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攻撃的な人の本音は「自分の身を守りたい」 精神科医が教える一つの対処法

精神科医Tomy

2024年11月29日 公開

攻撃的な人の本音は「自分の身を守りたい」 精神科医が教える一つの対処法

攻撃的な人からの心無い言葉...うまく受け流せず、悩みを抱えてしまっている方も多いでしょう。他人から攻撃された時、どのように対処したらいいのでしょうか? 精神科医Tomyさんの書籍『穏やかに生きる術』より紹介します。

※本稿は、精神科医Tomy著『穏やかに生きる術』(KADOKAWA)を一部抜粋・編集したものです。

 

人に攻撃されない練習

他人に攻撃されて悩んだことが、一度は、あるいは何度もあるかもしれません。どこにいても必ず他人を攻撃する人はいるものです。ここでは他人の攻撃、またその対処法について考えてみたいと思います。

まず他人からの攻撃がやっかいなのは、「相手が攻撃的なのは自分に非があるせいなのかもしれない」と思いこんでしまうことです。もちろん自分に何らかの問題があり、それが相手の攻撃を呼び起こしていることがないとはいえません。

しかしよく考えていただきたいことがあります。

「アナタに問題があったとしても、果たして攻撃していいのか」という問題です。

答えは明白で攻撃する理由にはなりません。そして相手がちゃんとした人間であれば攻撃してくることはありません。しかし「怒られる」ことはありえます。ここが要注意です。

怒られる場合は、内容が大切です。自分の態度や特定の行動に対して注意を受ける。この場合は、直してほしいポイントが明確であり、一方的に相手の問題とは言えません(「怒る」と「叱る」という言葉で区別される場合もありますが、実際には混用されているので、ここでは区別して扱わないことにします)。しかし、直すポイントを明確にせず、アナタ自身を否定する場合は、相手の攻撃です。

では攻撃していいわけはないのに、なぜ他人を攻撃する人がいるのかについて考えてみましょう。答えからいうと、たいていは自分の身を守るためです。攻撃は最大の防御ともいうように、自分の身を守るために相手を攻撃するのです。

相手を責めるときは、「自分は正しい」という前提で話をします。自分の非を認めることが苦手な人は、他人を攻撃することで自分の気持ちを守るのです。この場合は自分の身を守るのが目的ですから、相手は誰でもいいのです。

また、自分をしっかり守るために相手に何が何でも非を認めさせようとします。人格ごと否定したり、相手が悪い理由を上手に理屈立てようとしたりします。

またマウンティングもこうした「自分を守るための攻撃」の一つです。

マウンティングの場合は、相手より自分が優れていることをアピールして、安心感を得る行為です。これも自分の立場を守るために相手を攻撃していると言えるわけです。

こうした相手に出くわしたとき、真っ先にやるべきことは「距離をとる」ことです。自分のために闇雲に武器を振り回しているわけですから、距離をとるしかないのです。ただ距離のとり方にも様々な方法があります。

 

相手と距離をとる方法

一つは物理的に距離をとる方法。たとえば連絡をとらない。同じコミュニティから離れる。直接関わり合わないようにするのが一番良い方法です。

しかし相手が会社の上司や家族など、簡単には距離をとれない場合もあります。このときはどうしたらいいのでしょう。この場合は、心理的に距離をとってください。心理的に距離をとるというのは、簡単に言えばスルーする。暖簾に腕押しという表現がありますが、言葉では従っても心では従わない、暖簾になりきるのです。

心理的に距離をとる具体的な対処方法はいくつかあります。たとえばこの本を読むなどして、様々な考え方を身に着けることです。

「攻撃をする人は、自分の身を守るためにするのだから気にしなくていいのだな」と知るだけでも心理的距離を多少はとれるようになっているはずです。何を言われても凹む必要はなく、「すみません」「そうですね」などと言って適当にあしらっていればよいのです。

相手を攻撃する人にとって、アナタが凹む姿が報酬になっています。その姿を見せなければ、自然と相手の攻撃は減ってくる可能性が高いと思います。

ただ、言い負かしてやろうとか、逆に攻撃してやろうなどと考えることはやめてください。自分のために相手を攻撃する人と同じ土俵に立ってしまいますし、相手もよりムキになってひどい攻撃をしてくるかもしれません。

また相手のことをなるべく考えないことも、心理的な距離をとる良い方法です。結局嫌な人のことを考えるから辛いのです。考えなければ、その辛さもないようなものです。

ただ「考えない」というのは、かなり難しいことです。そのため、「他のことを考える」「違うことをする」のが一番手っ取り早い方法です。

たとえば嫌な人ではなく、好きな人のことを考える。楽しいイベントのことを考える、企画する。嫌な人のことを考えてしまう時間を、楽しいことを考えて追い出してしまうのです。あるいは「違うことをする」のも大切です。家事をしたり、映画を見たり、本を読んだり、友達とお茶したり、お風呂に入ったり。人間は行動を変えると、その行動について考えるので自然と気持ちが切り替わります。

これらの方法を上手く組み合わせれば、「嫌な人のことを考える時間」がどんどんなくなり、小さな悩みに変わっていくはずです。

著者紹介

精神科医Tomy(せいしんかい・とみー)

精神科医

1978年生まれ。東海中学・東海高校を経て、名古屋大学医学部卒業。医師免許取得後、名古屋大学精神科医局入局。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医。現在は心療内科・精神科のクリニック院長として勤務。38万フォロワー突破(2023年10月時点)のX(旧Twitter)が人気で、テレビ・ラジオなどマスコミ出演多数。著書『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)に始まる「1秒シリーズ」は、33万部突破のベストセラー。

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