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生き方

「どうせ自分なんか...」自己否定のクセがなくなる5つのプロセス

中島輝(心理カウンセラー)

2024年10月01日 公開 2024年12月16日 更新

「どうせ自分なんか...」自己否定のクセがなくなる5つのプロセス

落ち込む出来事ばかりで、自分に自信が持てない...一度ネガティブのループに陥ると、自己肯定感も下がり新しい何かに挑戦する意欲も生まれにくくなります。

心理カウンセラーの中島輝さんが、そんな「うまくいかない連鎖」から抜け出す方法を著書『自分を好きになる7つの言葉』にて教えてくれます。

※本稿は、中島輝著『自分を好きになる7つの言葉』(きずな出版)より内容を一部抜粋・編集したものです。

 

自分を解放する「泣いてもいいよ!」

本稿では、落ち込んでいる自分を受け入れる大切さについて掘り下げます。

時には、心の中に怒りや悲しみが溜まってしまうことがあります。これらの感情は、無視してしまいがちですが、認めて表現することが心の健康には必要です。

人は、落ち込むと、怒りや悲しみといったネガティブな感情を感じることがよくあります。これはまったく自然なことで、人間だからこそ経験する感情です。

問題は、これらの感情をどう扱うかにあります。怒りや悲しみを無視したり、抑圧したりすると、心の健康を害することがあります。

落ち込んでいる自分を受け入れる最初のステップは、自分の感じている怒りや悲しみを認めることです。感情は、あなたの心が何かを伝えようとしているサイン。それらを無視せず、自分の心と向き合うことが大切です。

そして、その向き合った感情を表現することも、自分を解放する重要なステップです。「泣くこと」は、特に有効な方法の一つです。

泣くことで心の重荷を少し軽くし、感情を外に出すことができます。泣くことには、心を落ち着かせ、ストレスを軽減する効果があります。

また、泣くことで、人は他人との絆を深めることができます。誰かに心の内を話し、共感を得ることで、孤独感を軽減し、支援の輪を広げることができます。

落ち込んでいるときは、一人で抱え込まず、信頼できる友人や家族、場合によっては専門家の支援を求めましょう。他人と感情を共有することで、心の負担が軽くなり、解決策を見つけやすくなります。

心の健康を保つためには、自己ケアが非常に重要です。好きな活動をする、自然の中で時間を過ごす、趣味に没頭するなど、自分を大切に扱う時間を持ちましょう。自己ケアを通じて、心のバランスを取り戻し、内面からの強さを育てていきます。

 

うまくいかないことが続いてしまうとき

「うまくいかないこと」が次々と起こるとき、それはまるでドミノ倒しのように感じられることがあります。一つの失敗が次の失敗を呼び、なかなかポジティブな方向に進めない......そんなとき、その原因はどこにあるのでしょうか?

実は、この「うまくいかない連鎖 」には、私たちの思考や感情のパターンが大きく関係しています。たとえば、一度失敗すると「またダメだった」「自分はいつも失敗する」と自分を責めがちです。このネガティブな思考が、新たな行動や挑戦に対する自信を低下させ、結果として次の失敗につなげてしまうことがあります。

また、一度失敗を経験すると、その失敗を避けるために無意識のうちに慎重になりすぎたり、挑戦を避けたりすることもあります。それがかえって新たなチャンスを逃す原因となり、成功の機会を自ら遠ざけてしまうこともあるんです。

このような状況を打破するには、まず自分の思考パターンに気づくことが大切です。「また失敗するかもしれない」という恐れではなく、「次は何を学べるだろう」という好奇心を持つように心がけてみましょう。

失敗から学ぶことで、次に活かすことができれば、失敗は貴重な経験となります。「思考パターン」というのは、私たちが普段「どんなふうに物事を考えるか」のクセのことです。人にはそれぞれ、物事を見るときの特別な「メガネ」があって、そのメガネを通して世界を見ています。このメガネは、過去の経験や育った環境、学んだことなどによって色が変わります。

たとえば、ある人は「何をやってもうまくいかない」と思うネガティブなメガネをかけているかもしれません。そういうメガネをかけていると、新しいことに挑戦するのが怖くなったり、いつも悲観的に物事を見てしまいます。

逆に、いつも「きっと大丈夫、何とかなる」と前向きに考えるポジティブなメガネをかけている人もいます。このメガネをかけていると、困難な状況でもよい面を見つけられたり、挑戦する勇気が湧いてきます。

ほかにも、「一度失敗したら、いつも失敗するんだ」と一般化して考えるメガネや、「すべてが完璧でないとダメ」と白黒思考で考えるメガネもあります。これらのメガネは、時には私たちの考え方や感じ方、行動に影響を与えてしまうんです。

