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夏もシャワーだけではダメ!? 疲れがスッキリ取れる「入浴の正解」

早坂信哉 (温泉療法専門医)

2016年07月30日 公開 2023年09月13日 更新

ポイントは「38~40度」と「全身浴」

入浴による疲労回復効果を引き出すには「温度」が最大の決め手となります。疲れを取る目的なら、38~40度のぬるめの湯がお勧めです。体温に近いポカポカした温かさで、筋肉はリラックスし、血流が良くなります。これは身体にとってはストレスのほとんどない、「副交感神経」が優位になった状態。精神的にもリラックスできます。

一方、42度以上の熱めの湯は、交感神経を刺激し、血圧や脈拍を上げて興奮状態を作ります。むしろ、仕事前に目を覚まして活動的に動きたいときの準備としては最適な入浴法です。

入浴時間は、38~40度の湯ならば15分程度が理想的。入り続けると、湯疲れやのぼせを引き起こし、かえって疲労感を増幅してしまうことも。長く入る際は、汗ばんできたら湯から上がり、身体を洗ったり、水分を摂るなどして、いったん体温を下げましょう。額に汗が出てくるのは体温を下げようとする身体の反応。体温が上がりすぎているシグナルなのです。

湯船の浸かり方は、全身浴がお勧めです。なぜなら、先ほどお話しした3つの疲労回復効果(温熱・浮力・水圧)が最も高まるからです。血流を改善し、筋肉や関節を和らげ、神経をリラックスさせるので、肩こりや頭痛、神経痛の改善が見られるとの研究結果も出ています。

ただし、心肺に疾患のある方、高血圧の方には、上半身に水圧がかからない半身浴をお勧めしています。

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身体にやさしい「正しい入浴手順」

著者紹介

早坂信哉(はやさか・しんや)

温泉療法専門医 医学博士

1968年生まれ。宮城県出身。自治医科大学大学院医学研究科修了。浜松医科大学准教授、大東文化大学教授などを経て、現在、東京都市大学人間科学部教授。(一財)日本健康開発財団温泉医科学研究所所長。生活習慣としての入浴を医学的に研究する第一人者。著書『最高の入浴法  お風呂研究20年、3万人を調査した医師が考案』(大和書房)。

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