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「老後に生き甲斐がある人・ヒマな人」を別ける50代の過ごし方

野田拓也(株式会社バビロニア代表取締役)

2024年02月16日 公開

「老後に生き甲斐がある人・ヒマな人」を別ける50代の過ごし方

生き甲斐や好きなこともなく、一日家でぼーっと過ごしてばかり...そんな老後にしないためにはどうしたら良いのでしょうか。定年後の人生を充実させる「生き甲斐作り」の重要性について、株式会社バビロニア代表取締役の野田拓也氏が語ります。

※本稿は、野田拓也著「親子副業(R): 親のセカンドキャリアと子どもの"稼ぐ力"が手に入る」(大和出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

※文字化けを防ぐためにRマークではなく(R)と表記しています。

 

家族のためにガムシャラに働いてきたけれど......

本稿は、お子さんや家族のために頑張って働いている、40代〜50代の方に向けて書いています。きっと学費や習い事など教育費もまだまだかかる時期でしょうし、住宅ローンを月々返済されている人もいるでしょう。私も2人の子どもを持つ父親です。

実は本稿を書いている最中に50歳を迎え、定年まで後10年という年齢です。ところが60歳の時点では下の娘はまだ大学生で学費がかかりますし、住宅ローンの返済も終わっていません。つまり定年退職後も大きなお金が必要で、年金が支給される65歳まで稼ぎ続けなければなりません。

少し前に、テレビや新聞で騒がれていた「老後2000万円問題」。どうやら最低限の暮らしをする分にはギリギリなんとかなるかもしれないが、ゆとりある老後を暮らそうとすると足りなさそうだぞ、ということが見て取れます。

 

「やり甲斐」のない老後は、牢獄のようなもの

もし、お金さえなんとかなれば安心だと思っているなら、それはそれで楽観的すぎます。以前、私が目にした瞬間にゾッとしたフレーズがありました。それが「やりたいことのない老後は牢獄のようなものだ」というものです。

現在、日々忙しく働いているあなたは、老後はゆっくりしたい、いろんなところに旅行でもしてみたい、そう思うかもしれません。ただ、本当に何もしないでボーっとしている日々は数か月もすれば飽きてしまうでしょう。旅行も金銭的にもひと月に何度もという訳にはいかないでしょう。ゆっくりするといっても限度があるということです。

そうならないためにも、老後は趣味を作る、地域活動やボランティア活動をするなどの方法があります。趣味を作ることで人生は豊かになりますし、趣味仲間もできるでしょう。

人はそうやって社会や人と繋がることで自分の存在意義を認識し、誰かの役に立つことで得られる充実感がなければ生きていけないのかもしれません。つまり定年退職後、お金があれば十分という訳ではなく、合わせて生き甲斐を持たなければならないということです。

「生き甲斐」をWikipediaで調べると「生きることの喜び・張り合い」、また「生きる価値」とも書いてあります。これは自分が生きていることで誰かの役に立つことだと言えます。

もちろん他人のためだけではなく、自分のために自分らしく生きることも十分価値あることに思えます。改めて考えると、この世に生を受けた以上、生き甲斐を求めるのは自然の欲求と言えるのです。

 

好きなことが分からない、今の中高年世代

就職氷河期を経験した40代、50代は、社会に出てからも「失われた30年」と呼ばれる日本経済の停滞期の中で、ガムシャラに働いてきました。振り返ってみると、自分の生き甲斐まで気が回らなかった人も多いのではないでしょうか?

「いやいや、可愛い子どもたちのために働くこと自体が生き甲斐だ」、もちろん嘘ではないでしょう。では子どもたちが独立し、再び自分の人生を歩み始めた後はどうなるのでしょう? 生き甲斐がなくなってしまいます。

日本人は、特に40代以上の世代は、自分の人生を楽しむとか、自分らしく生きるということが苦手なように感じます。私の周りにも趣味らしい趣味がないとか、自分が老後何をしたいか分からないといった人が何人もいますが、その理由の1つが、私たちが受けてきた教育だと思っています。

私たちは学校で「他の子と同じように行動できるようになりなさい」「輪を乱す行動は控えなさい」といった教育を受けてきました。事実、大企業では、組織の歯車として周りと合わせて同じように動ける人材が重宝されてきました。

このように育てられた40代以上の日本人が、自分の人生の楽しみ方や自分らしさを見つけることの優先度を上げられるとは思えません。それでも20代、30代の頃は子育てで忙しく、経済的にも余裕がなく、生き甲斐など考えなくても人生に張りがあったかもしれません。

ところが年齢が上がり、子どもも独立し、経済的に余裕が出てきた時には、逆にできることが減ってきます。例えば、「食べることが生き甲斐」と言う人も、高齢になってくると自然と食が細くなる。「夫婦でテニスやゴルフをすることが生き甲斐です」という人も、だんだん体が動かなくなってくる。

そんな時に、生き甲斐作りを考えてこなかった世代が急に生き甲斐を持てるでしょうか。結果として、老後やりたいこともなく、気づけば家でゴロゴロしている状態になりかねません。

ただ、家でゴロゴロできていればまだ良いのですが、別の問題として介護問題が出てきます。人生100年時代で私たちの老後が長くなるのと同時に、私たちの親世代の老後も長くなります。

自分が定年退職を迎える年齢になり、ようやく第2の人生で自分の生き甲斐作りができるようになる頃に、親の介護が始まるケースもあるでしょう。そうなってしまえば、かつての子育てと同じように、また自分の生き甲斐の優先順位を下げざるを得ない、ということになりそうです。

とにもかくにも、かつての私もそうでしたが、40代、50代は、今までもこれからも、自分の生き甲斐と向き合うことが難しい世代なのです。

 

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