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『死の淵を見た男―吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』担当編集者の思い

2013年01月11日 公開

その時、福島第一原発では何が起きていたのか?! … 現場責任者の吉田所長にロングインタビューを敢行した、著者・門田隆将氏 渾身のノンフィクション『死の淵を見た男』。
書店様の強力な後押しもいただき、発売以来、おかげさまで大変好評です。そして、早々と発行部数が6万部超に達しました(2012年12月末時点)。

<著者・門田隆将氏のコメント(「まえがき」から)はこちら>

門田氏の思いに負けず劣らず、この書籍には担当編集者の熱い心情が込められていました。彼は、被災地の出身だったのです。
書店様にお届けしている月刊「PHPかけはし」に綴られたその思いをぜひお読みください。

 

PHPの制作現場から/書籍第一部 副編集長 佐藤義行

私の故郷は岩手県釜石市。東日本大震災で津波に襲われたところだ。生まれ育った町は壊滅し、実家は冠水して一階には住めなくなった。 

私には、どうしても見られない映像がある。それは、津波が町を襲っている映像だ。ニュースや特番で繰り返し流されていたものだ。

しかし、故郷どころか、日本の壊滅を垣間見た男たちがいた。福島第一原発にいた人たちである。暴走する原子炉、喪失した電源と冷却水。普通であればなす術もなく立ち尽くすだけの状態だ。

自分自身の命すら危うい状況の中、なぜ彼らは暗闇の原子力発電所に何度も突入できたのか。また、それを命ずるリーダーの心境はどのようなものだったのだろうか。

この本には、まさに自分自身の「死の淵」、故郷の「死の淵」、日本の「死の淵」を見た男が描かれている。それもすべて実名でだ。

私は、この企画を思い立ち、著者の門田隆将先生と打ち合わせをした時、実現は無理かもしれないとも考えていた。

まず、すべて実名で出てくれるとは思えない。原子炉の暴走は収まったとはいえ、いまでも故郷に帰れる目処すらたっていない状況だ。命を賭けたといっても、周囲の目は温かいものばかりではないだろう。実名どころか、取材すらできないのではないかと思ったのだ。

取材のアポイントメントは困難を極めた。しかし、日本を代表するノンフィクション作家である著者は、その難関を一つひとつ乗り越えていった。

私自身、名前すら知らぬ関係者を、多くの人の情報を手繰り寄せてコンタクトをとった。やる気になれば、誰とでも会える。どんなことでもできる。そう実感した。

お会いした関係者は、東電関係者、自衛隊、政治家、地元の方々を中心に90名以上。いまは病と闘っている吉田昌郎福島第一原発前所長や菅直人元首相も自らの思いを語ってくれた。

命を賭けた男たちの姿に、ゲラを読むたびに涙が出た。校正者も泣きながら読んでいた。こんな本がほかにあるだろうか。

福島第一原発事故の真実がついにあかされた。この本は、全国民に読んでほしい。そして命すら顧みず、凛と生きた日本人たちを、後世に語り続けてほしい。そう強く願っている。

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