「脱成果主義」の最適な目標設定とは? ~社員を大切にする人事評価
2013年10月01日 公開 2015年08月31日 更新
「脱成果主義」とは
社員も会社も持続的な成長を遂げられるように、私は「脱成果主義」を提唱しています。脱成果主義というのは、成果主義を全否定しているわけではありません。成果主義は前提です。しかし、最終結果だけを目標として掲げて社員を競わせていると、業績が上がるどころか、ときには社内が混乱し、会社の価値も社員の価値も下げてしまうような事態に陥ります。
1990年代後半から、コンサルティングファームが日本に成果主義を導入した最大の弊害は、単純に最終結果だけを見過ぎるようになってしまったことです。プレーヤーとして結果を出すことにだけ評価軸があったために、
「なんで部下を育成しなくてはいけないんだ」
「会社に対する忠誠心なんて必要ないですよね」
という考え方の社員が数多く生まれてしまいました。
「これはまずい……」
と気付いて、今、日本の企業は試行錯誤をしています。
そういう「行き過ぎた成果主義」から脱却し、結果もプロセスも共に重視して、適正な評価につなげましょう、というのが脱成果主義です。
適正な評価を行うためには、どういうふうに目標を設定するのか、そのやり方が非常に重要になります。キーワードは「合意形成」です。
会社側から一方的に目標を押し付けられたのでは、社員に納得感は生まれません。それでは、社員の本当のやる気を引き出すのは無理です。大切なのは、結果とプロセスの目標を設定するときに、社員も関与して合意形成をすることです。そうすれば、自分で掲げた目標となるので、社員も納得して意欲的に取り組むことができます。
合意形成をして評価につなげる
あなたの会社には、目標を設定する際に、会社側と社員とで合意形成をして、それを適正な評価につなげていくという仕組みはあるでしょうか。プロ野球であれば、
「10勝を続けている投手なら、これくらいの年俸」
という基準があります。それと同じように、営業なら、
「年間3000万円の粗利を稼げる人の給与は、これくらい」
といった基準は定められているでしょうか。
また、プロセスについても明確な評価基準を作っているでしょうか。
そうした定量と定性の評価基準を前提として、社員も関与して目標を設定をすれば、
「何をどれだけ頑張れば評価されるのか」
「どうすれば給与が上がるのか」
ということを、社員は十分に理解し、目標達成に向けて意欲的に取り組めます。
<書籍紹介>
「サラリーマン全員プロフェッショナル時代」の人事評価とは? 行き過ぎた成果主義を見直し、社員がワクワクと働ける制度を提案!
<著者紹介>
高橋恭介
(たかはし・きょうすけ)
株式会社あしたのチーム代表取締役社長
1974年、千葉県生まれ。東洋大学経営学部卒業後、興銀リース株式会社へ入社。リース営業と財務に携わる。その後、設立間もないベンチャー企業、プリモ・ジャパン株式会社に入社。数十名だった従業員が500人規模へ躍進した同社の副社長を務め、人事にも深く携わる。台湾子会社代表も歴任。2008年、株式会社あしたのチームを設立。2013年、徳島県三好市にサテライトオフィスを開設した。