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認知症の柴犬を介護する猫 飼い主が忘れられない「二匹の別れの時」

2024年08月07日 公開 2024年12月16日 更新

認知症の柴犬を介護する猫 飼い主が忘れられない「二匹の別れの時」

認知症の柴犬"しの"と、介護する猫"くぅ"。くぅがしのに寄り添い、支える様子がInstagramに投稿されると、その種を超えた友情に大きな反響を呼びました。

今は2匹ともお空の上にいってしまいましたが、飼い主である晴さんはご著書『くぅとしの 認知症の犬しのと介護猫くぅ』にて当時のことを細かく語られています。

晴さんは、しのを介護する間は睡眠もままならないほど大変だったそうですが、くぅの存在には助けられたと話します。くぅがどのようにしてしのを支え、その役割が晴さんにとってどれほど大きなものであったのか、詳しくうかがいました。

 

ボロボロの状態で保護されたくぅのお茶目な性格

くぅとしの

――書籍の中では一番手のかかったと書かれていた"くぅちゃん"ですが、どんな性格だったのか教えていただけますか?

【晴】くぅは保護当初から人も猫も怖がりませんでした。ずっと独りで生きてきたからか、先住猫たちにすごく興味津々でいつも後をついて回っていました。

でも、少し空気が読めない部分があって...笑 他の猫が寝ているベッドに割り込んでみたり、おもちゃを横取りしたり、よく猫たちを怒らせていました。でも、くぅには悪気がないので、なぜ怒られているかわからずにきょとんとしていて。だから同じことを繰り返しては怒られていましたね。

最終的には先住猫たちの方が折れて、受け入れられた感じです笑

――憎めない可愛らしい性格が伝わってきます。保護した頃の様子はどのような感じだったのでしょう?

【晴】推定1歳くらいのころ、ボロボロの状態で保護をしました。はじめは食糞のクセがあったんです。野良時代は自分で栄養をあまりとれなくて、他の猫の糞からわずかな栄養を摂取して生き延びていたんだと思います。そのせいか体は子猫サイズのままでした。

腸炎もあって、食べるといつも吐いてしまっていました。だから1食分をふやかして2,3回に分けてあげていましたね。治るのには3年かかりました。トイレもなかなか覚えてくれず、お世話に時間もお金もかかりましたね。

 

元の飼い主の面影を探していたしの

一緒に寝るくぅとしの

――続いて、くぅちゃんが大好きだった柴犬の"しのちゃん"について教えていただきだいです。

【晴】しのとの出会いは2011年、道路の真ん中を走り渋滞を起こしていたところを保護しました。しのは元々飼い犬だったようで、保護したときは首輪をしていました。でも、ドブみたいな匂いがするかなり古びた首輪だったので、前の飼い主さんから離れて時間が経っていたのだと思います。当時は推定10歳くらいでした。

保護したあと、ご近所さんから聞いたのですが、毎日のように遠くの方からうちの近所まで走ってきて、犬を散歩させている人などからおやつをもらって生活していたみたいなんです。

――それは...犬を飼ったことのある身として胸が痛みます... しのちゃんはどのような性格の子だったのでしょう?

【晴】穏やかなんですが、ずっと独りだったからか寂しがりやなところがありましたね。野良時代に何があったかは分からないのですが、猫に威嚇されると「キューンキューン」と怯えて。だから猫はあまり好きではなかったですね。

人間と他所の犬に対しては興味をあまり示さずクールな印象でした。でも、通りすがりの見ず知らずの親子のことは、いつも見つめていましたね。それも、決まって自転車に乗っているお母さんと小学校低学年くらいの男の子の組み合わせで... 2人が視界からいなくなるまでずーっと見ていました。

だから、そういった家族に飼われていたんじゃないかなあと思っています。

あと、何して遊ぶんだろうって色々試してたんですが、鬼ごっこだけは喜んでやってくれました。私がしののことを追いかけて、タッチしたらしのが私を追いかけて...を繰り返しやっていましたね。前の飼い主とかつてこうやって遊んでいたのかもしれません。

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