松下幸之助の成功には「心のプロセス」があった!
2015年09月17日 公開 2022年10月05日 更新
ひとりの力ではダメだ
これを聞いて、思うことはあるだろう。
「そうは言うものの……」
「こんなちっぽけな私が、こんな小さな私が……」
「私がもっている心の力では限りがあるのではないか」
そのように考えてしまうことがあるに違いない。
その悩みに答えよう。
「はい。その通りだ! 限りがある」
しかし、それは問題にはならない。
松下幸之助にしても、スティーブ・ジョブズにしても、アンドリュー・カーネギーにしても、今まで大事業を成し遂げてきた全人物を調査したところで、ひとりの力だけで大きなことをやり遂げた人はだれもいない。
だれにだって、限界がある。
そこで、次の文字が登場してくる。
それは人の心をひらく「道」。
正しい、人の「道」を歩んでいるだろうか。
人間はどういうときに感動し、どういうことに感銘を覚え、どういうものにインスピレーションを感じ、どういうものに自分の心が振動し、共鳴して心をひらくのか?
これは、実に簡単なことだ。
人の道を歩んでいるときである。
ここで基本的な人のあり方、そういうあり方で相手に接しているかどうかが問われるのだ。
もっと大きな力を借りる
しかし、本当に大きなことをしたい、継続的に有意義な成功をおさめたいと思っているのであれば、自分と周囲の人たちの力量だけではダメだ。
家族の中だけのこと、小さな事業を営むといったことならば許されるだろう。けれども、本当に大きなことを成し遂げるためには、もうひとつの心をひらいていかなければならない。
それは社会の心。
社会全体が、あなたのやろうとしていることを支持してくれるだろうか?
「これはいいことだ」「これは絶対社会の中にあった方がいい」「この実現を許そう、いや後押しをしよう!」「これが犯れるようなことになっては困る」と、そう思われるかどうかが鍵を握る。
そのために松下幸之助はもうひとつの漢字を書き遺している。
「共存共栄」という文字だ。
やろうとしていることは、みんなにとっていいことにならなければいけない。
自分の会社だけではダメなのだ。
自分の街だけではダメなのだ。
自分のところの従業員だけではダメなのだ。
みんなにとっていいことにならないといけない。
そうなれば、社会全体が、「これは社会の中になくては困る」「とても必要なものだ」「支えていこう」と、こうなるはずだ。
あなたの心は今、どれくらいひらかれているのだろうか?
どのくらい素直になっているのだろうか?
周りの人たちとの関係は、今どのくらい良好なのだろうか?
そして、社会全体があなたのやろうとしていることに対して、どのくらいサポートを表明してくれているのだろうか?
これは「心の連続体」であり、すなわち松下幸之助の哲学なのだ。
自分の心をひらく「素直」→人の心をひらく「道」→社会の心をひらく「共存共栄」
道に迷ったとき、必ずこの簡単なモデルに戻って、それを見ながら考えるようにすれば、どこをどのように修正すればいいのか、どう行動すればいいのか、すぐ分かることだろう。
そして、あなたのすべての夢が可能になるに違いない。
<著者紹介>
ジェームス・スキナー(James Skinner)
1964年、アメリカ合衆国生まれ。現在、世界を旅しながら生活を送っている。
アメリカ国務省、財団法人日本生産性本部の経営コンサルタント、フランクリン・コヴィー・ジャパンの代表取締役社長、多くのテレビ番組を盛り上げる経済評論家。
『成功の9ステップ』(幻冬舎)、『お金の科学』(フォレスト出版)、『愛の億万長者』(中経出版)、『100%』(サンマーク出版)、『原則中心』(キングベアー出版)などの著書、『7つの習慣』(キングベアー出版)の翻訳が有名で、合計230万部以上を記録している。
1回の指導だけで、劇的な変化をもたらすコンサルティングやコーチングの手法は大きな反響を呼んでいる。ジェームズが教える「成功の9ステップ」のライブセミナーは日本一の人気を誇り、まさに時の人。
www.jamesskinner.com
<監修者紹介>
柴田博人(しばた・ひろひと)
1968年、東京生まれ。株式会社トレジャープロモートはじめ複数の企業の代表取締役を務める起業家であり、株や不動産に精通する投資家。近年は会社経営や投資活動の傍ら経営者育成にも力を注ぐ。著作監修は友人ジェームス・スキナー氏の作品のほか、最新刊に『株の学校』(監修、高橋書店)がある。
PHP研究所経営理念研究本部
松下幸之助に関わる資料の収集、整理、保管および、その著作権を管理している。また松下幸之助の哲学、PHP理念の研究を推進し。社内外へその研究成果を公表する発信基地の役割を果たす。『松下幸之助発言集』(全45巻)、『松下幸之助 経営百話』など多くの関連書籍やCD集を編纂、制作している。