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「婚活がうまくいかない」悩みを深刻化させる、本人の隠れた欲求

根本裕幸(心理カウンセラー)

2024年10月22日 公開 2024年12月16日 更新

「婚活がうまくいかない」悩みを深刻化させる、本人の隠れた欲求

転職したいけど踏み出せない、婚活がうまくいかないなど、世間との比較や思わぬアクシデントから生まれる悩みの数々。心理カウンセラーの根元裕幸さんは、著書『そのままのあなたが、絶対かわいい。 できない自分も好きになる30の「ほめ言葉」』にて、悩みには本人にとって大事なことが隠れていることが多いと語ります。悩みを通して得られる気づきとは?同書の中からご紹介します。

※本稿は、根本裕幸著『そのままのあなたが、絶対かわいい。 できない自分も好きになる30の「ほめ言葉」』(PHP研究所)より内容を一部抜粋・編集したものです。

 

悩みごとは、大事な物事のあらわれ

私たちはどうでもいいことで悩みません。だから何かで悩むということは、それが自分にとってとても大事なものであることを教えてくれているのです。

例えばあなたが、会社を辞めたいなあ、転職したいなあ、と思っていたとします。でも、なかなかきっかけがなくて踏み切れず、そんな自分にモヤモヤしていたとしましょう。そんなとき上司に呼ばれて別室に行くと、自分がリストラの対象になっていることを知らされます。

一瞬ショックを受けると思いますが、同時に「あ!これはチャンスだ!」とも、思うのではないでしょうか? なんなら「渡りに舟ってこういうことか!」と膝を打ってしまうかもしれません。

一方、あなたは住宅ローンを組んでマイホームを買ったばかりだとしましょう。前から飼いたかった猫を2匹も迎え入れ、部屋のインテリアも最高に気に入ったもので揃えることができました。そんなとき上司に呼ばれて別室に行くと、自分がリストラの対象になっていることを知らされます。

さっきとは違って、大問題になると思いませんか?家のローンは? 猫は? せっかくお気に入りの家を手に入れたのに?ショックのあまり、目の前が真っ暗になってしまうかもしれません。

同じ「リストラの対象になっている」という話なのに、そのときの状況によって、受け止め方がまったく違うのが分かりますよね? あるときは「チャンス!」であり、またあるときは「ピンチ!」なのですから。

ローンで購入した家が大切であればあるほど、リストラの悩みは深まりますよね。大事なものだからこそ、悩むのです。つまり「悩み」というのは、私たちが自ら作り出しているもの。

誰のせいでもない、すべての悩みは自作自演なのです。

そうすると、あなたが今悩んでいることこそが、あなたが本当に大事にしたいものだと気づくはずです。とはいえ、この理論は一筋縄ではいかないものでもあります。

婚活がうまくいかなくて悩んでいるとしましょう。この悩みから、家族を持つことが自分にとって大事なんだ、という解釈もできますが果たしてそれだけでしょうか?

周りの人の目が気になる、親を安心させたい、友人や同期に追いつきたい、昔の男をぎゃふんと言わせたい、早く今の会社を辞めたい、のような悩みの理由も考えられるはずです。

そうするとあなたにとって大事なものは、周りの人からの評価であり、親であり、競争に勝つことであり、復讐であり、会社を辞めることなのかもしれないのです。

その大事なものがいいのか、悪いのかは置いといて、今抱えている悩みから自分が大事にしたいものに気づけると、その問題の本質がよりはっきり見えてきます。

「なんで婚活がうまくいかないんだろう?」という悩みから、「ああ、私は親のことを本当に大切に思っているんだな」と気づくことができれば、「もっと親孝行をしよう。こんど食事に誘ってみよう」などと思えるでしょう。

また、「同期や友人に負けてる感じがイヤだったのか。私って競争心が強いのかな?」という問題に気づければ、その競争心を手放すことが目標になるかもしれません。

さらに「ああ、あの男のこと、まだ許せてないんだな」と気づけたら、「まだ次の恋にいく準備ができていないのかもしれないから、もう一度あの男と向き合ってみよう」と新たなテーマが出てくるかもしれません。

