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生き方

臨床心理士が勧める「心身を整える」スケジュール帳の書き方

中島美鈴(臨床心理士)

2026年03月16日 公開

臨床心理士が勧める「心身を整える」スケジュール帳の書き方

夜更かし、スマホ、お酒...。
「やめたいのに制御できない」行動を改善する鍵は、「自分のパターンの把握」にあります。臨床心理士の中島美鈴さんが提唱する、スケジュール帳を使ったセルフマネジメント術とは?

書籍『会社でいちいち傷つかない 認知行動療法が教える、心を守り成果を出すための考え方と行動』から、認知行動療法に基づいた具体的なメソッドを紹介します。

※本稿は、中島美鈴著『会社でいちいち傷つかない 認知行動療法が教える、心を守り成果を出すための考え方と行動』(日経BP)より一部抜粋・編集したものです。

 

自分の心と体をマネジメントする

平日の夜、「よくない」と思いながらゲームとスマホで夜更かししてしまう。休みの日も家でゆっくりしているにもかかわらず、疲れが取れない。

仕事に向き合わなければいけないと思えば思うほど、そこから逃避してしまう。

スマホが爆発的に普及した、いわゆる日本のスマホ元年は2011年頃で、スマホを手放せないという人が増えてきました。

スマホだけではありません。ゲーム、お菓子、お酒、ギャンブルなど、やめたくてもやめられない、こうした誘惑に負けずに自分を管理するのは至難の技です。

一方で私たちには、「自分をちゃんとコントロールしたい」という欲求もあります。

自分の好きな時間を楽しみながら、誘惑に負けないように自分をコントロールできないと、それがストレスにもなるのです。

本稿では、スケジュール帳を上手に活用して、自分の身体と精神状態をマネジメントする方法をお伝えします。

 

セルフマネジメントへの第一歩

自分をマネジメントするには、まず「自分のパターン」を知ることが大切です。

一番いいのは、24時間のタイムログをとることです。何にどのぐらい時間を使っているかを記録するのです。スケジュール帳を使っている方は、予定を色分けして記入してみてください。

私は黒、赤、青、緑の4色のペンを使ってスケジュール帳を管理しています。自分なりに色のテーマがあり、次のように分けています。

 

赤:健康に関するもの(きつい、体調を崩した、病院にいったなど)、仕事のキャンセル、やろうと思ったことの先延ばし
青:仕事に関するもの
緑:お楽しみ、ご褒美、自分の夢を叶えるための活動
黒:その他(ゴミ出し、家族の予定、移動時間やいつものルーティンなど)

 

このように色分けしておくと、スケジュール帳を開いて全体を眺めるだけで、
「あ、今週は真っ青。仕事ばっかりしてるな」 
「今週は緑一色。遊び呆けている」
ということが、ひと目でわかります。

わざわざ1週間を振り返る時間を取らなくても、色が目に飛び込んできて、日々振り返ることができるのが続けやすい秘訣です。

次のようなチェックリストをおすすめしています。

 

【1週間を振り返るリスト】

・仕事に関する青ばっかりになっていなかったか
・あなたにとって最適な青の分量は1日何時間まで?
・ 楽しみの緑ばかりでも支障のある場合がある(仕事などが滞っていないか? 24時間という限りのある時間のうち緑が多くを占めるということは青が減っているということ)
・長い目で見ても健康上のリスクはないか
・お金を使いすぎていないか
・人間関係が保てているか
・夜の外出はどのぐらいの頻度がベストか
・一人時間はどのぐらい必要か

例えば、このうち体調不良や、やるべきことを後まわしにしている赤の文字が目に飛び込んできたとしましょう。その時にやってほしいことがあります。次の点についてチェックしてほしいのです。

 

【赤い文字が多かった時のチェックリスト】

・この1週間は青(仕事関連)が普段より多くなかったか
・外出の頻度は普段より多くなかったか
・一人の時間、あるいは人と一緒にいる時間の比率が普段と違ったか
・セルフケア(爪切り、入浴、体を休める、髪や肌の手入れなど)の時間が減っていなかったか
・睡眠時間に変化はなかったか
・食事傾向(外食かどうか、塩分、アルコール、糖分など)の変化はなかったか
・大きなストレスはなかったか
・その他長い目で見ても健康上のリスクはないか

 

「赤」が出るたびにこのチェックを繰り返していると、徐々に自分の健康を守るための暮らし方がわかってきます。これにはかなり個人差があるので、一般的な目安を満たしているからといって必ずしも健康を保つことができるとは限りません。

ちなみに私は普通の人よりかなり多くの睡眠時間を必要としていること、夜の外出は週に一度が限度であること、塩分は少なめの方がむくまないこと。夕食もお風呂も18時までに済ませた方が調子のいいことなどがわかってきています。以前は月に1回は風邪をひき、1週間ほど寝込むような体質でしたが、今では体調を崩しにくくなりました。

また、ご褒美である「緑の時間」の作り方については、趣味が釣りなどの人は、移動時間も含めてある程度まとまった時間が必要になります。しかしそれだとなかなか時間が確保できません。

その代わりに、もっと細切れで楽しめることを探してみてください。「釣りグッズを買いに行く」とか、「釣った魚を三枚におろす練習をする」とか「釣り動画を見る」など、そういうことが考えられます。

「これは楽しいだろう」と思って緑色で記したものが、やってみるとそうでもなかったという気づきもあるでしょう。学生時代の友達とランチするのを楽しみにして緑で記入していたけれど、いざ数年ぶりに会うとお互いの生活状況があまりに違っていて話題が合わなくて全然楽しめなかった、ということはありませんか。

そういった場合には、いろいろ考えすぎずに「そうか、今は緑の時間じゃないのか。次から会うことがあっても黒で予定を書こう」と事実ベースで捉えていきます。

これを繰り返せば、プライベートの時間を確保し、好きなことでリフレッシュしながら、自分の身体と精神のコントロールができるようになるのです。

 

プロフィール

中島美鈴(なかしま・みすず)

臨床心理士

福岡県生まれ、臨床心理士。専門は認知行動療法。2020年、九州大学大学院人間環境学府博士後期課程修了。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部などでの勤務を経て、現在は九州大学大学院人間環境学府にて学術協力研究員、肥前精神医療センター臨床研究部非常勤研究員。主な著書に『マンガで成功 自分の時間をとりもどす 時間管理大全』(主婦の友社)、『もしかして、私、大人のADHD? 認知行動療法で「生きづらさ」を解決する』(光文社新書)などがある。朝日新聞デジタルにてコラムを連載中。

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