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吉越浩一郎・社長を目指せ!社長業は難しくない!



2014年07月09日 公開

吉越浩一郎(元トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長)

《PHPビジネス新書『社長の掟 業績を上げ続けるための60則』より》
写真撮影:永井浩 

「社長は孤独」は嘘

 社長などにはなりたくないと思っている若者が、最近はやたら多いと聞く。

 私にいわせると、社長になれるチャンスは誰にでもあるのだから、それを狙わないというのは、実にもったいないことだと思う。社長を務めるということは、実際にやってみればそんなに難しいことでもないし、それ以上に誰にとっても、組織の頂点に立って采配を振れることほど魅力的なことはないはずと思うからだ。実際やってみたらやめられなくなってしまった例は、ご存知のとおり、たくさんある。

 それなのに、自分よりはるかにレベルが低い、トップに立っては困るような人が社長になって、その結果、自分が振り回されてぼやくようなことになるなら、自ら社長になって結果を出し、会社をもっと勢いのあるものに変え、ゲームとしての仕事を楽しむことが、自分のため、会社のためでもあると思わないだろうか。

 あるいは社長になるための準備が終わり、それなりの実力がついていれば、はからずも社長になれなかったときには自分で会社をつくってしまえばよいことなのだ。そのぐらいの気概を、常にもっていてほしい。

 とはいえ、社長という仕事がどういったものであって、社長になる準備も、また、社長になったらどうしていけばよいのかもわからないまま、「社長になったほうがいいですよ」と私にいわれても、いくらやる気があったところで、心配が先に立ち、おそらく心の底からの同意ができるとは思わない。

 そこで、社長とはどういった考えをもち、どうしていけばよいものかを、私の経験に基づいて書き出してみたのがこの本『社長の掟』だ。すでにこの本を読んでいただいた方は、なるほどとおわかりになっていただけると思うが、社長としてやる仕事自体はそんなに難しいことではないのである。むしろ、常識の範囲内のことばかり、といったほうがいい。

 しかし、世間一般には社長としての仕事はとても難しいことだと思われているし、社長になった人はむしろそう強調している。「社長とは孤独な存在で、最後は1人で決断しないといけない」などと、よく語られていることを見てもわかる。

 だが、私からいわせてもらうと、社長はむしろ孤独であってはならないし、ましてや1人で一か八かの決断などしてはならないのである。決断とは、1つひとつの判断をひたすら、どんどん重ねていくべきところを怠った結果、せざるを得なくなるものだ。だいいち、それは決して社長1人の独断でなされるべきものではない。

 チームや戦友の真ん中にいたり、トップに立ったりと、その立ち位置はその場面、場面で変わるものの、心は一緒なのだ。孤独だなんていうことは、自分でそういった立場をつくってしまっているからにすぎない。

 これらのことは、間違えて社長になってしまった人が、格好良く見せるためにそう主張しているだけのことであって、決してそんなことはない。

 

できる人とできない人の違い

 ここで、先日タクシーに乗ったときの運転手さんの話をさせてほしい。車に乗り込むときの運転手さんの機転の利いた対応がとてもよく、多分このような運転手さんならさぞかし売上もいいだろうと、彼に率直に聞いてみた。すると、その営業所に650人いる運転手さんの中で、いつもトップテンに入るという答えだった。

 店舗のサイズやロケーションなどで初めから大きな差がついてしまっている、どこどこの店舗で働いているというのとは違い、タクシーの運転手さんは、まさに毎日が「出たとこ勝負」。自分ひとりの力だけが如実に毎日の売上に反映されて出てくる仕事なのだ。

 黙っていてもどんどん来てくれる固定客がいて、毎日の一定額の売上が読めるわけではない。もちろん、中には長距離のお客をたまたま当てて、売上でトップに突然躍り出る運転手さんもいるのだろうが、むしろそれは例外なのだ。

 毎日、営業所を車で出た瞬間、全員がまったく同じ条件で仕事をし、出たとこ勝負をしているというのに、トップの10人はいつもほとんど固定しているとの話だった。

 ここでよく考えてみてほしい。これは、実力さえあれば、ツキではなく、ブレずに常に良い結果を出せるということを示している。

 私は、これが社長になる資格とまったく同じものだということをお伝えしたいのだ。

 タクシーの運転手さんの例を待つまでもなく、それなりに実力のある人が社長になると、いつも同じように実力を発揮することで、継続して結果を出すようになるのである。

 当然、実力とは誰にも負けないほどの努力に裏打ちされたものだ。つまり、この本で何度も繰り返し書いたように、「結果を出し続けられること」こそが社長としての第一条件であり、絶対的な資格なのだ。

 ということは逆に、結果を出し続けられる実力のある人でない限り、社長になってはいけないということでもある。タクシーの運転手さんでいえば、たまたま運良く長距離のお客を捕まえ、大きな売上を上げることは、実力とは違うのだ。

 再びタクシーの運転手さんの例で申し訳ないのだが、タクシーの運転手さんで事故を起こす人は決まっていると聞いたことがある。今回もその運転手さんに聞いてみたら、まさにそのとおりとのこと。これは、会社でも時々失敗をしでかし、任せておけない人が決まっているのとまったく同じことだ。

 そう、何をいいたいのかといえば、結果を出すことができる人は、常に最善の努力を払って、いつも結果を出すということだし、かたや駄目な人は、悔い改めて自分でよほどの努力をしない限り、いつも駄目ということだ。

 ほかの人と比べて、基本的な努力のレベルが異なり、そのために実力が劣っているということだからだ。厳しいようだが、これは事実だ。

 事故の最大の原因は安全運転義務違反であることはご存知のとおり。ということは、前方をちゃんと注意していれば、事故の多くが未然に防げるのである。それならなぜしないのだと思うのだが、よく事故を起こす人にとっては、そこが難しいところなのだろう。

 私が会社で失敗の原因を分析してみると、怠慢と呼ばざるを得ないことがよくあった。この話と相通じるものがあるように感じるのは、私だけではないはずだ。

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