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あんなことしなければ...医師が教える「消えない後悔が解消する」3つの質問

築山節(医学博士)

2025年01月08日 公開

あんなことしなければ...医師が教える「消えない後悔が解消する」3つの質問

誰しもが抱いている「後悔や悔い」の感情。いつまでも過去の失敗を悔いて、前に進めない人もいるかもしれません。なかなか消えない後悔を解消するためには? 医学博士の築山節さんが解説します。

※本稿は、月刊誌『PHP』2024年1月号より、一部編集・抜粋したものです。

 

後悔には2種類ある

後悔や悔いは、「あんなことしなければよかった」「あれをしておけばよかった」と過去にとらわれている苦痛を伴った認知的な思考で、怒り、不安、恐怖、悲しみなどのネガティブな感情の中でも、もっとも経験することの多い感情といわれています。過去の失敗を振り返り、改善点を探ろうと論理的に考えている「反省」とは、この点で観点が大きく異なります。

後悔には2種類あります。

一つは、「~しなければよかった」というような、してしまったことについての後悔です(経験による後悔)。

これは自分の意思決定によって生じた悪い結果を、実際とは異なるよい結果を想像して、「もし......だったら」と考えて生じるネガティブな感情であり、感情的衝撃も大きいといえます。

もう一つは、未来の状況について「~という行動を取ったら、~のような後悔をするだろう」といった未来の失敗を回避しようとする後悔です(予期的後悔)。

予期的後悔は、後悔の量が最小化するように意思決定に働きかけます。すなわち予期的後悔は、リスクを回避する選択につながります。

 

5つの対策と3つの質問

これらの後悔は、後知恵バイアス(注:バイアス=認知の歪みや偏り)といわれることがあります。何らかの出来事や物事の結果について、最初から予見できたのにそうしなかったのではないかと考えてしまうところがあるからです。後知恵バイアスに陥らないための対策を5つあげておきましょう。

①物事がうまくいくかいかないかには、自分たちではどうにもできない「運」の要素が含まれています。誰もコントロールできない要素なので割り切りましょう。

②物事の結果よりも、そのプロセスに目を向けるようにしましょう。偶然の結果よりも、期待どおりのプロセスを経たかどうかのほうが重要です。

③うまくいくかどうかを確率で考えると、客観的な評価がしやすくなります。

④失敗につながる要素が残っているという前提で改善を積み重ねていきましょう。

⑤他者の評価は、しょせん他者の評価です。成功に向けて自ら努力することのほうが大切です。

こうした対策に加えて、後悔を解消するために、私は自分自身に対して、次の3つの質問をするようにしています。

 

❶いつも考え尽つくしてきたか?

どんな事柄であっても、当然ゴール地点をイメージしています。そして、始まりと途中のプロセスが重要なので、これらについて重点的に考えます。うまくいくかどうか、客観的、確率的要素はどうかを考え、最後に、うまくいくために必要なものは、すべて揃っているかも考えます。

❷考えの幅が狭せまくなっていないか?

年齢とともに、行動半径は狭くなり、行動自体も減少しているので、情報量が少なくなっていることは認めなければなりません。しかし、その一方で考える時間は長くなっています。意識して情報を集め、脳活動を高めていこうと努めています。

❸考えることが億劫になっていないか?

もし、そうだとすれば、気がつかないうちに疲労が蓄積している可能性があります。まずは生活リズムを崩さないことが大切です。毎朝の起床時間を1時間以上ずらさないこと。そして、適度な睡眠時間を確保することです。

また、ボーッとしている時間を作るようにしましょう。一日の中では、考えがまとまらない時間も必要なのです。ただ、そのときも、考えていたことは一時的にでも記録しておく習慣を持っておくといいでしょう。

 

一人で迷わず、周りに聞いてみる

悔いのない生き方をするために大切なこととして、今でも思い出すのが、社会人一年目のときに出会った上司の助言です。当時医師になったばかりの私は、臨床の現場で瞬時に的確な判断ができず、後になって悔やむことが多くありました。

あるとき、チームの上司に、「なかなか的確な判断ができず、先輩方には、いつもご迷惑ばかりおかけしています」と伝えたところ、その先生は次のようにおっしゃいました。

「臨床の現場は、みんなで患者さんの治療をしていく場所だから、判断に迷うことがあったら、一人で悩まないで、周りに聞いてみることだよ。経験を積み重ねていくうちに、相談のできる、的確な意見をもらえる先生に、たくさん出会うだろう。すると、今悩んでいることの解決策も見つかるはずだ。大切なのは、自分のわかっているところと、わからないところをまとめておくことだ」

その先生のおっしゃるとおり、医師としての経験が増えるにしたがって、多くの先生に出会うことができ、多くの情報、助言が得られました。ときには主張が異なることもありましたが、討議を重ねる中で、よりよい結論に至ったことも多くありました。本や文献を読んでも理解できないとき、疑問点が解決できないときには、筆者の先生を訪問して教えていただいたり、手術を見せていただいたりもしました。

お互いの意見がまとまらないときには、相違点も記録していました。このようにして、わからないこと、疑問の残ったことは考え続けるようにしていました。いつでも自分の意見が言えるように、自分の意思決定ができるように、常に情報を集めて、整理しておくことが大切です。

とはいえ、ときには自分で決められないこともあります。そんなときは、結論を性急に求めず、答えのない不確実さや不思議さ、懐疑の中に置かれていても、自分の考えを深めていく、「耐える力」が自分自身を鍛える意味でも大切です。

私は、このようにして臨床の場面では後悔することが少なくなりました。後悔を経験する場面は、自分には知識がないと自覚させられる場面でもあります。そして、感情のコントロールを鍛えられる機会でもあります。大切で貴重な機会と考えて、正確に理解する習慣を持ちましょう。

理性の中枢である大脳の前頭葉が、安定的に活動できるように、先に述べた「生活リズムの安定」に加えて、以下の2つを心がけることをおすすめします。

①ネガティブな感情が生じる、後悔する場面に直面してしまったときには、その後に適度な運動をする時間を作ること。運動は、感情のコントロールに有効です。理性的な判断ができるように、10分間歩いてみましょう。気持ちの落ち着きを感じることができると思います。

②体が不健康な状態では、脳も理性的に正しく活動できません。自分の体の状態を知るために、健康診断は毎年必ず受けるようにしましょう。

 

【築山節(つきやま・たかし)】
医学博士。1950年、愛知県生まれ。北品川クリニック・予防医学センター所長。日本大学大学院医学系研究科修了。公益財団法人河野臨床医学研究所附属第三北品川病院長、同研究所理事長を経て現職。『脳をフリーズさせない8つの方法』(三笠書房)など著書多数。

 

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