伊藤塾塾長のメソッド・「考える力」をつけるには
2014年12月22日 公開 2024年12月16日 更新
1日5分、「考える時間」を確保せよ
「理解する→記憶する→考える→表現する」というプロセスを、日常の生活でどのように実践するかについて考えてみましょう。
通常、私たちは本を読んだり、人の話を聞いたりするとき、「この人はどんなことを言いたいんだろう」と、「理解する」作業をしながら話を受容しています。
受験勉強などでは「理解よりも記憶」しなければならない場合もあるかもしれませんが、一般の仕事で知識を活用する私たちには、その必要はありません。
「自分にとって重要」と意識された部分だけが、自然と頭のなかに「記憶」として保存されていきます。
しかしその「記憶」も、すぐに「考える」という作業で使われなければ、簡単に忘れ去ってしまいます。本で読んだ知識、セミナーで学んだことなどが、そのまま消えていくだけになってしまっている人も多いのではないでしょうか。
通常、「考える」という作業は、何か解決すべき問題があるときしか、意識してそのための時間を設けません。だからこそ「理解」というプロセスを経たあと、記憶を強化するためにも、あらためて「考える時間」をつくりだしてほしいのです。
それはとても簡単なことで構いません。たとえば本などを読んだとき、「この内容を自分はどう生かせるだろうか」と、5分くらい考えてみるのです。私はとくに仕事がら、「法的な立場から考えてみる」ということをよくやりますが、それだけで自分の問題意識が大きく発展していきます。
さらに加えると、「表現する」という活動を日常生活に組み込むと、逆算して「考える」作業をイヤでもせざるをえなくなります。
幸いにも私は、本を書いたり、講演や講義をしたりと、発表の場が仕事のなかにあるため、読んだことを自分なりにまとめてみたり、問題点を考察してみたりする機会に恵まれています。
多くの方はなかなかそうもいかないでしょうが、「表現」というのは、本来はそれでお金をもらうためにやるものではありません。
仕事でなくとも、たとえばパートナーや友人に話してみるとか、考えたことをノートやプログにまとめるなどして、「表現」を習慣化してしまえば、「考えること」も自然な形で日常へ組み込まれるでしょう。
<ポイント>
考えたことは、その日のうちに誰かに話してみる
伊藤 真
(いとう・まこと)
弁護士、伊藤塾塾長
1958年生まれ。東京大学在学中に司法試験に合格。95年に「伊藤真の司法試験塾」(その後「伊藤塾」に改称)を開設、親身な講義と高い合格率で「カリスマ塾長」として人気を博す一方、「憲法の伝導師」として各種集会での講演活動を精力的にこなす。
主な著書に『憲法問題』(PHP新書)、『続ける力』(幻冬舎新書)、『夢をかなえる勉強法』『夢をかなえる時間術』(以上、サンマーク出版)など多数。