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レクサス星が丘のやり方―お客様から頼まれない

志賀内泰弘(経営コンサルタント)

2014年09月25日 公開 2024年12月16日 更新

《『No.1トヨタのおもてなし レクサス星が丘の奇跡』より》

 

お客様のために尽くしていれば、数字は後からついてくる

 苦しかった時期から、CS(顧客満足度)を一生懸命に追求してきた。

 車を売っていると、ついついナンバーワンになろうとして数字が気になり、次のセールスにばかり意識が向いてしまう。しかし、今日、買ってくださったこのお客様を大切にしようと心掛ける。それだけではない、レクサスのオーナーではない一般客の「飛び込み修理」も大切にする。

 それは言うは易し、行うは難し。簡単なことではない。

 それでも、購入してくださった後のお付き合いを大切にした。

 コンパクトカーのお客様の修理も進んで行う。

 一見、冷やかしのようなお客様にも丁寧に心を込めておもてなしをする。

 山口社主は、

 「いずれ将来、雪崩を打ってレクサス星が丘にお客様が来てくださるぞ。とにかくCSを信じてやりなさい」

 と、口癖のように励ましていたという。そして、その通りの結果になった。

 吉田ゼネラルマネージャーは言う。

 「我慢の結果です。最初は新規のお客様ばかりです。でも、いずれは買い替え時期がやってくる。グレードの高い車種が発売になれば、興味を示されるお客様も多い。マイナーチェンジもある。それだけではありません。1台購入されて、その後の『おもてなし』に信頼を持ってくださったら、ご家族の車を2台、3台と購入したり、ご友人を紹介していただけるケースも多いのです。ただ、目先の数字ばかり追いかけていたら、今のレクサス星が丘はありませんでした。後に社主の言う『オンリーワン』の意味がわかるわけです。お客様のために尽くしていれば、数字は後からついてくるものなのだと」

 

お客様から頼まれない

 オンリーワンであるために、吉田さんが一番心掛けていること。それは、「お客様から頼まれないこと」だと言う。

 えっ!? と疑うような言葉だが、説明を受けてすぐに納得した。

 例えば、最も簡単なことは呈茶。お客様が「のどか渇いた」とおっしゃる前にお出しする。暑い日ならアイスコーヒー。コーヒーの苦手な方だとわかっていれば、「紅茶か日本茶、どちらにいたしましょうか」と尋ねる。こんなことは、どの店でも当たり前のことだろう。しかし、それが万事に繋がる。

 納車を済ませたら、何日かしてこちらから電話をする。

 「お車の調子はいかがですか?」

 年配のお客様だと、ナビの使い方などを説明してはあるが「本当に理解してくださっただろうか」と、翌日にでも電話を入れる。

 「ナビを試していただけましたか?」

 「やっぱり難しくて」

 と言われたらすぐに飛んでいく。

 すべては「先回り」。もし、お客様の方から、

 「ここがわからないから教えてほしい」

 などと電話がかかってきたら、それは恥だと思わなければならない。「お客様から言われる前に全部やって差し上げたい」と言う。

<<次ページ>>「サプライズ」より、「プラスワン」

 


<書籍紹介>

NO.1トヨタのおもてなし
レクサス星が丘の奇跡

志賀内泰弘 著

 

接客、メンテナンス、アフターサービスを通しておもてなしに徹し、ゼロから立ち上げ日本一になった「レクサス星が丘」の奇跡を紹介する。

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「サプライズ」より、「プラスワン」

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