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[プロフェッショナルサラリーマン] になるためには

俣野成敏(プロ研代表)

2013年02月25日 公開 2022年12月08日 更新

キャリアをどう形成するか

「自分のキャリアの描き方がわかりません」
という人がいます。

確かに今の時代は正社員として採用されるだけでも一苦労ですし、たとえ正社員になれたとしても、定年まで会社が存在するかどうかわからない世の中です。何を目標に仕事をすればいいか、見当もつかない人がいても無理はありません。

僕のケースをお話しすれば、僕は20代、30代、40代という年代別にテーマを設定しました。

具体的に説明しましょう。

20代は徹底的に実験してやろう。30歳になるまでは、「自分にはもうこれしかない」などと決めつけない。自分に何ができるのか、どんなことでなら勝てるのか実験してみようと決めた。それこそ七転び八起きで何かを試すことの連続でした。向いてないとわかったら徹底的にあきらめました。

しかし僕の中ではずっとなにができるのか、できないのか、向いているのか、向いていないのか、といった、自分自身の実験が続いていました。まだ若かったので、五里霧中で彷徨い続けていたように思います。

30代になると、そうも言っていられない。そろそろ腹をくくって、覚悟を決めてやらなければいけない年齢です。したがって何かで実績を残す年代にしようと思った。会社のリストラという不測の事態が背中を押したのは事実ですが、30代の10年間を1つの事業に捧げたのです。

40代の今は、実益がテーマです。稼ぐことに焦点をしぼっています。

50代以降はおそらく、今まで得たものを後進に伝え、社会に還元していく年代になると思っています。

こう考えてみると、20代で貯金などしている場合ではないということになるでしょう。がむしゃらにやる時間です。人と会うにも、スキルアップでも、実験にはコストがかかるからです。

20代のときの実験の結果、僕はいろいろなことをあきらめました。白旗もいっぱい揚げました。でも、残っているものにかけようと思って10年間をそれに費やしました。20代で実験をし尽くしたので、迷いはありませんでした。すると実績がだんだん積み重なってきて、いつの間にか、まわりの景色がちゃんと変わったように思います。

生き方を10年単位で決められないという人は、1年ごとでも2年ごとでもいい、とにかく期限を切ることです。「今年はもうこれしかしない」と決めればいい。そうすれば迷わずエネルギーを1つのことに注ぎ込むことができます。

今年の目標はとにかく人と出会うことだと決めたら、

「貯金がない。なんでこんなに使っちゃったんだろう」
「今月は飲みすぎた」
「ちょっと名刺代かかりすぎ。やっぱり貯金したほうがいいかな」

とはならないはずです。テーマがはっきりしていれば、そんなことで迷わない。

そうやって集中して取り組んでいった成果が積み上がったとき、それが夢の第一歩になるはずです。

 

俣野成敏

(またの・なるとし)

1993年、東証一部上場のシチズン時計株式会社入社。安息の日々もつかの間、30歳の時に半世紀ぶりの赤字転落による早期退職募集の対象になる。ダメ社員には転職や起業の選択肢もないことを痛感するとともに、退職を余儀なくされた年配者が自分の将来と重なり一念発起。2002年、経験や人脈の一切を欠く状態からアウトレット流通を社内起業。老舗企業の保守的な逆風の中、世界ブランドが集う施設で坪売上上位の実績を積み、30代で年商14億円の無借金企業に育てあげる。業績が認められ2004年に33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢。2011年にはメーカー本体に帰還、40歳で史上最年少の上級顧問に就任。
同年出版した著書 『プロフェッショナルサラリーマン』 (プレジデント社)は、2012年10月に出版された図解版と合わせて、シリーズ累計11万部のベストセラーとなる。数々のメディアにも取り上げられ、amazon.co.jpの2012年の年間ランキング(ビジネス・自己啓発)で33位に入賞。2012年6月、独立。複数の事業経営の傍ら、大学生や社会人を応援する講演や執筆活動をライフワークにしている。

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