「一生治らない」「一生苦しむんだ」
中学生で統合失調症を発症した だいだいさんは絶望的な気分になり、何度も「死にたい」と考えたそうです。
それでも「もうこの病から逃げられることはない」「この病と上手につきあっていくほかに、生きていくことはできない」と考え、自らの病気からくるつらい症状をうまく解消する方法を探し始めました。
そして、生み出した300以上の解消法の中から、効果の高かった100個を精神科医の樺沢紫苑先生の監修のもと『生きづらさを解消する方法を100通り試してみた。』として書籍にまとめられました。
本稿では、その100個の解消法の中から「5.布団内空想」と「12.人間観察」について解説頂きます。
※本記事は、だいだい著,樺沢紫苑監修『生きづらさを解消する方法を100通り試してみた。』(総合法令出版)の一部を再編集したものです
布団内空想

「布団から出られない......」。あまりに疲れすぎてしまい、クタクタで動けないときは誰にでもあります。そんなときは無理せず、布団の中で心身を休ませることが大切です。
しかし休もうとしても、「こんな寝てばかりでいいのか?」「自分は本当に怠惰だな」などと休んでいることを否定的に捉えてしまうかもしれません。そんな雑念を振り払うためにおすすめなのが、この解消法です。
【やり方】
1.布団の中にしっかり潜もぐる
2.布団の中で「なぜ自分は布団から出られない」のか、空想世界の住人になった気分で想像して理由を考える 物語はファンタジーの「洞窟に封印された怪物」、日本神話の「天あまの岩いわ戸と 伝説」などがおすすめです。このときに、ネガティブな理由は考えてはいけません。
3.自分の状態をもとに、物語の一場面を想像する
4.想像の世界に没入し、心身が休まるまで待つ
【布団内空想の例】
布団から出られない理由:「魔物に見つからないよう布団に身を隠しているから」
街を脅かす魔物は視界に入った動く人に対して火をふく。だから通りすぎるまでは、ジッとしていないと危険だ......。今は魔物に見つからないよう、布団の中に隠れておとなしくしていよう。
(心が休まってきたら)――ふぅ、魔物は無事去ったようだ。もう外に出ても大丈夫そうだな。
【効能】
1.布団から出られない自分自身を肯定できる
心身が疲れた状態で動くのは大変です。「布団から出られない理由」があれば、「布団から出なくてもいい」と自分を許せるようになります。
2.心身が回復するまで退屈を紛らわすことができる
布団に潜ってすぐに休むことができればいいですが、意外と意識が残って「退屈」を覚えることもあります。布団内空想をすると退屈を忘れることができるでしょう。退屈に感じなければ心身の回復もはかどります。
3.現実の困難から距離を置ける
布団の中は、現実の課題やストレスから逃げる場所として向いています。布団の中に潜ることで現実から距離を置くことが可能です。また、布団の中で想像の世界に没入することはリフレッシュにもつながります。
【アドバイス】
布団の中に潜る自分を主人公に物語を考えるのがコツです。別に誰かにバレることはないので自由に想像をふくらませましょう!
人間観察

病気になった当初、わたしは「この世で一番不幸なのは自分だ」と本気で思っていました。今思えば、自分のことしか見えなくなっていたのです。
そんなとき、高校時代の親友が言いました。「もっと周りを見て。君のように苦しんでいる人はたくさんいる。でも、皆で助け合って生きている。自分だけ不幸な顔をしていたら、誰にも助けてもらえないよ」。
最初は「お前に何がわかる!」と腹が立ちました。ところが後日、いつも気丈に振る舞っていた親友が人気のない場所で泣いているのを見たとき、自分の自意識過剰に気づきました。自分だけが苦しいわけじゃないんだ、と。
【やり方】
1.人のいる場所に行く 公園のベンチ、カフェのテラス席、商業施設のロビー、電車の中などがおすすめです。
2.ランダムに「観察する人」を決める
3.その人のしぐさ(動作)や服装、雰囲気などを観察する 「なぜ、その行動をしたのか?」「どういう気持ちでその服装をしているのか?」など推測します。ただし、相手が不快に感じるような過度な観察やプライベートな空間を侵害してはいけません。相手のプライバシーを侵害しないように気をつけましょう!
【発展・応用】
他人を観察したら、「あの人はこう行動していたけど、自分ならどうするだろうか?」と自分に置き換えて考えるのもおすすめです。新しい発見を得られるでしょう。
【効能】
1.現実逃避になる
他人を観察することで、自分の目の前の課題から距離を置くことができます。自分を癒すきっかけになるでしょう。
2.視野が広がる
他人を観察することで、自分にはなかった「気づき」を得られることもあります。悩みや課題に直面するとどうしても視野が狭くなり、一つの解決策にこだわり、他の選択肢を見失いがちです。外に出て、思考を切り替えましょう。
3.孤独感が和らぐ
人は何かつらい目に遭うと「どうして自分だけこんなに......」と自分のことばかり考えてしまいます。でも、人の表情を見ていると「この人も苦労しているのでは」という予測を立てられます。つらい目に遭っていても「自分だけではないかもしれない」と気づければ、心が軽くなるでしょう。
【アドバイス】
もし、人のいる場所に行くのが苦手な場合は、テレビなどに映っている人を観察するのもいいでしょう。どこにいても他人を観察することは可能です。







