鈴木明子のフィギュア観戦術(1)細かいルールを知らなくても楽しめる!?
2015年12月18日 公開 2023年07月03日 更新
フィギュアスケート自体が好きな人が増えてほしい
私がフィギュアスケートでときめいたのは、ジャンプではありません。たった四分間あまりのプログラムでその選手の世界に私たち観客を引き込んでくれることでした。もちろん、ジャンプで転倒したり、ステップでバタついていては、世界観が壊れてしまいます。そうなったら感動することはできませんから、スケート技術はものすごく大切な要素です。
しっかりと技術を見せたうえで自分の世界まで披露できるのが、フィギュアスケートのおもしろさだと感じていました。
私は昔から「絶対に誰にも負けないぞ」というタイプではなかったので、そこにおもしろさを見いだしていたのかもしれません。選手をアスリートとして見るか、アーティストとして見るかで、楽しみ方は変わるでしょう。
フィギュアスケートには採点がありますが、その人の価値をすべて数字で証明することはできません。
素敵な音楽があり、華麗な衣装を着て、すばらしい演技をする。
数字にはなかなか表れない部分を、選手と一緒にファンの方には感じてもらいたいと思います。競技の楽しみ方は人それぞれです。長く観戦していくなかで、少しずつ変化していくものなのかもしれません。
フィギュアの環境も大きく変わりました。私が子供のころはこんなにたくさんのアイスショーはありませんでした。
フィギュアスケートがスポーツである以上、どうしても順位はつけられます。お気に入りの選手が勝つことも、誰かに負けてしまうこともあります。
私は、「フィギュアスケートが好き!」という方が増えてほしいと思っています。フィギュアスケート自体が好きならば、「今回は、〇〇選手が頑張ったよね」と思えるし、広い視野で選手たちのことを見られるのではないでしょうか。