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富裕層が集結? さいたま市はいつから“恵比寿を抜く人気都市”になったのか?

竹内謙礼(有限会社いろは代表)

2023年11月14日 公開 2024年12月16日 更新

富裕層が集結? さいたま市はいつから“恵比寿を抜く人気都市”になったのか?

あなたにとって「よい街」とは何だろうか。一見、華やかで先進的なイメージの街も、住んでみたら不便で不都合だらけ、なんていうことは少なくない。

千葉に暮らしながら、ひょんなことから埼玉との縁ができた経営コンサルタントが「突然、アイドルデビュー」した街の飛躍ぶりを追いかける。

※本稿は、竹内謙礼著『翔んだ!さいたま市の大逆転』(PHP研究所)を一部抜粋・編集したものです。

 

「大宮は恵比寿より上だからね」

久しぶりに会った学生の頃の友人が、突然、訳の分からないことを言い出した。場所は大宮駅周辺の居酒屋。さいたま市出身の彼の気持ちは理解できるが、いくらなんでも「大宮のほうが恵比寿よりも上」は言い過ぎである。酒にでも酔っているのだろうか? 

私は小中高を千葉県内で過ごし、その後、埼玉県内の大学に進学した。埼玉県内には知り合いが多く、特に大宮駅周辺には友人がたくさん住んでいた。目の前にいる知人もその一人だった。

そこで飛び出したのが、「大宮のほうが恵比寿よりも上」という言葉だった。私が学生の頃は、まだ「さいたま市」は存在しておらず、大宮市と浦和市と与野市の3つの市に分かれていた。

その当時の大宮市の印象を言わせてもらえば、「田舎でちょっと賑わっている街」という一言に尽きた。駅前はごちゃごちゃしていて、道幅は狭く、駅から少し離れれば畑や田んぼが広がる長閑なところだった。

私の実家が千葉県の、さらに東京寄りの市川市だったこともあり、「やっぱり埼玉はダサイタマだ」という思いしか抱かなかった。

 

「住みたい街ランキング」では堂々の3位

それから30年以上の月日が流れ、時代も街も大きく変わった。私が見下していた3つの市は合併し、2003年に政令指定都市になった。自分自身が埼玉県内に住んでいたり、会社勤めをしていたりすれば、もう少し街の変化に気づいたかもしれない。

しかし、大学卒業後は東京の出版社に勤めてしまったこともあって、さいたま市は私にとって、縁もゆかりもない地になってしまった。

その後は仕事の関係で千葉県の田舎町に引っ越してしまい、さらにさいたま市は私にとって無関心の街になった。当然、時間は学生時代の頃で止まったままだ。

大宮駅に新幹線が止まろうが、浦和レッズが優勝しようが、さいたまスーパーアリーナに人が集まろうが、私の中では、「はいはい、そうですか」ぐらいの対象の街でしかなかった。

知人の「大宮のほうが恵比寿よりも上」という発言に疑心暗鬼になっていると、ほろ酔い気分の知人がスマホの画面を見せてきた。

【SUUMO 住みたい街ランキング2023】(首都圏居住の20〜49歳の1万人を対象にリクルートが実施)

1位/横浜
2位/吉祥寺
3位/大宮
4位/恵比寿
5位/新宿

そんなバカな!

ランキングをさらに探ると12位には旧浦和市の「浦和」があり、22位には旧与野市の「さいたま新都心」があった。

一方、私が学生の頃にさいたま市よりも都会だと思っていた実家のある市川市の街はランクインすらされておらず、同じ政令指定都市である千葉市の「千葉」ですら32位という有様だった。

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