仕事の差は時間管理によって生まれる場合が多い。その考え方の違いはどこにあるのか。整理ができる人は 「自分との約束」を優先し、できない人は 「他人との約束」を優先すると言う。できる人のスケジュール管理・整理術を片付けのプロ、大村信夫氏が語る。
※本稿は、大村信夫著『仕事の「整理ができる人」と「できない人」の習慣』(明日香出版社)より一部抜粋・編集したものです。
自分の仕事が終わっていないのに、どんどんスケジュールが埋まっていく!
ちょっとご自身のスケジュール帳を開いてみてください。
どんな予定が入っていますか?
「〇〇さんとの打合せ」「△△プロジェクトの定例会議」など、スケジュール帳には、取引先との約束や会議の予定を入れることが多いと思います。
私のスケジュール帳も、会議や取引先との予定を記入するようにしていました。
そしてスケジュールの空白の時間を見つけては、自分の仕事をしていたのです。
でもある日、気が付きました。
自分の仕事が終わっていないのに、どんどんスケジュールが埋まっていくのです。
相手のスケジュールに合わせて業務を調整することが多くなり、自分がやるべき業務が終わらず毎日のように残業、時には週末にまで自分の仕事をしていたのです。
そして自分で仕事をコントロールできない状況になり、ストレスまでも増えてしまいました。
まずは「自分」との約束を優先してスケジュールに記入する
そんなある日、仕事も早く、帰るのも早い同僚のスケジュール帳をたまたま見せてもらう機会がありました。その同僚はスケジュールに、自分の作業時間をキープしていたのです。
つまり、会議でも取引先でもない「自分との約束」を入れていたのです。
同僚のように、仕事の整理ができる人は、前項で紹介した第二領域のタスクを、「自分との約束」としてスケジュールにあらかじめ設定しています。
そもそも第二領域は締切が直近ではないため、どんどん後回しになってしまう領域です。なのでやる時間を確保しておくことが大切なのです。
これにより、後回しになりがちな第二領域のタスクを優先して、取り組めるようになります。そして自分自身が仕事をコントロールしている実感も得られます。
もちろん、100%自分都合だけで時間をブロックすることはできません。
他者からの打診があった場合は、自分との約束と、他者との約束の、どちらを優先すべきかを検討します。
その結果、自分との約束を優先すべきと判断したら、もう少し先の日程でお願いできないかを交渉したり、会議には出ないけれど議事録を共有してもらって後日キャッチアップできないか、もしくは他の参加者に委任できないか、を考えます。
その判断方法としては、もしも自分が体調不良などで出席できない場合に、その会議が予定どおり開催されるか、再設定になるかということを基準にしても良いでしょう。
自分がいなくても予定通り開催される会議は、マストではなく、出ないよりは出たほうがよいという「ナイストゥハブ」(Nice to Have、やらないよりは、やったほうが良いこと)です。
なので「ナイストゥハブ」は基本的にやめるという基準を作っても良いと思います。
この考え方は、他人が主体の「他人軸」ではなく、自分が主体の「自分軸」で生きることにもつながっていきます。
人生の主人公はあなた自身なのですから、まずはあなたがやるべきことを優先して、スケジュールにはあなた自身との約束を優先して入れてください。