この話は実際のカウンセリングを元にしているのですが、そうして自分の悩みから問題の本質が見えてくると、不思議と力が抜けるものでして、さらに実際に親孝行をしたり、競争心を手放したり、昔の男への気持ちを整理したりしていくうちに「そのうち素敵な男性が現れて結婚できるような気がしてきた」と婚活への気持ちそのものが変化することも珍しくないのです。

あなたの悩みは、あなたにとって大事なものを教えてくれます。それに真摯に向き合ってみると、状況は変わらずとも悩みが解消していくことはよくあるのです。

 

自己嫌悪しなくなったらヒマになった

以前ある常連さんが、「自己嫌悪しなくなったらすごくヒマになったんです。しかも、夜もよく眠れるようになりました」という報告をしてくれました。

それまでの常連さんだったら、例えば何か思い通りにいかないことがあると、その原因のすべてを自分のせいにして、自分を責め続けてしまっていたんです。それが今は、まったく自分を責めないわけじゃないけれど、ほとんどしなくなったと言うんです。

「今までならそこからうじうじ1時間以上は引きずっていたのに、今は数分経つと『しょうがないよね』と思えるようになっちゃって、それ以上自分を責められなくなったんです」

これは、とても素敵な変化だと思います。なぜなら、自分を責めるのも、自分に責められるのも、すご
くエネルギーを使いますし、それ自体が大きなストレスになるからです。

さらにそこには、自分を責める時間も含まれます。自己嫌悪がなくなって自分を責めることが減れば、当然ながらそこで消費されていたエネルギーや時間、生まれていたストレスも減ることになります。

ストレスが減ればその分、睡眠の質もよくなりますよね。だから、常連さんのように自己嫌悪が減れば時間にも余裕ができるし、夜もよく眠れるようになるんです。

みなさんは、1日の中でどれくらいの時間を自己嫌悪に費やしてしまっていると思いますか?そして、それ自体が生み出すストレスってどれくらいだと思いますか?

自己嫌悪が習慣化してしまっていると、こうした浪費が当たり前になっちゃって、なかなか気づけないんですよね。だから、一度、振り返って考えてみましょう。そして、自己嫌悪をしなくなった自分の姿を想像してみてほしいのです。

一般的には自己嫌悪をしなくなると、時間にも心にも余裕が生まれ、睡眠の質も上がると言われていますから、今と生活が一変すると言っても過言ではないと思います。

先ほどの報告をしてくれた彼女もそのあと、「視野が広がったのか、職場でいろんなことに気づけるようになり、同僚のサポートにも手が回るようになったんです。それに加えてもちろん、自分の仕事もしていますが、それでも時間的にも気分的にも全然余裕なんです」とおっしゃっていました。

「自己嫌悪って膨大な時間とエネルギーの消費なんですね」

そんな格言級のお言葉もいただきました。

他にも自己嫌悪が減ったことで「肩こりや腰痛がマシになった」とか「集中力が増して仕事の効率がアップした」「目覚めがよくなって、朝を気持ちよく過ごせるようになった」「職場の人間関係がなぜか良好になった」「パートナーの愛を素直に受け取れるようになって絆が深くなった」などなど、様々なご報告をいただいています。

さてここまでくると、「じゃあ、どうやったら自己嫌悪をしないようになれるの?」という新たな疑問が生まれるかもしれません。ですがそれは、本書を読んでいただければ自然とできるようになるかと思いますので、ご安心ください。自己嫌悪って、ちゃんとなくなるんですよ。

だから、「自己肯定感を上げたい!」「自己嫌悪をやめたい!」と、頑張って何かをする必要はないんです。既にあなたは頑張ってるんですから、これ以上タスクを増やす必要はありません。

ただ本書を読んで、ところどころに散りばめられたワークを、気が向いたときにやってみて、なんだか心が少しでも動けば、もうそれだけでいいんです。

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