冬場も油断できない「高齢者の脱水症状」 介護のプロが教える水分の摂らせ方
2024年11月26日 公開
高齢者の健康にとって、しっかり水分補給をすることはとても重要です。水分が足りていないと、脱水症状を起こしてしまうこともあります。『PHPくらしラク~る♪』より、高齢者のための水分補給の仕方についてご紹介します。
※本稿は、『PHPくらしラク~る♪』2024年12月号より、一部を抜粋編集したものです。
-------------------------
おばあ:松原文子(90歳)
1934年生まれ。大工の棟梁の夫と若い衆、子や孫に料理を作り続けてきた。近年パーキンソン病を発症し、孫の手助けが必要に。料理や介護に奮闘する孫に感謝しつつも、感想は率直で手厳しい。
孫:大迫知信(40歳)
脱サラ後、おばあが作るちょっと変わった料理に支えられ、念願だった物書きに転身。著書『おばあめし』(清流出版)を出版。おばあが台所に立てなくなってからは、自らが作る"まごめし"を出している。
・ブログ「おばあめし」 https://obaameshi.com/
・Instagram https://www.instagram.com/obaameshi/
-------------------------
いつの間に!? 脱水症状になってるやんか、おばあ!
【介護のプロに聞いてみた】
――おばあが水分をとってくれません......。
多くの高齢者が、ほんの少ししか飲み物を飲んでいなくても「飲んだ」と答えはります。ご本人はじゅうぶんに飲んだつもりでも、量が足りていないんですね。声掛けや自己申告に頼るより、目盛りのついたコップを使って、実際に飲んだ量を把握するようにしてください。
介護用のコップなら、目盛りの他にもフタや取っ手がついていて、手が動かしづらいかたでも使いやすいですよ。ご家族や訪問ヘルパーなど誰かが定期的に訪ねて、何か飲んでもらう習慣を作るのも効果的。毎日通っている大迫さんが文子さんの水分補給を意識してください。
――おばあの飲み物は何がいいでしょうか?
ご本人の好きなものがいいですよ。ノンカフェインのお茶や水、経口補水液など、水分補給に適した飲み物もあります。ですが誰でも、嫌いなものは飲みたくありませんよね。あまいジュースでも飲んでくれないよりはいいと思います。
砂糖のとりすぎが心配なら血糖値を上げない甘味料を使ったり、あまくない飲み物を併用したりして工夫してあげてください。
飲み物は一日に1リットル以上飲むことが推奨されていますが、意識しないとなかなか飲めません。それに冬場も空気が乾燥し暖房を使うので、意外と汗をかいて脱水症状になるんです。それが命にかかわることもあるので、一年中気をつけてあげてくださいね。
――おばあの水分補給、任せてください。
協力:一由麻里
おばあと孫が暮らす大阪・四條畷市で90年続く福祉の会社、畷ケアサービス(ちよの里)を営む3代目。介護の問題に直面するおばあの孫の相談に乗っている。
マンガ:いしづかちなつ
京都芸術大学マンガ学科卒業。認知症をわずらった祖父の介護にあたった6年間をマンガにした同大学の卒業制作『ころがる毎日』で優秀賞を受賞。