55年の福祉活動、その原動力は
朝倉 杉さんは来年、芸能活動50周年を迎えられるそうですが、福祉に携わってこられた年月はそのキャリア以上に長いとか。15歳のときに刑務所の慰問をされたのを皮切りに、来年で福祉活動歴が55年になられると伺いました。
杉 そうなんですよ。
朝倉 しかも国内・国外を問わず、非常に多岐にわたってさまざまな活動をされていますね。被災地への救援・炊き出し、刑務所の視察や慰問、ベトナム支援、肝炎対策、さまざまな団体や施設への寄付・慰問……ほんの一端を紹介するだけでもこんな具合になる。精力的な活動の原動力は何なのか、教えていただけますか。
杉 自分が何に突き動かされてやってきているのか、長年のテーマとしてずっと考えていますが、自分でもよく分かりませんね。昔から何かというと「売名行為だ」などと中傷を受け、もううんざりして、やっていることを隠そうとしていた時期も長くありました。
自分としては、特に目的や理由があってやっているわけではないんです。気がついたら動いているのだから、もう「性」のようなもの。一時期は、「福祉病という病気にかかってしまったんです」と説明していました。この病気は治らないけど、人に感染することもない。「まあ、病気ですから、ちょっと大目に見てください」と。でも、それもあまり通用しなくなったので、最近は、「自分で勝手な妄想を抱いてやっていることですから」と説明しています。
朝倉 「妄想」ですか?
杉 はい。福祉妄想にかかっているだけ(笑)。先方からお願いされてやっていることはほとんどないんです。自分が勝手に現場に行ってそこの現実を見て、「これをなんとかしたい」と考えて、勝手にあれこれやってくる。言ってみれば、押しかけ女房ならぬ、押しかけ福祉。お節介焼きなだけなんですよ。
☆本サイトの記事は、雑誌掲載記事の冒頭部分を抜粋したものです。