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生き方

「何かに追われて焦る感覚」から抜け出すために意識すべき1つのこと

枡田智(マインドフルネス瞑想指導者)

2025年04月01日 公開 2025年04月01日 更新

「何かに追われて焦る感覚」から抜け出すために意識すべき1つのこと

不安や憂うつ、イライラ、焦り...それは"思考過剰"が原因かもしれません。現代人の意識は思考に偏りやすく、そのアンバランスが生きづらさにつながることがあるのです。

本稿では、そんな思考過剰から抜け出し、「今ココ(過去や未来にとらわれず、今この瞬間に目を向けること)」に意識を向ける重要性について、書籍『じぶんでできる左脳過剰の静め方』より紹介します。

※本稿は枡田智著『じぶんでできる左脳過剰の静め方』(かや書房)を一部抜粋・編集したものです

 

今ココの体とつながる

私たちが思考にとらわれている時、意識と体は切り離されています。

例えば、昨日の失敗を思い出して後悔している時、意識は昨日の失敗シーンに飛んでいます。一方で、体は「今ココ」に存在しています。体は常に「今ココ」にあり、過去や未来や別の場所に飛んでいくことはありません。

しかし、意識は過去のことを考えれば過去に飛び、未来のことを考えれば未来に飛びます。会社のことを考えれば会社に飛び、学校のことを考えれば学校に飛びます。

このように、意識が実際に自分のいる場所と違う場所に飛んでいると、意識と体は切り離されます。意識が「今ココ」にない状態です。

すると、今ココ、目の前で起きていることが意識に入らなくなります。例えば、過去を思い出し後悔している時、目の前の景色はあまり見えなくなります。音もあまり聞こえなくなります。体が感じている感覚も感じられなくなります。

 

今ココは意識と体をつなげる

皆さんもこんな体験はありませんか?

考え事をしていて人に呼ばれても全然気づかなかった、という体験。

この時、意識は思考の世界に飛んでいて、体から切り離されていたのです。だから、今ココで耳から入って来た音が意識に入らなかった、ということです。

食事中に明日の予定を考え始めると、味があまり感じられなくなります。味の豊かさは半減してしまいます。そして、いつの間にか食べ終わり、何を食べたのか、どんな味だったのかよく覚えていない、ということになります。

これは、意識が体から切り離された状態です。いわゆる「心ここにあらず」「上の空」状態です。私たち現代人は、かなりの時間をこの「上の空」状態で過ごしています。

そこから抜け出すには、意識と体をつなげておく必要があります。体が「今ココ」にあるなら、意識も「今ココ」に置いておくのです。

今ココで見たり聞いたり、体で感じたりしていることに、意識を置いておきます。ご飯を食べているなら、食べ物を目で見て、その歯触りや味を感じ、飲み込んだ感触を感じます。

散歩しているなら、目の前の景色を見て、周囲の音を聞きます。空気の暖かさ、寒さを肌で感じ、体全体の感覚を感じ、足の裏の感触を感じます。すると、意識と体がつながっていきます。

呼吸を感じるのもいいでしょう。呼吸は間違いなく今ココです。まさに今ココで、リアルタイムに体に息が入ってきて、出ていく様子を感じます。それができていれば、今ココの体とつながっていることになります。

意識と体がしっかりとつながると、落ち着いた安らかな気持ちになります。体とつながっている実感が出てきます。

 

意識と体が離れている現代人

意識と体の一致と不一致

逆に、意識と体が離れていると、そわそわと落ち着かず、何かに追われて焦っているような気持ちになります。現代人は、意識と体が離れているのが当たり前なので、その落ち着きのなさを自覚できていません。

しかし、体とつながった状態がわかると、体と離れた状態がいかに落ち着かないかがわかります。体とつながった状態では、ただ「今ココ」に存在しているだけで何も問題がない、と感じられるようになります。

生きづらい時の私たちは「今ココ」にいてはいけない、と思っています。

例えば、意識が未来に飛んでいる時は、早く未来にいってやるべきことをやらなければならない、と焦っています。例えば、明日の仕事について考えている時、早くその仕事をやらなければ、と意識は焦っています。しかし、体は明日にいけないので、明日の仕事をやることはできません。ますます焦ってしまいます。

家にいながら会社のことを考えている時、体は家にいるのに、意識は会社にいこうとしています。だから、家で落ち着くことができません。

自分は「今ココ」にいてはいけない。別の場所、別の時間にいって、早く何かをしなければならない。そう焦っています。

しかし、それはできないのです。意識と体が一致していれば、体は「今ココ」にあり、意識も「今ココ」にあります。

それで何の問題もありません。どこか別の場所にいく必要もありません。この状態が馴染んでくると、生きづらさは解消されていくでしょう。

 

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