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干場義雅がお奨めする アンダー10万円で揃えるスーツ選び

2016年05月09日 公開 2016年05月12日 更新

干場義雅がお奨めする アンダー10万円で揃えるスーツ選び

PHP新書『世界のエリートなら誰でも知っている お洒落の本質』より

 

スーツはカッコよくなるためではなく、カッコよく生きるためのもの

 スーツを購入するうえで、とくにおすすめしたいブランドとして挙げられるのが、「エルメネジルド ゼニア」や「キートン(kiton)」、セレクトショップオリジナルでは「ビームス」や「B.R.SHOP」などです。インターナショナルスタンダードという意味では、「エルメネジルド ゼニア」のスーツなどはまさにそれで、最先端の技術でスーツスタイルを提案しているブランドだと言えます。

 本来であれば、「エルメネジルド ゼニア」が提案するようなインターナショナルスタンダードなスーツを、自分の体型に合わせてオーダーしていただきたいと思っているのですが、安価ではないスーツを普段使いできるビジネスマンなんて、一般的なはずがありません。最高でも10万円くらいしかスーツにはかけられないという人も大多数でしょう。

 スーツスタイルは、スーツだけでなく、シャツやコート、靴や小物といったように、全身すべてのアイテムで完成するものです。スーツにばかりお金をかけてしまっては、お金がいくらあっても足りないのは当然で、本末転倒になってしまうことがいちばんカッコ悪い。その場合、何にお金をかけて、何にお金をかけないのか。そういった優先順位をつけてほしいと思っています。

 何事も、自分の身の丈に合ったものを選ぶほうがいいに決まっています。お金もないのに高級外車に乗っているというのは、まさにトゥーマッチ。一般的なビジネスマンが、毎日のスーツ用に3万円以上する高級なシャツを着るなんて絶対にありえません。スーツとは、カッコよくなるためというより、カッコよく生きるためのものであってほしいと思います。

 僕のこの考えを実践する場合、たとえば「ビームス」であれば、20万円ぐらいからスーツをセミオーダーできます。「ビームス」のようなセレクトショップは、きちんと世の中の流れを研究したうえでモノづくりをしているので、最低でも5年くらいは着られるものが購入できるでしょう。「ビームス」のスーツは本当によくできているので、セミオーダーでなくても十分なものを購入できると思います。

 もちろん「ユナイテッドアローズ」や「バーニーズ ニューヨーク」、「エストネーション」などのセレクトショップ、「伊勢丹メンズ館」や「阪急メンズ館」などの百貨店も、いまの時代にふさわしいスーツを販売しています。日本のセレクトショップや百貨店は本当に優秀だと思います。

 また、日本のビジネスマンのスーツスタイルがよくなってきているという話もしましたが、これは本当の話で、吊るし(既製品)のスーツでもそれなりのものが多くなってきています。テレビCMなどでもお馴染みの紳士服量販店や、ショッピングモールなどに出店しているスーツストアなどでも、しっかりとポイントさえ押さえて購入すれば、僕の言う美しいスーツスタイルに近づくことはできるでしょう。

 安価なところでは、3万円もあればスーツが手に入る時代です。もしかすると、そういう店舗だけで考えたら、10万円以内ですべてのアイテムが揃ってしまう場合もあるかもしれません。逆に、見る目がないのに高額なオーダースーツをいきなり購入して失敗するくらいなら、吊るしのものを購入しながら勉強し、〝いよいよいいものを〞というときに、きちんとオーダースーツをつくればいいでしょう。

 ただ言っておきたいのは、一つひとつのグレードを下げてしまっては、いいものを長く着るというのは難しいのも事実。シャツや靴下などの消耗品はいいとしても、そこそこの値段のアイテムが1年で使えなくなってしまうのは、もったいないだけです。

 それこそ、いちばん大きな金額を占めるスーツを、まずはいいものに。そして次は足許を。という具合に、自分に合ったペースで徐々にグレードの高いものを揃えていけば、ムリなく自分のスタイルを完成させていけるのではないでしょうか。

著者紹介

干場義雅(ほしば・よしまさ)

ファッションディレクター

1973年、東京都生まれ。『POPEYE』で読者モデル、BEAMSでセールスを経験後、出版社に勤務。『MA-1』『モノ・マガジン』『エスクァイア日本版』を経て、『LEON』創刊に参画し、ちょい不良ブームをつくる。その後、『OCEANS』創刊時の副編集長兼クリエイティブディレクターとして活躍。2010年、ファッションディレクターとして独立。12年、株式会社スタイルクリニックを設立し、代表取締役に。現在はテレビ、ラジオに加え、ブランドのプロデュースやトークイベントなど、メディアの枠を超えて活躍中。40代向けウェブマガジン『FORZA STYLE』の編集長も務める。

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