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脳科学が明らかにした「成果を出す人ほどしっかり休む」の秘密

岡田昭人(東京外国語大学教授)

2021年05月03日 公開 2022年10月06日 更新

脳科学が明らかにした「成果を出す人ほどしっかり休む」の秘密

勉強も仕事も、やみくもに努力する人より、適度に休める人の方が実は成果を残している。上手な休息こそが、生産性を上げるためのカギである。

そう語るのは、東京外国語大学大学院総合国際学研究院の岡田昭人教授。同氏はオックスフォード大学教育学大学院に留学し、同校で日本人初の教育学博士を取得。現在はさまざまな国籍の生徒たちに、知識の詰め込みではない「学び」の楽しみと本質を教えている。

本稿では、岡田氏の新著『学びの呼吸~世界のエリートに共通する学習の型』より、「集中」と「休息」をうまく組み合わせる習慣「ポモドーロテクニック」のメリットを解説した一節を紹介する。

※本稿は、岡田昭人『学びの呼吸~世界のエリートに共通する学習の型』(技術評論社刊)より一部抜粋・編集したものです。

 

ポモドーロテクニックで最大限の生産性と効率性を引き出す

「明日までに3冊の本を読まなくてはならない」
「資料の提出までもう時間がない」

決められた日時までにやらなければならないことがあるのに、「集中できない」「ほかのことに気を取られてしまう」という焦りや苛立ちに邪魔されて思考が停止してしまうことは、だれもが一度は経験していると思います。そういう時は、やみくもに努力しようとするのではなく、脳をしっかり休める必要があります。

 

休息が生産性を上げる

勉強や仕事中に何もしないでただボッーとしていると、「だらけている」「時間がもったいない」などと思われてしまいます。ところが、近年の脳科学の研究結果を見ると、「適度にボーッとする」ことがいかに重要であるのかがわかります。

■ウルトラディアン・リズム:90分ごとに、脳の活動レベルは休息を必要とする水準まで下がってしまう

イスラエルの脳科学者ラビー教授は、睡眠中に浅い眠りと深い眠りがあるのと同様に、日中の活動時にも集中と非集中のサイクルが交互に出現すること(ウルトラディアン・リズム)があることを発見しました。

ラビー教授は、人の日中の集中/非集中のサイクルの周期はおよそ90分であるとしています。つまり、90分ごとに脳の活動レベルは休息を必要とする水準まで下がってしまうため、適宜休息をとる必要性があるということです。

■クールダウン:頭に知識や情報を詰め込むばかりではダメ

人は学習時に、脳の中のニューロン(神経細胞)同士のつながりが強まり、思考活動が活発になります。ですが、神経細胞の数には限りがあるため、頭に知識や情報を詰め込むばかりではオーバーヒートして飽和状態になってしまい、それ以上記憶することができなくなるとされます。

そのため、学習や仕事には「クールダウン」が必要とされています。クールダウンとは、激しい運動の後に休息して体の調子を整えることや、「冷静になること」または「頭を冷やす」を意味します。

脳神経学の分野では、学習や記憶には脳の「海馬」という領域が深くかかわるとされています。東京大学の池谷裕二教授は、学習している中学生の脳のガンマ波を測定し、適度な間隔で休憩を挟みながら勉強することで集中力が回復することを発見しました。また、休憩を伴う「短時間学習」が長期的な記憶の固定にも効果を発揮していることがわかりました。

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「作業25分+休息5分」を1セットとして考える

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