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生き方

不妊治療を始めるも...交際10年で結婚、すぐ離婚した“夫婦のすれ違い”のワケ

ダイアン・カードウェル(ジャーナリスト)、満園真木(訳)

2023年11月14日 公開 2024年12月16日 更新

不妊治療を始めるも...交際10年で結婚、すぐ離婚した“夫婦のすれ違い”のワケ

10年付き合って結婚し、互いに仕事に励み、これから子供をもつことを真剣に......。そんなときだった。「ぼくは幸せじゃない。きみはいまの状態に満足してる?」
エリックのこの問いによって、夫婦関係は終わりを迎えることになる。決定的な何かがあったわけではない。頭ではわかっていた離婚の話をダイアンはどう受けいれるのか。結婚とは、離婚とは、彼女にとってどういうものだったのか。

※本稿は、ダイアン・カードウェル著・満園真木訳、『海に呼ばれて ロッカウェイで"わたし"を生きる』(&books/辰巳出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

40歳手前で結婚、夢見た家族のかたち

わたしたちのあいだで何かがしぼみつつある、どことなく気持ちが離れていっていると感じてはいたが、それを直視することはできずにいた。

それでもブルックリンの住宅バブルに乗って、よりいいアパートメントに買いかえると、すべてが順調のように思えて、また昔のように親密に戻れる方法がきっと見つかる、うまくやれると自分に言い聞かせた。エリックもふたりの関係を大切にしているように思えたので、2002年の秋、わたしたちは10年付きあったすえに結婚した。

ほどなくして、わたしたちはまた不動産を売買し、キャロル・ガーデンズの煉瓦造りのタウンハウスを手に入れた。子供のころから夢見ていた生活をかなえてくれそうな家だった。

立地は最高というわけではなかったが、家のなかは素敵だった。年代もののメープルシロップ色の木の床、白石のマントルピース、型押しブリキの天井、それに広い裏庭。そこに住むことは、ふたりでより家庭的な暮らしを始めるということだった。

あちこちリフォームして、ひょっとしたら子供を持って。ある晩、まだ使いかたが決まっていない殺風景な応接間で、ふたりでワインを飲みながら決めた。わたしがピルをのむのをやめて、自然にまかせてみようと。

 

夫婦ふたりの生活

週末はマンハッタン郊外で家具やキッチン小物を見てまわったり、庭で雑草や邪魔な木を抜いて、かわりにバラや野菜の苗を植えたりした。小柄で髪が栗色の、頭の回転が速くて愉快なジェンもよく一緒だった。

彼女とは2001年の選挙中に知りあってすぐに仲よくなり、その後、彼女がエリックとわたしの家のすぐそばにボーイフレンドと住むようになってご近所さんになった。ふたりとは近くの店やおたがいの家で、やはり近所に住む知りあいの出版業界や政治業界や非営利団体の関係者たちもまじえてよく会った。

でも、エリックとわたしの気持ちは離れ続けていった。どこで道を間違えてしまったのかはっきりとはわからないが、ふたりとも仕事や友人との付きあいに忙しすぎて、おたがいや子供のことに充分に目を向けなかったのがよくなかったのだと思う。決定的な何かがあったわけではない。

ぎくしゃくすることはあっても、おたがいおおむね楽しくやっていた。だからわたしたちは、というか少なくともわたしは、楽しいことが幸せと勘違いしてしまった。けれど、おたがいへの軽蔑や落胆はだんだん積もり、それがフジツボのように愛の殻にくっついて勢いを失わせ、もうふたりでは進めないところまでいってしまった。

最終的に、先にそれを悟って口火を切ったのはエリックだった。2007年のことだった。

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