「私立大学3割消滅の時代」をどう生きるか 明星大学の地域密着戦略
2025年12月29日 公開
日本にある私立大学のなんと約半分が「定員割れ」という冬の時代。大学はどうすれば赤字を乗り越え、生き残れるのか。史上最大の危機を前に、明星大学客員教授が需要と供給を分析し、鍵を握る指標を示す。
※本稿は、西山昭彦著『明星大学生はうまくいく』(PHP研究所)を一部抜粋・編集したものです。
私立大学の半分弱が赤字
現在、4年制大学への進学率(2025年度)は59.1%で、過去最高である。大学で学びたい人は増え続けている。
ところが、私立大学を経営する全国543法人のうち、253法人が2024年度決算で赤字だ。赤字率は46.5%に上り、前期(40.8%)から5.7ポイント上昇した(商工リサーチ調べ)。これはいったい何を意味するのか。
進学率は上がっても、18歳人口という潜在需要層が大きく減少している。それに対して、供給(大学数)がその分減少していない。
その結果、2025年度入学者では、私立大学のうち定員割れの大学は316校(53.2%)で、すでに私立大の現状は危険水域にある(日本私立学校振興・共済事業団調べ)。
供給過剰は明らか
少し長いスパンで見てみる。大学の需要は、大学入学年齢人口×4年生大学への進学率で決まる。
1990年は人口201万人×進学率24.6%。2000年には151万人×39.7%。2024年は106万人×59.1%だ。つまり、大学の需要は2000年の59.9万人から2024年の62.6万人へと、3.7万人しか増えていない。
それに対して、大学数はどうなっているのか。
2024年の大学数は国立85、公立103、私立624で合計812校である。1990年には507校、2000年では649校だった。2000年から2024年で163校も増えている。
つまり、過去4半世紀の傾向として、需要がほとんど増えていないのに、大学は163校も増えており、供給過剰は誰の目にも明らかだ。企業であれば、ここまで増やすことはなかったと思うが、これが日本の大学の現実だ。
将来はさらに悪化~史上最大の危機
問題は、この先少子化の進展でさらに需給が悪化することだ。文部科学省の予測によると、大学進学者数は2026年をピークに減少し、2050年には41万人と、2021年比で3割減る。
今でも定員割れの私立大学は5割を越えているのに、さらに3割需要が減る。わが国の人材育成に大きく貢献してきた大学経営は、これから歴史上最大の危機の時代に入る。
文部科学省も危機を意識し、「2040年を見据えて社会とともに歩む私立大学の在り方検討会議」を設置している。
そこに提出された日本私立学校振興・共済事業団の調査によると、大学法人の経営は、2024年度は44.8%が「赤字」(事業活動収支差額比率がマイナス)で、前年度より35法人増加し、252法人に上る。
将来の経営状況については、大学法人の回答が「やや厳しい」「厳しい」を合わせると66.8%であり、大学の将来不安は増加している。
地域にしっかり根差した経営
東京都日野市にある明星(めいせい)大学は、1964年に創立された。多摩地域(23区以外のすべて)で歴史の長い私立大学の1つである。
学部は9学部1学環、学生数8582名。定員充足率111.2%(2025年5月1日現在)で、定員割れもなく、経営も黒字で、多摩地域にしっかり根差している。
では、明星大学の成功の要因は何か。
私は、一般的な組織のアウトプット=経営戦略×組織体制×構成員で考えている。つまり、市場に対する優れた競争戦略が確立され、それを担う組織体制が適切に構築され、その構成員のスキル・モチベーションが高い時に、アウトプットは高くなる。
「卒業後の活躍」が指標になる
これを大学に置き換えると、大学というビジネスモデルは一緒なので、学部再編など戦略面の差別化は限られた範囲内でしか可能ではない。
そのなかで、顧客である「学生ファースト」が真の意味で貫かれているかが大事だ。これは、結果としての学生の「在学中の成長値」(卒業時マイナス入学時の差)で見ることができる。より長期的には、卒業生の活躍度合いが指標になる。







