4つの思考タイプ別 「過緊張」から逃れるヒント
2025年08月15日 公開
モヤモヤ・グルグル思考が止まらないなら、それは「過緊張」かもしれません。自分の思考のクセを知り、頭と心をほぐしましょう。
※本稿は『PHPスペシャル』2025年9月号より、内容を一部抜粋・編集したものです
現代人の多くが過緊張に!
夜になっても何かが気になってしまい、リラックスしようとしても、なかなか心が休まらない。現代を生きる多くの人が、「過緊張」に陥っています。
過緊張とは、何らかのストレスによって自律神経のバランスが崩れ、四六時中「緊張モード」を強いられている状態のことです。一時的なものであれば大きな問題はないのですが、この状態が長く続くと、心身に不調をきたしてしまいます。
だからこそ、「常に何かが気になってしまう」という過緊張の症状が少しでも現れたら、適切なケアをすることが大切です。睡眠と栄養をしっかりとって心身を休ませ、エネルギーを回復させましょう。
自分の弱点を知っておけば、未然に防げる
過緊張をもたらすのは嫌なことだけではなく、入社や昇進、結婚、出産などポジティブな変化も、無意識のうちに緊張し、ストレスとなる場合があります。また、SNSで常に他者とつながれる状況もリラックスを妨害し、ストレスの原因に。つまり、過緊張は誰にでも起こりうるのです。
とはいえ、思考のクセや性格など、それぞれの内的な要因によって、過緊張につながりやすい状況は異なります。大事なのは、弱点に応じた工夫を心がけること。そうすれば、過緊張に陥るのを防ぐことができます。
今回は、過緊張から逃れるためのコツを、考え方のタイプ別に分けてお伝えします。まずは、自分がどういう理由で過緊張に陥ってしまうのかを知ることから始めてください。
あなたはどれに当てはまる?4つの思考タイプ
過緊張から逃れるためには、自分の思考のクセを把握しておくことが大切です。物事を考え込みやすい人は、複数のタイプに重複して当てはまっている場合があります。
●小さなことが気になる...完璧主義タイプ
何事においても手を抜くことが嫌いで、「常に100点」を自分に強いるタイプ。予期せぬイレギュラーな出来事が起こるとキャパオーバーになりやすく、一気に心身の余裕を失ってしまう場合があります。
このタイプの人が過緊張に陥ると、「あれもできていない、これもできていない」と自分にイライラして、周りの人に当たってしまいがちに。
●他人からの評価が気になる...自己犠牲タイプ
周りからの評価を気にするあまり「NO」と言えず、自分を犠牲にしてまで、他人の要求に応えようとするタイプ。感謝されると嬉しいものの、心の中ではストレスを溜め込んでいます。
このタイプの人が過緊張に陥ると、「嫌われたらイヤだから」「不快だと思われないために」という感情に支配され、さらに無理を重ねてしまいます。
●物事のマイナス面が気になる...心配性&気疲れタイプ
まだ見ぬ未来を悪いほうに想像しがちで、気になることがあると過剰に心配してしまうタイプ。災害や病気など、現実に起こるとは限らないことであっても、気になり始めると、いてもたってもいられなくなります。
未来の不安に翻弄され、うまく寝付けない場合は、過緊張がかなり進んでいる可能性大。
●自分の成長度合いが気になる...せっかち&負けず嫌いタイプ
向上心が旺盛で、少しでも空いた時間があると、仕事や家事などをどんどん詰め込んでしまうタイプ。一つの目標を達成しても、すぐに次の目標やタスクを見つけるため、いつも時間に追われています。
このタイプの人は、「自分は時間を無駄にしているのではないか」と常に自分を駆り立ててしまい、過緊張に陥りやすくなります。
完璧主義タイプの過緊張からの逃れ方
●今日から始めたいおすすめ習慣
「毎日○時以降は、仕事や家事のことを一切考えずに休む」というマイルールをつくる。
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"目指すレベルごとに行動を仕分けて"
