れなかった

――お二人が20代のときに高学歴コンビは稀な存在でしたが、30代になったときには学歴の高い芸人が増えてきました。周りの高学歴芸人は、ロザンにとって「脅威」でしたか。

【菅】そもそもで言うと、宇治原さんは京大で高学歴ですが、僕は大阪府立大学(現大阪公立大学)だから「中学歴」なんですよね(笑)。中学歴の僕のほうがネタをつくってボケて、高学歴の宇治原さんがツッコむ。そういうやり方のコンビは出てこなかったんですよ。

【宇治原】テクニカルですけど核心を突いた話ですね。解散しましたけど「田畑藤本」は、東大卒の藤本(淳史)が難しいことを言ってボケて、「誰がわかるねん」とツッコまれる形式で、ほかの高学歴芸人もほとんどがこのパターンだったと思います。

【菅】僕らが大阪でデビューしたころは、結局はネタの精度が伴っていないと生き残れない時代でした。学歴ネタという一つの武器では勝負できなかったんです。

――菅さんではなく宇治原さんがネタを書いて、ボケとツッコミの担当も逆のパターンもありえたでしょうか。

【菅】ああー、それはなかったですね。宇治原さんって、思いのほか何にもできないんで。

【宇治原】言いすぎや。

――(笑)。

【宇治原】どうしても、創作ができる人とできない人がいるんでね。僕はできない側なので、できる人に敬意をもっていますし、あくまで演者として仕事をしています。

【菅】関西の文化として、「賢いからなんやねん」っていう風潮もありますからね。

――本書のなかで、関西では高学歴の宇治原さんがいじられキャラだったけれど、東京に行くとクイズ番組で宇治原さんが活躍しているから菅さんの立ち位置が難しかったと書かれていますね。関西から東京に進出してからは、どう順応されたのですか。

【菅】僕はいまだにまったく順応できてないですよ(笑)。

【宇治原】菅さんは、もっとクイズ番組に出たいとは思わなかったん?

【菅】そこまで出たいと思ってなかったかなぁ。宇治原さんと一緒に何回か出演したけど、いまなら出ない選択を取るかも。宇治原さんを下回る学力で中途半端に出ても、コンビとして損するんですよ。

――宇治原さんとしては、菅さんにもっとクイズ番組で一緒にいてほしいですか。

【宇治原】クイズ番組のなかでも本格的なクイズ主体の番組とバラエティ寄りの番組があるんですけど、バラエティ寄りのときはいてほしいですね。僕のいじり方の「教科書」を菅さんが周りに示してくれるので。

ただ、前者のクイズ主体の番組ではいてほしいとは思わないです。こういう番組では面白いことを言っても、クイズで活躍しないとオンエアされないので(笑)。

【菅】バリバリのクイズ番組でも和やかなシーンはたくさんあるから、YouTubeで全編流してほしいですよ(笑)。

 

関連記事

アクセスランキングRanking

前のスライド 次のスライド
×