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[プロフェッショナルサラリーマン] になるためには

2013年02月25日 公開

俣野成敏 (ベストセラー『プロフェッショナルサラリーマン』著者)

『プロフェッショナルの教科書』より》

流行を知ることで仮説思考を身につける

 「どうしてそんなことを考えつくのですか?」
 「どこからそういう発想が出てきたのですか?」
 と聞かれることがあります。

 それは、常に「自分だったらこうする」とか、「あのビジネスが伸びたのは、こういう理由ではないか」などと、仮説を立てる訓練をしているからです。

 この仮説思考は、どうすれば身につくのでしょうか。

 ひとつには、車内広告やたまたま入った店を素材として、「自分ならこうする」と考えてみること。

 そしてもう1つは、自分が好きか嫌いかは関係なく、世の中の流行にはまってみることです。自分の趣味に合うか合わないかは関係ありません。

 僕は、世の中で人気があるものは、努力して興味を持つようにしています。たとえ、はじめは興味の持てないものにでも、です。

 僕は自分で自分のことを商売人だと思っています。ということは、ビジネスを通じて、世の中の人にお金を払ってもらわなければなりません。そのためには、できるだけ多くの人の心をとらえるものをいち早く提供しなければならない。

 それなのに今の世の中で人気を集めているものに興味がないのでは、本当に売れるものを提供できるかどうかあやしいものです。

 世間がどんなものを求めているかを知るために一番手っ取り早いのは、自分自身が流行のものを体験してみることです。そのうえで、

 「なぜ、これは人気があるのか?」

 「ひょっとしたら、こういう理由で人気があるんじゃないか?」

 と仮説を立てることで、世の中の好みが見えてくる。これは外から客観的に見ているだけではわかりません。そのためにも僕は信頼できる人が2人以上勧めてくれたものは、四の五の言わずに買ってみる、行ってみる、やってみるというルールを決めて実行しています。

 「でも自分はそういうタイプじゃないんですよね」
 「あんな幼稚でくだらないものに、自腹を切るのは勘弁です」
 という人もいると思います。

 正直、そういう人は商売に向いていません。

 なぜなら、人は感情でものを買うからです。

 人が買い物をするときの感情には2種類あります。

 必要だから買う「ニーズ」と、自分がそれをほしいから買う「ウォンツ」です。この2種類を比較すると、ウォンツのほうが単価が高い。日用品などのニーズは1円でも安く買いたいけれど、嗜好品のウォンツはお金を借りてでも欲するからです。

 それでも、どうしてもおもしろさやよさがわからないということもあるでしょう。そういうときでも、少なくともそれに夢中になる人の気持ちがわかるまで、付き合ってみる必要があります。

 「どうしてこの人たちは、こんなものをおもしろがっているのか」

 「こんなの、どこがいいんだろう」

 と思いながらも付き合っていると、どこがいいのかが見えてきます。

 何ごとも外から見ているだけではわからない。体験してみることで、精度の高い仮説が立てられるようになるのです。

 「どうしてそんなに発想が豊かなんですか?」

 と聞いてきた人が僕と同じ本を読んでも、その人と僕とでは引っかかるものが違うと思います。なぜなら、その人はいきなり答えを求めようとしているからです。

 「どこに教科書があるんですか。どこに答えが書いてあるんですか?」
 というように。

 そういう人は僕と同じ本を読んでも、たぶんさっと読み終わって、「別に何もない」で終わるでしょう。でも「これを知りたい」と常々求めているものがあったら、その答えは目に飛び込んでくるはずです。

 クエスチョンマークを頭に入れているのといないのとでは、同じ情報でも、受け止め方が違う。仮説思考を身につけるためには、答えではなく問いを求めることです。
  

プロフェッショナルの条件

 プロフェッショナルの条件とは、どんなことでしょうか。これは人それぞれ、いろいろな考えがあると思います。

 僕は次の3つがプロフェッショナルの条件だと思っています。

 1つは、自分の言葉を持っていること。
 2つめは、自分の顧客を知っていること。
 3つめは、自分で自分の持論に反対できること。

 自分の言葉を持っているとはどういうことかというと、他人から多く学ぶだけでなく、それを自分の中でちゃんと咀嚼して、他人に説明するときはオリジナリティをもって伝えられるということです。つまり、噛んで、消化して、吐き出す力があるということ。それを世間では説得力といいます。「あの人が言うと、何かズシンとくるね」というのは、借り物ではない自分の言葉で語れるからです。

 他人から聞いたことをすぐ試してみるのも大事ですが、自分の中でいったん受け止めて反芻し、完全に自分の中で消化をして、自分の経験や見地に照らして話ができれば、自分の言葉になる。パクリがパクリではなくなります。もしかしたら、もとの本人が言うより説得力があるかもしれません。

 次に自分の顧客を知っていること。

 成果をあげる人は、自分の顧客が誰かを、ビジュアルでも言葉でもしっかりととらえ、表現できます。代表的な顧客の後ろに何万人もの人がいるのを知っています。

 「あなたのお客さんは誰ですか?」と聞かれたときに、スパッと固有名詞が出るようであれば最高です。

 「僕は、この人のために商売しています。この人のためにこの商品をつくりました」

 ということが言えるかどうか。それが言える人は強い。なぜならサービスがぶれないからです。

 「もしかしたらあの人も気に入ってくれるかもしれないし、この人も気に入ってくれるかもしれないし、どちらか迷っているんですよね」

 というのでは結局のところ、誰にも気に入ってもらえません。

 3つめの条件は、自分で自分の持論に反対できること。これは最も難しくて、最も重要です。

 人間というのは本来、心が折れやすいものです。それでも心が強い人もいる。

 なぜ強いかというと、非難を受ける以上に、自分で自分に反対意見が言えるからです。

 「でも、そうは言ってもさ」「こういうとこあるでしょ」
 と自分の理論に突っ込みを入れられる。

 僕は常に持論に突っ込みを入れているので、仮に誰かから非難されても、「ああ、僕より突っ込みが甘い」と思えるほどです。だから上司から怒られて心が折れたなんて人は、僕に言わせればまだまだ。もしそういう人が、上司になったらどうなるでしょう。下からのヤリのほうが鋭いのです。

 自分のステージが上がれば上がるほど、後ろ指を指す人は出てきます。そういうマインドがないと、そんなときに折れてしまいかねません。

 普段から「こう言われたら、こう答えよう」と思っていれば、あわてないで済むし、どんなときでも負けない体質をつくることができます。

 自分で自分に反論することによって、自分の持論はさらに磨かれていきます。

 なぜなら自分自身による突っ込みは、ほかの人がちょっと思いついた程度の質問よりは鋭いことが多いからです。だって、自分の考え方の弱点は自分が一番よく知っていますから。

 自分の言葉を持っていること。
 自分の顧客を知っていること。
 自分で自分の持論に反対できること。

 これは僕が考えるプロフェッショナルの条件ですが、あなたにとってのプロフェッショナルの条件は何か、考えてみてください。
  

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