大事なのは、自分がどんなメガネをかけているかを知ることです。そして、そのメガネが自分にとってよくない影響を与えているなら、色を変えたり、新しいメガネに替えたりする勇気を持つこと。自分の考え方のクセを少し変えるだけで、世界がもっと楽しく、明るく見えてくるかもしれません。

 

ネガティブな思い込みを書き換えていこう

「自分を好きになれない」という気持ちの背景には、
「自分には無理なんだ」
「どうせ、自分がやってもダメなんだ」
「自分なんて......」
というネガティブな思い込みがあります。

ネガティブな思い込みは、私たちの行動や感情、人生の選択に大きな影響を与えます。結果、新しいことに挑戦する勇気や自信を育めなくなります。

でも、これらの思い込みは、実際のところ、私たちが自分自身について「勝手につくり上げた物語(フィクション)」の一部にすぎません。

ですが、「物語」は書き換えることができます。ネガティブな思い込みを書き換える作業は、自己成長のための積極的なプロセスです。

ここでは、その具体的なステップを詳しく見ていきましょう。

【ステップ① ネガティブな思い込みを特定する】

まずは、自分の中にあるネガティブな思い込みを具体的に特定します。
「私は人前で話すのが苦手だ」
「私は何をやっても失敗する」
など、自分が何に対してネガティブな思い込みを持っているかを明確にしましょう。

【ステップ② その思い込みを問い直す】

次に、その思い込みが本当に正しいかを問い直します。
これまでの経験を振り返り、
「本当にいつもそうだったか」
「例外はなかったか」
を考えます。

客観的な証拠やデータを基に、その思い込みが事実に基づいているかどうかを検証します。

【ステップ③ 肯定的な代替をつくる】

ネガティブな思い込みに問い直した結果、それが必ずしも真実ではないということ
がわかったら、より現実的で肯定的な考え方を見つけます。

「人前でうまく話せない」という思い込みを、
「緊張するけれど、準備をすれば、うまく話せることもある」
と書き換えるなど、自分にとってポジティブな代替をつくり出します。

【ステップ④ 新しい思い込みを実践する】

新しくつくった肯定的な思い込みを、日々の生活で意識的に実践します。
たとえば、人前で話す機会があったら、その新しい思い込みを思い出し、

「準備をすればうまくいく」
と自分に言い聞かせてみます。
実際にそれを体験することで、徐々に自信がつき、新しい思い込みが自分の中に定
着していきます。

【ステップ⑤ 小さな成功を祝う】

新しい思い込みに基づいて行動したら、その結果にかかわらず、自分をほめてあげてください。たとえ完璧ではなくても、挑戦した自分を認め、その経験を価値あるものとして受け入れましょう。

 

このプロセスを繰り返すことで、ネガティブな思い込みは徐々に肯定的なものに書き換わり、自己肯定感と自尊心が高まります。自分の思い込みをコントロールする力を持つことは、自分の人生をよりポジティブな方向に導く強力なツールとなります。

「自己受容」のプロセスは、自分の中にあるネガティブな思い込みを特定し、それらを問い直し、肯定的な自己イメージに書き換えていく作業を伴います。

この過程で重要なのは、自分の感情や反応に正直になること、自分を支える人々や活動を見つけること、そして自分自身に優しくあることです。

自分自身に対する愛と受容は、人生のさまざまな困難や挑戦に直面したときに、内側から力を与えてくれます。「それでも自分が好き」という強い自己肯定感を持つことは、自分自身の可能性を最大限に引き出し、より充実した人生を送るための鍵となるのです。

自分自身をより深く理解し、自分のすべてを受け入れることの大切さを認識することです。自分を受け入れることで、困難や挑戦があっても、自分自身を信じて前に進む力を持つことができます。

「何があっても自分のことが好き」と感じることは、自分の可能性を最大限に引き出し、豊かで満足感のある人生を送るために重要なポイントです。

著者紹介

中島 輝(なかしま・てる)

心理カウンセラー

心理カウンセラー。小学4年生のころから双極性障害などの心の病に苦しみ、25歳で実家の借金を背負い込んだことからパニック障害と過呼吸の発作が悪化。その後10年にわたって引きこもるも、その中で独学で心理学やセラピーを習得し自らに実践して35歳で克服。現在まで1万名を超えるクライアントに心理カウンセリングを行い、その95%が回復している。著書に『大丈夫。そのつらい日々も光になる。』(PHP研究所)他、多数。

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