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緒方貞子「1人だけよくなるような時代は、もう、あり得ない」



2013年12月09日 公開

緒方貞子(国際協力機構〔JICA〕特別顧問)

緒方貞子著『共に生きるということ be humane』

※本稿は緒方貞子著『共に生きるということ be humane』(PHP研究所刊)より一部抜粋・編集したものです。
 

先を読むということ

―ー21世紀に入ってグローバル化が進んできましたよね。これからの10年、どういう時代になっていくのか、緒方さんはどう見ていらっしゃいますか?

いや、とてもわかりませんけどね。いまは簡単に先読みができるような状況ではないから。だけど社会の面でも、経済の面でも、人間の寿命、人間の在り方についても、あらゆる面で非常に激しい変化が続くだろうと思います。それにどうやって対応していけるか。

まず、難しくても先読みができなきゃならないと思うんです。

例えば人口構造にしても、少子高齢化社会になるということはわかっていたんですよ。でも何も十分対応しないままきてしまった。政府においても、政治家においてもね。

これから非常に大きなチャレンジになると思いますよ。こんなに長寿化が進んだ素晴らしい状況は一方にあるけれども、その人たちに対応するための制度も、税制も、暮らし方もできてない。

少子化については、女性がもっと子どもを産んでも、きちんと社会で活動していけるような形をつくらないと。保育の仕組み、就労の制度を改善して。やっぱり子どもはみんなほしいのですから。

子ども手当が支給されるようになりましたが、本当に必要なのは保育園等ですよ。それについては、公的な対応は十分ではなかったですね。

また女性が働かなければ、この国の経済は十分に発展しないだろう、ということを考えれば、制度的にしなければならないことはたくさんあったはずです。対応が遅いなという印象を私は持ちます。

それだけじゃなく、労働市場についても、少子高齢化の社会において、外国の人に来てもらって助けてもらうのか。助けてもらう場合、働き手を送り出す国に対してすべきことができているのか、という、相互依存への対応に関する様々な問題が出てくるだろうと思うのです。

教育についても、国際、国際と言っているけど、かなり国際的じゃないシステムの中で行なわれています。

英語は、外国語というよりも、国際語になっている。英語のほかに何を知っているかということじゃないと、国際的な交流ができないだろうと思うのです。英語教育を早くからすると、国語を忘れるからいけないという指摘もありますが、忘れることなんてありませんよ、自分の国の言葉を。

それと同時に、外国の言葉だっていくらでも習えるんですよ。ちゃんとした教え方をして、それが必要だという認識さえ持てば。

世界のどこにも、いろいろなオポチュニティ[opportunity]があって、日本もずいぶん進んだ技術を持ち、それで発展してきたんですが、その人たちの技術が十分に使われるような企業形態になっているのか。

技術を持った方たちがずいぶん外に出て行かれています。それはいいことですよ。ほかの国ももっと進んでいくし。だけど、日本は全ての面で遅れた国になってほしくないと思います。

ですからやっぱり需要というものを先取りできる、先見の明が本当に必要な時代になってくると思います。

それこそ開発途上国の協力を考えているJICAのようなところでは、本当に先読みが必要になってくる。

国全体を見て様々な変化の必要性を訴えていただくのは政治家の方たちだと思いますから、政治家の方たちも、もっと先を見て、「こういうふうになるんだから、みんなこういうふうに考えようじゃないか」というようなメッセージをどんどん出していただきたいと思います。

そうすることで、非常に素晴らしい進歩を遂げてきた日本が、引き続きそれに見合った責任を、国際的に果たしていく時代が来ると私は思うんです。

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