「気配り上手」になるには
2013年01月28日 公開 2024年12月16日 更新
《 『実践!「仕事の成功」は気配りが9割』より》
頭が良くても気配りのできない人とは、いっしょに仕事をしたいと思わない。
頭が悪くても気配りのできる人とは、ずっといっしょに仕事をしたいと思う。
なぜなら、気配りのできる人と仕事をしたら、楽しいし、いっしょにがんばれて成果も出るから。
「気配り」こそが、出世、成功、幸せに欠かせないツール。
仕事や人生で成功する決定的なポイント。それは「気配り」。
勉強や仕事ができなかったのに、何とか今まで私がやってこられたのは、「気配り」こそが、出世、成功、幸せに欠かせないツールであることを、高校3年生で悟り、実践してきたから。
「気配り上手」というと、「世渡り上手」と同じに見る人もいる。
私は、全然違うと思う。
「世渡り」がうまいといえば、要領よくその場その場をしのいでいくことで、どちらかというと、あまりいい意味にとられない。
一方、「気配り上手」とは、心遣いができている、配慮がある、心がけがいいという意味で、高く評価される。
文字を見ても、「世渡り」は、「世の中をうまく渡る」という対外的なことを指し、「気配り」は、自分の「気を相手に配る」という対内的な心の問題で、気を遣うことで相手に対して敬意を払い、心地よくする優しさでもある。
これは別の状況では「おもてなし」として見られ、とても喜ばれる。
ということで、「気配り」と「世渡り」はまったく違い、成功や幸せのために私たちが身につけなければならない能力こそが、「気配り力」なのだ。
この本『実践!「仕事の成功」は気配りが9割』では、その気配りのポイントを紹介した。そのすべては、私の元上司や師から教わったこと。
すべての面、とくに仕事ができなかった私が何とかスピード出世し、独立して国際的に経営コンサルタントとして活躍してこられたのも、本書で紹介する気配りのポイントに最大の注意を払い、努力をし、実践してきたからだと確信している。
皆さんもぜひ実践してみてほしい。人生が変わること間違いなし。
(☆ここでは、本書で紹介している46項目のうち一部をご紹介します)
一流の気配りは、一流の人を徹底観察して学ぶ。
一流の人は、一流の人と友人であることが多く、それぞれの道を極めているため、話もとても合う。
一流、二流の判断は難しいことだが、単に、有名だとか、組織のリーダーだとか、金持ちだからというわけではない。
人間的に一流だということだ。
人間的に一流ということは、人として器が大きいことであり、謙虚でもあり、気配り抜群でもあること。
成功した人たちには、いくつか共通点がある。
その1つに、謙虚で感謝する心を持ち、気配りが徹底していること。
私が米国にいた際に顧問をしていた、不動産王で億万長者でもあった故トラメル・クロウ氏が、全米一の富豪になったときのコメント。
「自分がここまでこられたのは、本当に幸運であり、また皆様のおかげです!」
ウォルマート創業者で、同じく全米一の大富豪になった故サム・ウォルトン氏も、よく同様なことを語っておられた。
本当にそう思い、本心で言われていたことが、体全体からとても伝わってきた。
そんな言動に触れるたびに、「一流だなあ!」「一流の人は違うなあ!」と感心すると同時に、少しでも彼らのレベルに近づきたいとの思いから真似しようと決意したものだ。
一流の人と接すると感化される。
近くにいると、なぜその人が一流なのか、一流を目指し努力して生きている人にはよくわかる。
ついつい真似するようになる。
いっしょにいるだけで、どんどん学ぶことができる。
だから、1人2人といわず、一流を目指している人は、一流の人にどんどん会って、徹底的に観察すべき。
とくに気配りの素晴らしさを。
もちろん真似するために。
私も、高校生のときから、「経営の神様」といわれていた松下電器産業(現パナソニック)創業者の松下幸之助氏から始め、世界的な経営学者、ピーター・ドラッカー博士やエドワーズ・デミング博士など、いわゆる超一流といわれる方々に、アポなしの飛び込みで会いまくってきた。
現在でも、「この人から学びたい」「この人のすごさを知りたい」と思ったら、自分から遠慮なくどんどん会いに行く。
ずっと待っていたら、一生会えないし、またなぜその人が一流なのかわからないままで終わってしまう。
会うと決めて行動を起こすと、どんな有名人や有力者でも意外に簡単に会えるもの。
せっかくだから、どんどん会って、彼ら一流の気配りを学び、真似しよう!
[一流の人の一流の気配りを、どんどん真似しよう]
注意されたら改善のチャンスととらえ、感謝の心を。
何度注意されても、同じ失敗を繰り返す人、あなたの職場にもいないだろうか。
その人は、とても損をしている。
何度言っても直らないということは、言われていることを真剣に聞いていない、受け入れていない、ということだから。
尊敬できない人から何かを言われても、なかなか素直に聞くことはできない。
あなたの会社でも同じことがいえる。
つまり、注意してくれた人を尊敬していないから、何度言われても同じ失敗を繰り返すわけだ。
もし、あなたが上司から注意された失敗を繰り返すならば、注意してくれた上司からすれば、実は自分を尊敬していないのでは、と判断するだろう。
たとえば、注意してくれた人が、あなたの恋人だったらどうだろうか。
「今日の君の服装、ちょっと似合っていないよ」「君の香水、キツ過ぎるよね」
あなたは、「しまった!」と思って、二度と同じ服を着て来ないだろうし、二度とその香水はつけないだろう。
好きな人に言われたことは、絶対に繰り返さないはず。
それはもちろん、嫌われたくないから。
会社で同じ失敗を繰り返すということは、見方を変えれば、上司に嫌われることを、何とも思っていないということ。
また上司に信頼されて、将来を嘱望されることを拒否しているということにもなる。
あなたの会社がサービス業であった場合は、最悪の結果を招くだろう。
接客において同じことで注意を繰り返しされるということは、お客様に言われたことにも即座に対応できないということの証明であるから、致命的である。
本来ならば言われなくても、お客様の立場に立って、何を望んでいるかを察し、的確なサービスをするのが当然なので。
上司に嫌われる前に、お客様に去られてしまう。
また、何度言っても変わらない人は、そのうち周りの人が、何も言わなくなる。
言われなくなることは気楽かもしれない。
しかし、それが得か損かは、よく考えてみればわかるはず。
一度注意されたことは、とり返しがつかなくなる前に即座に本気で直そう。
[一度注意されたら二度と同じことを言われないよう本気で直そう。]
浜口直太
(はまぐち・なおた)
経営コンサルタント、起業家、教育者、作家。株式会社JCI代表取締役社長。Musubu Dining株式会社、株式会社Sbarro Japan 創業者&取締役会長。
創価高校、創価大学経営学部卒業。テキサス大学経営大学院MBA取得。米KPMGピート・マーウィック、米プライスウォーターハウスクーパース(PWC)を経て、米国で経営・起業コンサルティング会社を設立。その後、東京に「株式会社JCI」を設立し、代表取締役に就任。日・米・アジアを中心に総合的なビジネス・経営(起業)コンサルタントとして活動中。現在までに、日・米・アジアで1200億円以上の資金調達と50社以上の上場を支援。
著書に『あたりまえだけどなかなかできない仕事のルール』(明日香出版社)『凡人でも上場できる!起業の黄金ルール』(日本実業出版社)『稼ぐ力50のルール』(ダイヤモンド社)『[図解]仕事が速い人のすごい習慣&仕事術』(PHP研究所)などがある。100冊以上を執筆し、累計発行部数は300万部を超える。