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免疫学の世界的権威が教える “「ちょい悪」健康法”



2013年06月18日 公開

安保 徹 (医学博士)

《PHP文庫『大往生できる生き方できない生き方』より》

ストレス解消に深刻になりすぎない
   

ストレス解消の努力が“ストレス”に

 ストレスを溜めないように溜めないようにと用心し、体によいことばかりをしているのも息苦しいものです。

 私は、以前はストレス解消をかねてよく散歩をしたのですが、最近はちょっと散歩から遠のいています。そのきっかけは、ある日、歩いている人たちの顔つきがなぜかみな面白そうじゃないことに気づいたからです。

 だいぶ前から、健康によかれと多くの人が散歩をし始め、特に、早歩きが血圧を下げるというような研究データが広まってから一大ブームになりました。ですが、みんなつまらなそうに黙々と歩くだけ。なんだか息苦しいような雰囲気です。散歩は無意識でできるものですから、単調すぎるのが原因かもしれません。そう感じたらすっかり散歩熱が冷めてしまったんですね。

 その代わりに、今は早朝のゴミ出しを日課にしています。燃えるゴミや燃えないゴミを選別して集積所にもって行き、それだけでは時間があまるので残った時間で家の周りの掃除をします。

 雑草が生える時期は草とりにも熱中。その範囲は自宅向かいの空き地などにも及びます。抜いた雑草はコンポストに入れたり土に埋めたりして肥料に。これくらいすると、かなりの運動量になり、だいぶ汗をかきます。そして、終わったらシャワーを浴び、朝食をとって大学に出かけます。

 そもそも私はほめられるのが好きで、子どものころも母から庭掃除などをいいつけられて「きれいになった。偉いね」などとほめられると、ますます調子に乗って精を出す性格です。根が単純なところは、今でもあまり変わっていませんが。

 こうした日課は起き出してすぐに始めるので、通勤・通学の人が通るころにはすでに終わっています。恥ずかしいというわけではありませんが、人通りがない時間にするほうが人の目を気にせず精を出すことができて気が楽なんですね。なりふり構わず草を抜きながら、時折、無意識に演歌など口ずさむのもいい気分転換になります。

 散歩を日課にする人も、1時間歩くところを30分で切り上げて、あとは頭や手先を同時に使って楽しくできるような軽い仕事をしてはどうかと思います。

「ちょっと悪いこと」もときには必要

 ストレス解消のために苦行僧のような取り組みをするのでは、それこそストレスが溜まってしまいます。たまには少し体に負担をかけるような「ちょっと悪いこと」をしたりして、息苦しさに風穴をあけるくらいがちょうどよいのではないでしょうか。

 私の場合の「ちょっと悪いこと」とは大酒でしょうか。さすがにもう自分を見失うほど飲むことはありませんが、それでも過ごしたなと思うくらい飲むことはたまにあります。それまで節制すると、なんだか自分でも面白くないという感じがするからです。

 それと、本業の論文書き。無理をするのはよくないと思いつつも、論文を書き始めるとつい何時間ものめりこんでしまいます。書いていると早く次を書かないと忘れそうな不安にかられて書き進めてしまうわけです。するとさすがに疲れる。目が疲れ、猫背もひどくなる。でも、たまにそれくらいのストレスがあると、かえって踏ん張れるようなところがあります。あまりに体によいことばかりをしてストレスを避け続けていると、ストレスに過敏になって耐性が下がるのでしょう。

 

「楽しく」「気持ちよく」が、一番
   

「気持ちがよく」て「楽しい」ことが決め手

 そもそも現代人に多い精神的ストレスというのは、現実と自分の理想とのギャップからくるもの。「まあ、いいか」と笑って受け流せる人もいれば、「こんなはずでは……」と落ち込む人もいるなど、同じような状況でもストレスのかかり方は人それぞれです。

 考え方や感じ方を変えれば少しはストレスも減るのでしょうが、性格によっては気持ちの切り替えが一朝一夕にはできません。ですが、ストレスを溜めてばかりいては、交感神経優位が続いて病気になるのを待っているようなもの。ストレスを解消するためには、副交感神経を働かせて体をリラックスさせる必要があります。

 ストレス解消に役立ちそうなものはたくさんありますが、どれが自分に向いているかは自分の感性に任せるしかありません。自分が「気持ちがいい」とか「楽しい」とか感じられるかどうかが大きな決め手になるでしょう。中でも、血流がよくなるようなことは一般的にストレス解消に役立ちます。

私の場合は、銭湯、晩酌、海水浴

 私の最高のストレス解消法は、休日にスーパー銭湯に行くこと。そして、夕飯前の晩酌。モーツアルトか演歌を聴きながら日本酒などをチビチビと飲む。そのうち「ご飯ですよ」という声がかかって切り上げどきとなるのですが、その間約1時間、ちょうどよいリラックスタイムです。

 30、40歳代のころは碁や将棋が趣味だったのですが、最近は目が疲れるのでやめてしまいました。碁も将棋も、2回もすれば4時間はかかります。その間、ずっと盤を見続けているわけで、とても疲れてしまうんですね。仕事柄、ただでさえ書き物が多いので、これ以上目を酷使しないほうがいいという気持ちもありました。

 そういうわけで、50歳を超えてからは座ってする趣味から体を動かす趣味に大きく転換したのです。楽しみながら体を動かすと、血流をよくするだけでなく気持ちがさっぱりします。夏なら水泳。幸い自宅が海から近いので、大学へ行く前にひと泳ぎします。早朝の海はとてつもなく気持ちがいいものです。

◇まとめ◇
ストレス解消に役立ちそうなものはたくさんありますが、中でも、血流がよくなるようなことは一般的に効果的です。自分が「気持ちがいい」とか「楽しい」とか、感じられるかが決め手。私の場合は、晩酌に入浴、時々の水泳が一番のストレス解消法。

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