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“要らない物を売る”のはNG? ミニマリストの片づけ習慣

しぶ/澁谷直人(ミニマリスト)

2022年09月05日 公開 2024年12月16日 更新

“要らない物を売る”のはNG? ミニマリストの片づけ習慣

ミニマリストと聞くと、とかくモノをほとんど持たない少し極端な人、というイメージを持たれがち。しかし、「ミニマリストしぶ」でおなじみの澁谷直人氏によれば、ただむやみに所有物を減らしているわけではないという。ミニマリストの哲学から現役世代のビジネスパーソンが学ぶべき、「所有コスト」の考え方とは?(取材・構成:川端隆人)

※本稿は、『THE21』2022年10月号特集「人生が変わる『整理術』」より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

整理整頓が苦手な人ほどミニマリストに向いている

僕は「ミニマリスト」を名乗っていますが、この肩書きには「とにかくモノを持たない人」というイメージがあるように思います。間違いではありませんが、それ以上に大切なのは、モノを持たない「理由」です。

例えばアップルの製品は、リンゴのマークを1つだけあしらった、シンプルな見た目が印象的ですよね。大事なシンボルを際立たせるために、余計なものを徹底的に削ぎ落とした「ミニマルデザイン」の代表例です。

アップルといえば、服選びの時間を削減するため、毎日同じ服装だったというスティーブ・ジョブズのエピソードも有名ですね。

そんなふうに、大事なものに集中すべく、他のものを思い切って捨てるのがミニマリストの考え方。モノを持たない理由は、自分の大切なモノやコトに集中するためなのです。

モノを減らせば減らすほど、片づけや掃除、探し物などに奪われる時間や手間、お金といったコストが減っていきます。その分、仕事や趣味、家族との時間といった「大切な事柄」にそれらを集中できるわけです。

さらに言えば、コストはお金や時間、労力だけではありません。例えば、冷蔵庫に食材が目一杯詰まっていると、それらの賞味期限や在庫数、今夜はどんな献立に...といった思考で脳のメモリが占有されてしまいます。これも立派なコストです。

コストがかさんだ結果、本当にやりたいこと、大切なことをする余力が奪われる──それでは、人生の幸福度が下がってしまいますよね。

溢れているモノを上手に整理・収納しようとするのではなく、そもそも整理や収納に手間をかけなくて済むよう、モノを減らす。それがミニマリストの生き方です。

その意味では、整理整頓が苦手な、ズボラな人ほどミニマリスト向き。実は、僕もその手の人間です(笑)。

 

ミニマリスト入門は「スマホのホーム画面」で

とはいえ、ミドルの方々にこんな話をしても「家族が許してくれない」「独身時代のように気軽に処分するわけには」といった声も聞こえてきそうです。

しかし、私は40代以上の方にこそ「モノ減らし」をお勧めしたいと思っています。モノを処分し、減らす作業は、実はかなり体力勝負。大きなモノなら分解し、粗大ゴミに出し、などとにかく疲れるものです。年齢を重ねれば重ねるほど、生活を激変させるのは困難になります。

しかも、今の生活を続ける限り、モノは日に日に増え、片づけの意欲は奪われていくことでしょう。いわゆる「ゴミ屋敷」住人の多くが高齢者、という現実は無視できません。

人生100年時代、まだ先は長いのです。モノ減らしに最適なタイミングも、常に「今」と考えてください。残りの人生で今日が1番若い日、という考え方と同じです。

というわけで、まずはミニマリスト生活を手軽に「お試し」してみてはいかがでしょう。お勧めなのが、「スマホの中身」に手をつけることです。

私の場合、アプリの通知は個人LINE以外すべてオフ。通知が来るとそこに意識を持っていかれ、大切なことが疎かになってしまうからです。また、使用頻度の低いアプリも削除するかフォルダにまとめ、よく使うごく一部のアプリだけをホームに表示するようにしています。

スマホは1日に何度も触れるものですから、整理した瞬間から生活の質が向上します。効果を実感しやすいのです。

また、同じく手軽でコスパの良いものとして、出勤用のカバンから余計なモノを除くのもお勧め。カバンが軽くなるだけで、翌日から仕事に行くときの気分が変わります。

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何を捨て、何を残すか「理想の生活」から逆算

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