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年間で200冊担当するブックデザイナーが説く「継続が得意になる一つの方法」

井上新八(ブックデザイナー)

2024年05月09日 公開 2024年12月16日 更新

年間で200冊担当するブックデザイナーが説く「継続が得意になる一つの方法」

圧倒的な仕事量・質・実績で、業界では知らない人がいないブックデザイナー・井上新八さん。常時40件ほどの案件を抱えながらも、ジョギングや読書、ゲームなど数多くの習慣をこなしています。なぜそんなことが可能なのか。その裏にはとてもシンプルな習慣術がありました。

※本稿は『「やりたいこと」も「やるべきこと」も全部できる! 続ける思考』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を一部抜粋・編集したものです。

 

絶対に続く究極のやり方

続けることは、「仕組み」さえつくってしまえば、あとは勝手に続いていく。継続は仕組みが10割だ。やる気も気合いも根気もいらない。わたしは20年以上試行錯誤してこの方法にたどり着いた。ただ、本当にシンプルでバカみたいなことなので驚かないでほしい。

まず、いちばん大事なことを書く。何かを続けるための究極の方法だ。「絶対になんでも続く」すごい方法。絶対に続くし、しかも超シンプル。「そんなものある?」こう思うでしょ? じつは、ある。嘘だと思うでしょ? 本当にあるのだ。もったいぶっても仕方ないので言う。心して読んでほしい。

それは、「毎日やる!」

これだけ。毎日やれば絶対に続く。これであなたはもう3日坊主卒業だ。おめでとう!!

ラクに続けるコツは、週1日やる、週2日やるではない。週7日やる、これなのだ。じつは本稿で読むべきところは、この1行だけ。これが絶対の最強法則。

スパルタに聞こえる? いやいや、決してストイックに考えなくていい。大事なのは「毎日やると決める」こと。決めるだけでいい。

続けることの最大の敵は、「やらない」ことと「やめる」こと。

「週に3回やる」だと、週に4回やらない日ができる。だいたい最初の2、3週間はそのペースで続けられる。でもそのうち「今日休むけど明日はやる」、そして翌日がきて「今日は忙しいから明日にしよう」、そうやって「やる日」「やらない日」がいりまじって、いつのまにか毎日が「やらない日」、たまに「やる日」になってそのうちまったくやらなくなる。

たまに知り合いがブログをはじめるとだいたいこのパターンで終わっていく。このパターンよくわかる。以前の自分がそうだったから。たまにやる、気分が乗ったらやる。それで続くわけがない。人間の意志はそれほど強くない。続くようになるには毎日やることなのだ。

20年くらい前からブログを書いているのだけど、「気が向いたら書く」っていう更新の仕方をしていたら、仕事が忙しくなっていつのまにか更新頻度が減って、年に数回しか書かなくなってしまった。でもある日「毎日書こう」と決めてみたら、毎日更新するようになった。それから8年近く、本当に毎日更新が続いている。

続ける秘訣は「毎日やる」なのだ。これが絶対に続く「すごい」やり方だ。いや、本当。毎日やれば絶対に続くから。「できない日」はやらなくていい。できない日は仕方ない。大切なのは「毎日やる」と決めること。

ラクに続けるには、選択肢を減らすのがいちばん手っ取り早い。まず「やらない」という選択肢をなくしてしまう。「やる」「やらない」をいちいち毎日考えないようにする。そのために「毎日やる」と決めるのだ。これで「やらない」という選択肢がなくなる。それだけで「続ける」ことは格段にラクになる。

実際、「毎日やる」と思ってずっと続けていると、「やらない」という選択肢を自然に考えなくなっていく。そのうち「やる」のがあまりに当たり前になって、そのことすら考えなくなる。多少困難なことも、いつのまにか当たり前のことになっていく。

 

「続ける体質」を作る方法

どのくらいでそうなるのかは人によって差はあるだろうけど、わたしの場合、「毎日4分筋トレする」くらいのことなら2ヶ月続けたらだいたいペースがつかめてくる。

実際、66日ルールというのがあって、「習慣はだいたい66日で定着する」らしい。ロンドン大学のフィリッパ・ラリー博士が研究論文でそう提唱している。

ただ、「毎日1冊本を読む」くらいハードルの高いことだと、ラクに続けられるようになるにはもっとかかる。わたしの経験上、困難なことだと無意識でできるようになるまで1年半。だいたい500日間毎日続けると、「続ける」ことが無意識に変わる気がする。

朝起きたら何かひとつ意識的にやる。これは「続ける体質」をつくるうえでものすごく効果がある。

起きたら水を一杯飲む。そんなことでもいい。じつはもうすでに当たり前にやっていることでもいい。朝起きたら、最初の一歩を右足から踏み出すというようなことでもいい。

何が大事かというと、小さなことを「意識的にやる」ということ。何かを「やる」ことに意識を向けるだけでいい。よし、今日も水を飲むことで1日がはじまった。よし、今日も右足から1日がはじまった。じつはこれを意識するだけで、小さな継続がはじまっている。

なんでもなかったことが、「続ける」観点で見てみると、「今日も続いた」に変換される。「続けるのが苦手」なんて思い込みだ。すでにみんな、もう何かを続けている。「続ける」を楽しむのは、こういう小さな発見を楽しむことでもある。

一度それを意識したら、明日もそれを意識してみる。まずは、朝の一歩目から、そこからはじめてみる。小さなことをはじめてみる次の一歩は、何かひとつ小さなことをやってみること。なんでもいいから小さなことをはじめる。

 

簡単な習慣から始めてみる

わたしが毎日続けているもので、「これはすごく簡単でいいな」と思っている習慣がある。それは、「朝起きたら外に出て朝の空の写真をスマホで撮る」というもの。時間にして10秒ほど。

はじめたきっかけはたまたま元日に「初日の出」を家のベランダから撮ったこと。「太陽の動きってどのくらい変わるんだろう」とふと気になり、それからしばらく朝日の写真を撮影し続けていたら、いつのまにかそれが習慣になった。簡単なことだからずっと続いている。

あとで知ったのだけど、起きて外の空気を浴びるのは体にもすごくいいらしい。アーユルヴェーダ的にもすごくいい効果があるらしい。朝起きてすぐ外に出て、空気を吸って、写真を撮る。これだけで意外に朝が気分よくはじまる。

例えば明日から毎日読書をしようとする。これを具体的に小さく考える。「毎日10ページ読むぞ!」これなら小さい。けどそれでも気が重く感じる......かもしれない。それなら毎朝、「本を手に取ってページを開くだけはやる!」これなら1秒で終わる。このくらい小さく刻んでもいい。

とにかく意識だけでも向けられるように無理のないところまで小さくする。本を手に取ってページを開くだけ。本当にこれだけでいい。そのために見えるところに本を置く。「本を手に取ろう」という意識がそこに働く。もうこれで十分。これをバカにしないでひと月続けてみる。

たぶん手に取るついでに数ページは読んでいるはず。むしろ読まなければそれはそれであり! 毎日同じ本を手に取って1年読まなかったら、それはそれですごいことだ。

 

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