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くまモンが熊本地震で被災して考えた「ボクにできることって何だろうモン?」

くまモン

2025年04月13日 公開

くまモンが熊本地震で被災して考えた「ボクにできることって何だろうモン?」


熊本地震後、当時の蒲島郁夫知事と力を合わせて(©2010熊本県くまモン)

2011年の東日本大震災後、くまモンは何度も被災地に足を運び、人々に「元気」を届け続けた。だが2016年4月14日、熊本が震度7の大地震に見舞われる。その27時間後、再び震度7の地震が起こり、こちらが本震とされた。4700回以上という余震数からも未曾有の大災害だったことがわかる。くまモン自身も「被災者」となった。

※本稿は『くまモンの「ボクもきもち」』(辰巳出版)より内容を一部抜粋・編集したものです。

 

2016年4月14日、熊本地震で被災して...

あの日のことは一生、忘れないモン。

揺れたモン、怖かったモン。揺れ続けたモン。

翌々日の夜中にまたとんでもなく大きく揺れたモン。大好きな熊本がどうにかなってしまう、どうなるんだろう、くまモン隊のみんなは大丈夫かな、小さなおともだちも大きなおともだちも、みんな大丈夫だったかな、どうしたらいいんだろうモン......。あちこち崩れた熊本城を見たとき、ボク、心がもぎとられたような気持ちになったモン。

その後、ボクも活動できなくなったモン。ボクの使命はサプライズとハッピーを届けることなのに、そんな状況じゃなかって思ったモン。SNSもストップしたモン。

でも時間がたつにつれて、「くまモンはどうしてるの?」「くまモン、大丈夫?」という声がSNSに寄せられるようになったモン。ボクは大丈夫だモンって言いたいけど、言う場所がなかったモン。

全国から県庁にお手紙もいただいたモン。そのうち、SNSに有名な漫画家の先生たちがボクの絵を載せてくれるようになったモン。その絵に「くまモン頑張れ絵」というハッシュタグがついて、どんどん拡散されていったモン。ボク、こみあげてくるものがあったけど、ただじっと見ていたモン。

みんながこんなに応援してくれているのに、ボク、このままでいいのかなってずっと考えていたモン。ボクにできることは何だろう、ボクは何をしたらいいんだろうモンって...。

 

こどもの日におともだちに会いに

西原村保育園訪問
西原村保育園訪問(©2010熊本県くまモン)

ゴールデンウィークに入ったころ、もうじき「こどもの日」が来るって気づいたモン。いつもならたくさんの小さなおともだちと一緒に楽しい時間を過ごしていたのに今年はどうなるんだろうのかモン......。

そうだ、こどもの日におともだちに会いに行くモン。そう思って知事に直談判したモン。知事はボクの話を聞いてくれたけど、たいぎゃ悩んでおらしたモン。でもボクは行くって決めたモン。皿を割るんだモン!

5月5日、避難所にもなっている西原村の保育園に行ったモン。みんなの前に出る直前は、きんちょうで胸がバクバクしたモン。くまモン隊全員、せいぞろいしてドキドキしてたモン。本当に出ていっていいのかなってちょっとだけ思ったけど、ボクは小さなおともだちと会うって決めたモンって覚悟を決めて、飛び出したモン。

「わあ、くまモン」

小さなおともだちがたくさん集まって待っててくれたモン。みんながボクに抱きついてきたモン。おともだちの手や体があったかくて、目の前がかすんで見えなくなったモン。ボクも力いっぱいみんなとハグしたりハイタッチしたり走り回ったりしたモン。

小さなおともだちがきゃあきゃあ言うの元気な声を久しぶりに聞けて、うれしいのかかなしいのかよくわからんかったモン。その後ろをふっと見たら、おとうさんやおかあさんが笑顔になっていたモン。

さらにその後ろには、おばあちゃんたちが椅子に座っとらしたけん、そっちに向かって走っていったモン。こわかったね、一緒にがんばろうねって、ひとりひとりとハグしてたら、おばあちゃんたちに拝まれてしもたモン。こんなにみんなの笑顔が心にしみたことはなかったモン。

あの日から、ボクの気持ちは、それまでとは少し変わったモン。

 

【くまモン】

熊本県営業部長兼しあわせ部長。2010年、翌年の九州新幹線全線開通のための「くまもとサプライズ!」のロゴ制作のおり、「おまけ」として誕生。その後、くまもとのおいしいものを食べて今の姿に。当初は臨時職員としてデビュー、同年10月、くまもとサプライズ特命全権大使に就任。
11年9月、蒲島郁夫・熊本県知事から熊本県営業部長に抜擢(県でNo.3の地位)。同年11月、「ゆるキャラⓇグランプリ2011」で優勝、快進撃が始まる。13年7月には熊本市の中心地に「くまモンスクエア」がオープン、活動拠点でありファンの聖地となっており、2025年1月現在、350万人を超える来場者を数える。14年1月、熊本県しあわせ部長を兼任。
16年4月の熊本地震発生後、活動を控えるも3週間後には各方面からの応援を受けて避難所の訪問を始める。2024年には、現・木村敬県知事から「復興応援“絆”大使」の命を受け、能登地震に見舞われた石川県を訪問した。海外での人気も高く、今までに29を超える国と地域を訪問。フランス・パリでの「ジャパンエキスポ」には、2013年からコロナ禍を除き毎夏、参加している。

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