SNSで他人の幸せそうな投稿を目にしたことで、「なぜあの人ばかり...」と気づけば嫉妬心に心が蝕まれていく...。そんな経験をしたことはないでしょうか。
約2500年前、ブッダは人の心身を狂わせる根本的な毒として「三毒」を説きました。「貪(とん)=欲」「瞋(じん)=怒り」「痴(ち)=無知」。その中でも嫉妬は怒りの一種とされ、三毒のうちで最も手ごわい感情だといわれています。
嫉妬はどうすれば手放せるのか。書籍『その悩み、ほとんどあなたの妄想かもよ?』から、その対処法を紹介します。
※本稿は、大愚元勝著『その悩み、ほとんどあなたの妄想かもよ?』(アスコム)より内容を一部抜粋・編集したものです。
「嫉妬」は他人に対する強い怒り
「自分の好きな人がほかの人と付き合ってしまった」
「職場で若くてきれいな同僚だけがチヤホヤされている」
「友達がSNSに楽しそうな投稿をたくさんしている」
このような場合、相手に対して「羨ましい」「妬ましい」という嫉妬の感情が湧いてしまうことがありますよね。
意外に思われるかもしれませんが、仏教において嫉妬は「怒り」のグループに分類されています。
「いいなぁ」と相手を羨みながらも、ほかの人が幸せであることに強い怒りを感じている。
それはいったい、どういうことなのか?
好きな相手を自分のものにしたい。周りから好かれたい、もっと良い扱いを受けたい。人よりも充実した楽しい生活をしたい。
これはなにかに近づきたい、手に入れたいと願う「貪(欲望)」の気持ちが働いているということです。
でも、好意を寄せている相手や職場の仲間たちは、私ではないほかの誰かに愛情や関心を向けている、友達や知り合いが私よりも楽しそうな生活をしている、「そんなことは許せない!」という怒りの感情を持ってしまうわけです。
「嫉妬」には、怒りだけでなく、不安、憎しみなどさまざまな感情が複雑に絡み合っていることも大きな特徴といえるでしょう。
恋愛感情がもつれると「好きなのに嫌い」「嫌いなのに好き」というような、なんともいえない感覚に襲われることがありますよね。
いろいろな感情が入り乱れている状態なので、心の混乱状態といっていいかもしれません。知性も理性もあるはずの大人でも混乱して、相手を罵ったり、時には物理的・心理的の両面で相手を攻撃してしまう―嫉妬は、とてもやっかいな感情なのです。
心を濁すとされる毒のなかには、簡単に抑えられるものもあれば、非常に解毒が困難なものもあり、その処理の仕方もさまざまです。
そのなかでも嫉妬は難易度最上位ランク。
仏教でも扱いが難しい感情とされています。
嫉妬の反対は喜び
「すぐに人と比べて嫉妬してしまう自分が嫌」
それこそ現代ではSNSなどで他人の生活や行動が丸見え状態なので、不必要な嫉妬の感情を抱いてしまう方が多いのも無理はありません。
じつは嫉妬に対する処置は至ってシンプル。
「他人の喜びに対して、あなたも一緒になって喜んであげること」
これが最も効果的です。
ただ、誰しもどうしても競争心があって、ついつい相手を妬ましく思ってしまうものなので、なかなかすぐにはできないでしょう。
例えば、私たちはオリンピックを見ながら「頑張れ!」とスポーツ選手のことを応援したりしますよね。
まったく知らない赤の他人なのに、金メダルを取ると「やったー!」とその活躍ぶりをみんなで喜びます。
そもそも仏教では「嫉妬」の反対語が「喜び」なので、「自分ごとのように、本当に喜んであげることを練習しなさい」とブッダも説いていました。
嫉妬は怒りの一種であり、毒のひとつですので、ずっと持ち続けると心を破壊していきます。
全然知らない人、自分とはレベルが違っていて敵わないと思える人に対しては素直に喜べるのに、これが自分の知り合いや自分と似たようなレベルの人(だと思い込んでいる人)だと、妬ましく思ってしまう。
野球の大谷翔平選手やゴルフの松山英樹選手、あるいは世界的に活躍しているアーティストに対して「妬ましい!」と思う人はほとんどいないでしょう。これが自分のチームメイトや同僚、友達だと嫉妬してしまい、その成功を素直に喜ぶことができないのです。
だからこそ、意識的に喜ぶ練習をしなければなりません。
「それは本当にほしいものか?」を見極める
そうはいっても他人の成功を喜ぶことはなかなか難しい......と思ってしまう方には、それ以外の対処法もお伝えしておきたいと思います。
ひとつは、競い合わないで済む人間関係をつくることです。
年の離れた人、まったく違う業界の知り合いなど、ふだんの自分の生活とは関係のない場所で出会った人や、属性が異なる人であれば、比較したり、競争したりするところがあまりないため、フラットな気持ちで付き合うことができるでしょう。
誰かに対して「いいなぁ」と思ってしまうのはしょうがないことですし、それ自体がダメなわけではありません。けれども、そこから「どうしてあの人ばっかり!」「自分のほうが......」などといった黒い気持ちに吞まれないことが大切なのです。「いいなぁ。でも、私は私で頑張ろう」と、自分とは切り離して、切り替えて考えられるようにできれば、苦しい気持ちにとらわれることは減っていくでしょう。
また一方で、「いいなぁ」と感じてしまうことは、「本当に自分が求めているものなのか?」を自問自答してみるのも良いと思います。
例えば、毎日たくさんの人に囲まれて食事や遊びを楽しんでいる人や、高価なブランド品に囲まれている人。「たくさんの友達がいる人は優れている」「高価なブランド品を持つのは成功している証だ」などといった、世間の価値観に惑わされていないでしょうか。
よくよく考えてみたら、あなた自身はひとりで静かに過ごすほうが好きだったり、高価なブランド品よりも自分が本当に気に入るものを探すほうが好きだったりするかもしれません。
自分の心を見つめ、「自分が本当に大切にしたいものはなにか?」を考えてみると、苦しい嫉妬の感情がじつは「錯覚」だったことに気がつけるでしょう。








