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「厄介な上司」に頭を抱える部下が取るべき“戦略”

本間正人(NPO法人学習学協会代表理事)

2011年06月14日 公開 2024年12月16日 更新

「厄介な上司」に頭を抱える部下が取るべき“戦略”

会社で働く上で、"上司と部下の関係"を円滑に保つことは大変重要である。しかし、管理職である上司は日々忙しく、部下の面倒にまで手が回らないということも多々ある。

これまでコーチングにまつわる本を多数書いてきたという、学習学協会代表理事の本間正人氏は、部下が忙しい上司の欲求やバックグラウンドを把握することが合理的で効果的なビジネス戦略だと語る。

では実際に部下は「上司満足度」をどう高めればいいのか。本間氏の著書『厄介な上司を使いこなす50の処方箋』から、職場で良好な人間関係を築くための5つのポイントを紹介する。

※本稿は、本間正人 著『厄介な上司を使いこなす50の処方箋』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

これからは部下が「上司満足度」を考える時代

皆さんのなかには、「どうして部下が上司にアプローチしなければいけないんだろう。ふつう逆じゃないの?」と疑問に感じる人もいるかもしれません。

たしかに私も、本来はそうあるべきだと思います。しかし、管理職は部下以上に過酷な労働環境にいます。余裕をなくした上司が自力で症状改善し、部下のケアまで行うなどということは現実問題としてかなり難しいのではないでしょうか。そうした状態の上司はケアどころか、むしろ組織の足を引っ張りかねません。

とすれば、上司との関係を円滑化することは組織で働く上でも、成果を上げるためにも、部下にとって欠かすことができない大きな要素といえます。

ビジネスの世界では、CS(Customer Satisfaction:顧客満足度)やES(Employee Satisfaction:従業員満足度)といったキーワードが重要視されていますが、私は新たにBS(Boss Satisfaction:上司満足度)をも真剣に考える時代になったと思います。部下にとって上司は、重要な社内クライアントととらえることができるのです。

円滑に仕事を進めるためには、部下が上司の欲求やバックグラウンドを把握することがとても重要です。上司のニーズを知り、満たしていくことは、非常に合理的で効果的なビジネス戦略であると言えるでしょう。

「彼を知り己を知れば百戦殆(あやう)からず」。これは孫子の兵法に掲げられている知恵です。相手を知り、自分がすべきことを知れば何も怖いことはない-過酷な職場環境のなかで戦う現代の私たちも、この言葉を肝に銘じたいところです。

 

困った症状を改善する5つのポイント

私はこれまでコーチングについての著書を多く執筆してきました。「部下育成」のための手法として活用されることが多いコーチングですが、ストレスをためた上司に対するときにも同じ理論や認識が当てはまる、と実感しています。

コーチングでは「部下を信じて育てる」という視点が欠かせません。それは言い換えれば部下をいい状態に導くことです。 では、相手をいい状態に導くためにはどのような心がまえが必要なのでしょうか。そのポイントをコーチングの基本をもとに整理しておきましょう。

(1)人間の可能性を信じる

「人間には無限の可能性がある」。これがコーチングの基本姿勢です。上司に置き換えるならば、「今現在困った症状が出ていても、上司のなかにも必ずいいところがある」「上司のなかには状況を改善していく力がある」「自分も部下として上司のためにできることが必ずある」という姿勢を持つことが第一歩です。

(2)望ましいイメージを持つ

上司がどのような状態になるのが望ましいか、という明確などジョンを持ち、その上で効果的な手を打つことが必要です。行動の選択肢を考え、ベストなものを選んでいくような戦略的な対応の仕方が望まれることもあります。短絡的にとらえず、熟慮・検討の上、きっちりと実践していくことが大切です。

(3)思い切りよく行動する

せっかくの対応策も、中途半端なかかわりでは効果があらわれません。「こんなことしていいのかな」とためらいながらや及び腰でかかわるよりも、思い切りよく、勇気を持って行動に移すことが大切です。

(4)ポジティブなかかわりを持つ

建設的、前向き、未来志向の姿勢が不可欠です。「ダメです」「なんで~しないんですか」といった非難ではなく、「ありがとうございます」「次は~したいですね」といった言葉・態度で、ポジティブさを基調としたコミュニケーションを心がけましょう。

(5)成長のチャンスにする

「若いころ上司には苦労させられたが、それが自分の成長に役立った」と述懐する人は決して少なくはありません。渦中にいるときは気づかないものですが、相手に誠実に接したことは必ずその人の栄養になっています。

私は、目の前の人に困った部分があるとき、その人を心のなかで「エンジェル」と呼んでいます。「この人は私に人間的成長のチャンスを与えてくれるエンジェルだ」とポジティブにとらえるようにしているのです。

どんなシチュエーションであっても、どんな人に対しても、誠意を持ち前向きにかかわっていくことは、あなた自身の成長につながります。そう信じることは、あなたの行動の原動力にもなっていくでしょう。

 

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