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『プレバト!!』水彩画の野村重存さんが教える「立体的に描くための明暗のつけ方」

野村重存(画家)

2026年09月16日 公開

『プレバト!!』水彩画の野村重存さんが教える「立体的に描くための明暗のつけ方」


写真:小池彩子

テレビ番組「プレバト!!」(MBS/TBS系)の水彩画コーナーで大人気の絵の先生・野村重存さんは、「絵のセンスや才能がない」と思っている超初心者、さらにその前段階の初心者未満の人でも、「必ず上手な絵を描くことができる!」と語ります。

本稿では絵の超初心者・Iさんが、"立体的な絵を描くための明暗のつけ方"について教えてもらいました。

※本稿は、野村重存著『野村重存の世界一わかりやすい絵の授業』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです。

 

明暗のいちばんのポイント

野村:それでは、突然ですが、テーブルの上に1個の「卵」が横向きに置かれている様子を想像してみてください。

I:横向きの卵......ですか?

野村:明暗の描き方を説明するのに、いちばんわかりやすい題材なんです。もし、その卵に真上から光があたるとしたら、Iさんなら、どこを暗くしますか?

I:うーん......。まるいものに真上から光があたるので、卵の下半分を濃く描くといいんじゃないですか......(チラッ)。

野村:今、自信がなさそうな目で私の顔を見ましたね(笑)。たしかに卵の下半分を濃く描くんですが、それだけじゃ立体感は出ないんです。卵を描くので、ちょっと待ってくださいね。サラサラサラ。

I:うわっ、すごい!

野村:こんなふうに、正しい明暗の表現ができると、立体感が出て本物の卵みたいに見えるんです。さて、この卵、下半分は、すべて同じ暗さでしょうか?

I:違いますね。真ん中よりも少し下が暗くなっていて、それより下は逆に少しだけ明るくなっているように見えるのですが。

野村:その通り。

I:でも、なんで真ん中よりも下のほうが明るいんですか?

野村:明暗の仕組みがわかると納得できると思いますよ。卵の上半分は光があたっているから明るい。これは、わかりますよね。大切なのは、下半分です。実は、下半分には、卵を置いているテーブルにあたった光が反射するんです。これを「反射光」といいます。

I:なるほど、光が反射するのか! だから、下半分にも薄く明るいところができるんですね。

野村:一方、テーブルに反射した光が届かない真ん中のすぐ下あたりは暗くなる。これを「明暗の黄金法則」として丸暗記してください。

I:黄金法則! でも、野村先生、今、私の目の前にある実物のりんごの明暗は、その法則通りになっていない気がするんですが......。

野村:実物が法則通りに見えないことはよくあるんです。明暗の表現は、「こうやって描けばリアルに見える」という代表的なテクニック。丸暗記がいちばんです!

I:見たそのままを描こうとせず、法則を覚えて、それを使って描くことがリアルな絵につながるのかぁ。

 

リアルさが半減する斜線

野村:それでは、黄金法則を知ったところで、実際に明暗を描いてみましょう。法則通りに斜線を入れていってください。よーい、スタート!

I:まずは、真ん中より少し下のところを濃くして......と。サッサッサッ。

野村:えんぴつをねかせ気味にして、もっと弱い筆圧で斜線を重ねていきましょう。

I:野村先生、斜線は全部同じ方向でいいですか? 

野村:ときどき傾きを変えたり、横向きに線を入れたりして、パターン化しないことが大切です。そのとき注意したいのは、斜線と斜線が「ひとつながり」にならないようにすることです。

I:ひとつながり?

野村:たとえば、今、Iさんが斜線を入れたところを見てください。上の図の右のように、下から上に向かって隣の斜線、隣の斜線へと進んでいくときに「返し」のあとが見えるでしょう? そうなると、いかにもあわてて描いた雑な感じが出て、リアルさが半減します。図の左のように斜線を重ねて、あいまいな「面」にするイメージで描いてみてください。

I:面にするイメージですね! サッサッサッ。

野村:そう、うまいですね。明暗の表現のもう1つのポイントは、下の図の左のように真ん中から上半分にも少し斜線をのばすことです。

I:そういえば、さっきの卵のお手本も、そうなっていましたね。光があたっている上半分にも少し斜線をのばすのは、なんでですか?

野村:りんごの「まるみ」を表現できるからです。斜線が下半分だけに集中すると、図の右のように明暗の境目がくっきりできてしまい、不自然になるんですね。

I:なるほど。それじゃあ、上半分にも少しだけ斜線をのばして......と。

野村:ほら、まるみが出ましたね。

I:本当だ! どんどん立体感が出てきて、こりゃ楽しい!

野村:ちなみに、まるみのないカクカクしたものの場合は、下の図のように、りんごとは反対に、あえて明暗の境目をつくります。こんなふうに、角の境目のところで明暗をくっきりさせることでカクカク感が出るんですね。

I:明暗の表現って、奥が深いんですね。

 

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