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吉越浩一郎・社長を目指せ!社長業は難しくない!

吉越浩一郎(元トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長)

2014年07月09日 公開 2022年12月01日 更新

単純なことを徹底できる一握りになれ

 さて、ここでもう一度、結果を出せるタクシーの運転手さんに話を戻す。彼は、何をしているから結果が出せるようになったのだろうか。

 実は、これまた簡単なことなのだと思う。

 自分で何かをして、うまくいかないようであれば、やり方を変えてはまたやってみて、諦めずに最後の最後、成功するまで努力し続けたのだ。そういった方法で習っていき、実力を身につけていく。知恵を絞って考えて、何度も何度も実行し、繰り返していくうちに、自ら習い、いわゆる習育して、実力をつけていくのである。

 ここで重要なのは、自分で実行することであり、いろんなかたちで暗黙知といわれるコツなり、ルールなりを習っていくことだ。これを何度も、何度も繰り返し、徹底して習っていければ、常勝する実力を身につけることができる。早道はない。その代わり単純だし、誰にでもできる。

 誰にでもできるといっても、それほど徹底してやれる人がこの世に何人いるかといわれると、これが極端に少ないのだ。途中で諦めるか、満足してしまう。繰り返すが、まったく難しいことではない。ただ、徹底してやりきれるかどうかが分かれ道だ。

 何度も、何度も、ありとあらゆることを試し、経験を積んでいくうちに、どんなことが起きようとも、それに適した一番良い方法が既に頭に入っているし、すべての経験が血となり肉となり、実力となっている。どんな問題にも、既にマスターしているかたち、あるいは、それに似たかたちで対処すれば、済んでしまうことなのだ。

 初めての事態が起きても、よくよく分析してみれば、そんなに新しいことではないことがよくわかるはずだ。そうやって、先に進んでいくのだ。

 社長になり、結果を出すということは、難しいことではない。ただ、そのためには努力に努力を重ね、誰にも負けない実力を身につけることである。がんばってほしい。そこまでの道のりが大変なことはわかっている。

 でも、まずは「自分ならできる」と自信をもつことから始めてほしい。大変だけれど誰にでもできることなのだから、あなたにできないはずはない。

 これからの、あなたのひたすらな努力に、心からのエールを送りたい。

 

<書籍紹介>

社長の掟 業績を上げ続けるための60則

吉越浩一郎 著

社長になったら、運を頼るな。社長の仕事は単純で誰にでもできる。それを徹底してやり抜けるかどうか。すべてはそこにかかっている。

 

<著者紹介>

吉越浩一郎

(よしこし・こういちろう)

1947年、千葉県生まれ。上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業。メリタ香港の勤務を経て1983年にトリンプインターナショナル(香港)に入社、1986年よりトリンプ・インターナショナル・ジャパン(株)に勤務。1987年代表取締役副社長、1992年に代表取締役社長に就任し、2006年に60歳になるのを機会に退社。その間、同社では即断即決経営を武器に19年連続増収増益を達成。早朝会議、デッドライン、残業ゼロ等の経営手法を取り入れ、効率化を図り会社を急成長させた。
現在、東京と、夫人の故郷である南フランスの2か所を拠点に、余生ではない「本生」を実践しつつ、国内各地で幅広く講演活動、執筆を行う。
主な著書に、『新装版「残業ゼロ」の仕事力』(日本能率協会マネジメントセンター)、『結果を出すリーダーの条件』(PHPビジネス新書)、『デッドライン仕事術』(祥伝社黄金文庫)などがある。

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