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コツは相手への興味? 人間関係を良くする「絶妙な聞き方」

宇都出雅巳(トレスペクト経営教育研究所代表)

2012年11月01日 公開 2022年12月28日 更新

宇都出雅巳

これが「人」に焦点を当てるための質問だ

 さて、「人」に焦点を向けるために、超効果的な質問をご紹介しましょう。それは私が「ユー・クエスチョン(あなた・質問)」と名づけた、簡単な質問です。

「あなたは...?」
「あなたにとって...?」

つまりは、「あなたは」「あなたにとって」という言葉を付けて質問するのです。「○○さんは?」「○○さんにとって?」と、相手の名前でもかまいません。具体的な例を挙げると次のようになります。

「その映画について、あなた(○○さん)はどう思ったの?」
「その状況を、あなた(○○さん)はどうしたいの?」
「あなた(○○さん)にとって、その問題はどうなの?」
「あなた(○○さん)にとって、大事なことは何だろう?」

話をしていると、ついつい周りを取り囲む状況や人々、つまり「事柄」のほうに話が広がり、移っていきます。そうすると、状況説明に終始したり、「あの人がいるから...」とか、「あれが問題で...」といった具合に愚痴になってしまいます。

こんなときに、「あなたは?」「○○さんは?」という質問を投げかけると、話の主語が「事柄」から「人」に戻ってきます。「私は...」というように相手が答えはじめたらOKです。

ユー・クエスチョンは、「人」に焦点を向けることに、抜群の効果を発揮します。少し相手に踏み込む感じがするかもしれませんが、恐れずやってみましょう。

 

「人」に焦点を向けるための究極のコツ

 「事柄」と「人」。こう言われても、なかなかピンとこない人は、相手のことを「人」というより、自分がコントロールできる「もの」として見ている場合が少なくありません。「人」に焦点を当てるためには、まず、相手をかけがえのない「人」として見ることが必要です。

これを一気に可能にする「究極のコツ」をお伝えしましょう。それは、相手の「生」と「死」を思い浮かべることです。

相手がこの世に生まれたときのこと、そして、いつかこの世から去っていくときのことを考えてみるのです。

相手はあなた同様、かけがえのない人生を生きているのです。あらためてこのことに気づけば、相手に対して何らかの感情、もしくは、興味が湧いてきませんか?

まずは、目の前の相手をよく見ましょう。そして、次のように相手について想像してみてください。

相手が生まれたときのこと。これまでいろいろな体験をしてきたこと。その過程でその人が体験してきた喜び・悲しみ・怒り・苦しみ。そして、これからの未来。さらには、いつか死んでいくこと。

こんな思いで相手を見ると、いま見えているもの、たとえばその人の着ている服や持ち物、お金、乗っている車や住んでいる家など、その人を取り囲む環境の奥にある「人」が見えてくるものです。その人が話している言葉やとっている行動の奥にある「人」に触れることができます。

さらには、その人の持つ能力や才能の奥にある「人」や、できる・できない、上手い・下手ではなくその奥にある「人」、その人が持っている思いや考え方などの奥にある「人」が見えてきます。

そして、最後には、その「人」そのものを見ている、あなた自身に気がつくでしょう。

つい、私たちは目に見えるものに気をとられ、相手と自分を比較して一喜一憂しがちです。しかし、相手の奥にある「人」に触れることができれば、自分と比較していたことが何だか小さなことに思えてくるはずです。

あなたと同じように、生まれて、生きて、死んでいく存在としての「人」に意識を向けてください。だんだんと、相手を操作せずに、相手をただ受け入れて、「人」に焦点を当てて聴いている自分に気づくでしょう。

 

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