何でも完璧にやりたい、という気持ちはなかなか手放せないと思いますが、日々のさまざまなタスクの中には、「完璧でなくてもいいこと」があるはずです。まずは日々の行動を振り返り、「どうしても100点を目指したいこと」と「60点でも問題なさそうなこと」を、意識的に仕分けてみてください。自分で決めたことを守るのは得意なタイプなので、いくつかのタスクを「60点でOK」と決めるだけで、毎日がラクになるはずです。
「仕事のことが頭から離れない」など、過緊張のサインが現れたら、「心身を休ませるリラックスタイムをきちんと確保してこそ、完璧な一日だ」という発想をもつのも一案です。完璧主義である自分の思考のクセを、うまく利用するといいでしょう。
自己犠牲タイプの過緊張からの逃れ方
●今日から始めたいおすすめ習慣
頼まれ事を引き受けるときは、「○時までなら」「この量までなら」などと条件を提示する。
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"勇気を出して、まずは相手と交渉を"
本当は嫌だったり、気が乗らなかったりすることを人から頼まれたときに、はっきり「NO」と断れるなら、それに越したことはありません。でも、このタイプの人にとってはハードルが高いですよね。そのためまずは、自分の都合やキャパシティーを伝え、相手と交渉することから始めてみましょう。
交渉することは、相手の都合だけに振り回されがちな自分から脱却する大きな一歩になります。交渉の結果、最終的に引き受けることになったとしても、ストレスは減るはずです。それでも相手の反応が気になり、不安になってしまうなら、「この世の全員から好かれている人など存在しない」と自分に言い聞かせ、いい意味で開き直ることも大切です。
心配性&気疲れタイプの過緊張からの逃れ方
●今日から始めたいおすすめ習慣
悪い未来を一つ想像したら、自分にとって都合のいい嬉しい展開を一つ想像する。
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"できることに集中し、不安を軽減!"
心配している物事に対して、コントロールできることと、そうでないことを把握しましょう。たとえば、災害が起こること自体はコントロールできなくても、家具の転倒防止策を講じたり、災害時に必要な水や食料を用意したりすることはできるはずです。コントロールできることに集中して行動していると、安心感が高まり、リラックスしやすくなります。
自分でコントロールできないことに対しては、「なるようになるさ」と開き直ることが大切。どうしても開き直れず、悪い想像を重ねてしまうときは、意図的に、よい展開も想像し、具体的にシミュレーションしてください。よいイメージを一度でも抱いておけば、それが脳に記憶され、過緊張から逃れやすくなります。
せっかち&負けず嫌いタイプの過緊張からの逃れ方
●今日から始めたいおすすめ習慣
休みの日の午前中は、手帳に「×」印をつけて予定を入れず、思い切りリラックスを。
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"週末はエネルギーチャージに徹しよう"
このタイプの人は、「頑張っている自分」が大好きです。過緊張に陥っていても危機感を抱きにくく、体調を崩すまで突っ走ってしまう傾向があります。まずは、「きちんと休むことで活動時のパフォーマンスが上がり、なりたい自分になれる」という意識をもちましょう。
自分に対する理想が高いぶん、休日も早朝に起きて動き回る人が多いですが、そこはグッとこらえて、体と心を休めることに専念すると◎。「健康的にリラックスするならヨガかな」「せっかくだしスキマ時間で将来に役立つ本を読もう」など、プラスアルファで何かしようとせず、とにかく心身を労ってください。「たまには何も考えずにダラダラしたい」という心の声を押さえつけないようにしましょう。
【奥田弘美(おくだ・ひろみ)】
産業医および精神科医として、老若男女の心身のストレスケアに日々携わっている。執筆も精力的に行なっており、今年2月に出版した最新刊『それ、すべて過緊張です。』(フォレスト出版)は既に4万部超えのヒット作となっている。
![PHPスペシャル 2025年9月号 [考えすぎない、ひきずらない。]](/userfiles/images/book2/B0FHBQJW17.jpg)






